ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ルンビニ開発、了解覚書に署名・成立

中国主導のルンビニ開発計画の了解覚書(MoU)が11月7日、署名・成立した。中国側はAPECF(アジア太平洋相互協力基金)、ネパール側はLDSC(ルンビニ開発調整委員会)[ないしLDNDC=ルンビニ開発国家指導委員会]。LDSC議長はいうまでもなく、プラチャンダ(プスパカマル・ダハール)統一共産党毛沢東派(UCPN-M)議長だ。
 ▼ルンビニ開発

計画では、ルンビニ国際平和都市建設に30億ドル投資する予定。途方もない大計画だが、政治的にも経済的にも成算はありそうだ。

政治的には、中国と、この開発計画に深く関与している米国で、インドを牽制する意味合いがある。

国際政治は複雑怪奇で、米国は中国と対立しつつも、対印では手を結ぶ。一方、対中では、米国はインドと組む。そして、そこにプラチャンダのネパールが利用されつつ、漁夫の利をねらう。おそらく各国情報機関も関与しているであろう。素人にはうかがい知れない、国際政治の伏魔殿である。

経済的には、投資が始まれば、将来性は甚大だ。ルンビニ付近は、開発余地が十二分にあり、隣にインドの巨大人口・巨大市場、中国とも道路と鉄道とで結ぶ計画がある。ここに国際空港ができると、チトワン、ポカラも含め、一大観光地、巨大商工業地が出来上がる。

そこに目をつけた中国は、さすが抜け目がない。成功すれば、プラチャンダも大富豪となり、マオイスト革命などきれいさっぱり忘却してしまうだろう。

しかし、問題はインド。国境沿いの、目と鼻の先に、中国・米国のなにやら怪しげな機関も関与していると噂の開発計画を黙認するかどうか? その気になれば、インドはいつでもこんな計画など、ぶち壊すことができるだろう。


 ■朝霧に浮かぶ摩天楼。カトマンズ開発も急ピッチ。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/11/09 @ 10:30

カテゴリー: 経済, 外交, 中国

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