福井原発と京阪神と水上勉
京都新聞元旦特集の一つは,「原発にノー」。それによると,御用鈍足ソフト「SPEEDI」の予測でも,京都市の一部は放射性物質汚染区域に入る。が,これでもなお嘘くさい。放射性物質が,そんなに都合よく予測範囲内に収まるとは考えにくく,実際には風向きによっては京都市,大阪市,神戸市にも広く濃く降下すると考えるべきだろう。
というよりもむしろ,丹後生まれの私の実感からすると,京阪神が原発風下になる確率は,もっともっと高いように思う。低気圧や台風でも,風向きは大きく変わる。京都新聞元旦特集でも,まだなお「不都合な真実」は隠されているのではないか?
福井原発については,大飯出身の水上勉がその差別性を厳しく批判していた。若狭は,京阪神など都市により収奪され,貧困に陥れられ,蔑視され,あげくはその尻ぬぐいをさせられている。贅沢三昧,浪費都市の電力は誰がつくっているのか?
水上勉の地方差別批判は問題の本質を突いている。もし自民党,産業界,都市住民が原発をつくりたいなら,まずは東京湾岸,大阪湾岸につくるべきだ。地産地消。もしつくれないなら,それは若狭でも青森でも,危険なのだ。原発は,地方蔑視の最たるものである。
■関西道路図(NEXCO)。この位置関係からして,京都・大阪・神戸・奈良・大津が拡散範囲に入らないのは不自然。SPEEDIより庶民実感の方が予測能力ははるかに高いのではないか?
【参照】
▼構造的暴力としての原発:堀江邦夫『原発ジプシー』
▼風力発電も原発もイヤだな
▼原発報道,朝日とネパリタイムズ
▼青森沖セシウム汚染魚の報道姿勢
▼権力監視下のネット社会:原子力安全規制情報
▼早川教授訓告処分は大学自治の自殺行為
▼ネパール大使館,大阪に退避
谷川昌幸(C)
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