通信業界の複雑怪奇な料金制度
NTTが「もっともっと割」の宣伝をしているので、「何かな?」と思い、みてみると――
「ずっと割」
「あっと割」
「ぐっと割」
「もっと割」
「もっともっと割」
などがあった。もっともっとあるかもしれないが、ばからしくなって、見るのをやめてしまった。
しかし、どうしてこのような複雑怪奇な料金システムになっているのだろう? 少々調べたくらいでは、「ずっと」が「ぐっと」より「もっと」安いのか、「もっともっと」安いのか、それとも「あっと」驚くほど安いのか、皆目見当もつかない。
これはNTTだけではあるまい。最先端の、もっとも合理的であるはずの通信業界が、常人の理解力をもってしては理解できないほど複雑な、したがって不合理な料金システムを一方的に強制している。
なぜか? おそらくそれは、善良な人民をだまくらかし、搾取するのが暗黙の業界了解となっているからであろう。常識で理解できないような業界用語――ジャーゴン――を認めたら、業界の思うつぼ。
しかし、コトバは支配者がつくり、下々に与えるもの。コトバを創造した神に背けないように、現代のコトバ支配者たる通信業界には、抵抗しようもない。人は、ますます弱く、救われないものに貶められていくのだろう。
谷川昌幸(C)