ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

権力乱用調査委員会(4):暫定憲法の規定

3.2007年暫定憲法の規定

暫定憲法 第11編 権力乱用調査委員会
第119条 権力乱用調査委員会
 (1)委員長および他の必要な数の委員から構成される権力乱用調査委員会を置く。委員長に加え他の委員が任命されるときは,委員長が権力乱用調査委員会の議長となる。
 (2)大統領*は,憲法会議**の推薦に基づき,委員長と他の委員を任命する
   * 第4次改正(2008年5月28日)以前は「首相」。
   ** 第149条 憲法会議(संबैधानिक परिषद, Constitutional Council)参照。
 (3)第7項(a)の但し書きにより,委員長と他の委員の任期は,任命から6年とする。
  ただし,
  (a) 委員長または委員は,任期満了以前に65歳に達したときは,退任する,
  (b)委員長または委員は,最高裁判所の裁判官の解任の場合と同じ理由により,また同じ方法で解任される。
 (4)委員長または委員の職は,次の場合は空席と見なされる。
  (a)辞表を大統領*に提出したとき,
    * 第4次改正(2008年5月28日)以前は「首相」。
  (b)第3項により任期満了となるか,または解任されたとき,
  (c)死亡したとき。
 (5)以下の条件を満たす者を除き,何人も委員長または委員に任命される資格を有しない。
  (a)ネパール政府の承認した大学の学士号所有,
  (b)任命直前において政党の党員ではない,
  (c)会計,税務,エンジニアリング,法律,開発または調査の分野での20年以上の経験,
  (d)45歳以上,および
  (e)道徳的に高潔。
 (6)委員長と委員の報酬および他の勤務条件は,法律で定める。委員長と委員の報酬および他の勤務条件は,在職中は不利となるように変更されてはならない。
 (7)委員長または委員にひとたび任命された者は,他の公職に任命される資格を有しない。
  ただし,
  (a)本項の規定は,権力乱用調査委員会の委員の委員長への任命を妨げるものではないし,また委員が委員長に任命されるときは,その任期は委員の任期も含めて算定される。
  (b)本項の規定は,政治的性格をもつ職,または何らかの問題に関する研究,調査もしくは探究を任務とする職,または何らかの問題に関する研究もしくは調査に基づき助言,意見もしくは勧告を提出することを任務とする職への任命を妨げるものではない。

第120条 権力乱用調査委員会の機能,義務および権限
 (1)権力乱用調査委員会は,法律に従い,公職者の不正行為もしくは汚職を調査・取り調べること,または調査・取り調べさせることができる。
 ただし,本項はこの憲法自体が当該行為に関する別の規定をもつ場合,および他の法律が別に特別規定をもつ場合には,いかなる公職者にも適用されない。
 (2)不適切行為を理由に弾劾決議により解任された憲法設置機関の公職者,同様の理由により司法委員会により解任された裁判官,または軍隊法により訴追され解任された者に対しては,法律に従い,調査・取り調べをすることができる。
 (3)権力乱用調査委員会が第1項により調査・取り調べを行い,公職者が法律により不適切と規定されている行為を行い権力乱用をしたと認定したときは,委員会はその者に訓戒を与えるか,または関係機関に文書をもって機関としての処置もしくは法律に定める他の必要な処置をとることを勧告することができる。
 (4)権力乱用調査委員会が第1項により調査・取り調べを行い,公職者が法律で汚職と定める行為をした事実を認定したときは,委員会は,その者またはそれにかかわった他の者に対する訴訟を法律により管轄権をもつ裁判所に提訴するか,または提訴させることができる。
 (5)権力乱用調査委員会が第1項により調査・取り調べを行い,公職者の職務が他の機関の管轄であることが判明したときは,委員会は文書をもって当該機関に必要な処置をとることを勧告することができる。
 (6)権力乱用調査委員会の他の機能,義務および手続きは,この憲法に従い,法律で定める。
 (7)権力乱用調査委員会は,調査,捜査または提訴に関する権限および義務のいずれをも委員長またはネパール政府のいずれかの公職者に委任し,一定の条件の下に,これを遂行させることができる。

第121条 年次報告書
 (1)権力乱用調査委員会は,この憲法に従い遂行した任務に関する年次報告書を大統領*に提出し,大統領は首相をして**この報告書を立法議会に提出せしめる。
   * 第4次改正(2008年5月28日)以前は,「首相」。
   ** 第4次改正(2008年5月28日)以前は,「首相は」。
 (2)第1項により提出される年次報告書には,以下のことを必ず記載する。すなわち,当該年度内に権力乱用調査委員会に提出された訴えの総数,捜査完了の件数,法律により管轄権のある裁判所に起訴した事件および保留中の事件数,警告を発するか,または文書をもって機関としての処置もしくは他の必要な処置を執ることを勧告した事件,腐敗防止の成果,および今後の改善のための勧告。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/09/10 @ 09:24