ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

京都の米軍基地(20):北朝鮮ミサイルはレトリック

京都府と京丹後市が受け入れ表明した米軍Xバンドレーダーは,先に指摘したように,戦略的には中国が対象だ。北朝鮮ミサイルは,戦術的ターゲットにすぎず,いわば口実。
  [参照]京都の米軍基地(17):真のターゲットは中国か?

中国の外務省報道官も,京都府知事と京丹後市長の受け入れ表明を受け,「北朝鮮の核ミサイルの脅威を理由に,一方的にミサイル防衛システムを構築」しようとしており,これは「グローバル戦略のバランスにもマイナス」だ,と米日政府を非難した(共同&読売9月23日)。中国側からすれば,当然の反応だろう。この米日非難は別として,経ヶ岬Xバンドレーダーの戦略的ターゲットが中国だということそれ自体は,日本人以外の一般常識からすれば,至極当然の自明の事実である。

それでも,こんなことを言うと,非国民・売国奴だと某チャンネルあたりで罵倒されかねないが,日本の常識は世界の非常識,当事者のアメリカ自身,中国政府と基本的には同じことを言っているということを,われわれ日本人は見落としてはなるまい。

張り子の虎・米帝国主義の代弁者たるWall Street Journal(Aug.23)によると,米政府は,中国に対抗するため,アジア・ミサイル防衛体制の大幅拡充に乗り出した。特に,中国の対艦ミサイルは,射程1500kmに及ぶものもあり,大きな脅威となっている。S.ヒルドレス米議会調査局ミサイル防衛専門官も,こう明言している。
  「(ミサイル防衛の)レトリックの焦点は北朝鮮
  「現実問題として,われわれはもっと長期的な視点から部屋の中のゾウを見ている。つまり中国だ。」(ibid)

米国は,このアジア戦略に沿ってXバンドレーダーを日本南部の島とフィリピンに配備する計画だった(ibid)。しかし,先述のように,沖縄周辺も九州・山口地域も露骨すぎたため,少し北東にずらし,京の都の西北,丹後に配備することにしたのだ。お公家さんの古都なら,あでやかな衣の下にレーダーの頭くらいは隠せると計算したにちがいない。

京都に住むのは世故に長けた(worldly-wise)都人。このような見え透いた小手先の小細工や悪玉安全パイ=北朝鮮を利用した世論操作にコロリとだまされるような,ウブな人びとではないはずだ。米本国ですら常識になっていることを隠し,米日産軍共同体を儲けさせるため,伝統と文化の古都・京都を人身御供に差し出すような愚かなことは止めるべきだ。まだ間に合う。

130924 (Google)
■米軍Xバンドレーダー基地:車力(配備済),経ヶ岬(受入表明済),フィリピン(配備予定,場所未定)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/09/24 @ 15:12