ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

Archive for 1月 2013

ポカレル前副首相講演: 憲法政治学研究会

130127a ■会場:同志社大学

130127c ■講演会

130127b 130127d
 ■カドガ.KC氏(左)とポカレル氏(右) / バッタライ大使(左)とBN.アディカリ氏

130127p  ■京都新聞1月28日

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憲法・政治学研究会 第542回例会

日時:1月27日(日)午後1時-5時
会場:同志社大学 今出川キャンパス 寧静館5階会議室(Tel:075-251-3120)

講演1:Ishwor Pokharel(ネパール前副首相兼外相)
    「ネパールの平和と民主化への道」
講演2:上田勝美(龍谷大学名誉教授)
    「日本の平和憲法と民主主義」

コーディネート・通訳:Khadga KC
   (トリブヴァン大学政治学部准教授、京都大学ASAFAS研究フェロー)
   谷川昌幸(元長崎大学教授)

主催:憲法・政治学研究会/憲法研究所
http://www.wld-peace.com/kenpo/kenpo.htm

Written by Tanigawa

2013/01/27 at 00:43

カテゴリー: 憲法, 政党

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通信業界の複雑怪奇な料金制度

NTTが「もっともっと割」の宣伝をしているので、「何かな?」と思い、みてみると――
  「ずっと割」
  「あっと割」
  「ぐっと割」
  「もっと割」
  「もっともっと割」
などがあった。もっともっとあるかもしれないが、ばからしくなって、見るのをやめてしまった。

しかし、どうしてこのような複雑怪奇な料金システムになっているのだろう? 少々調べたくらいでは、「ずっと」が「ぐっと」より「もっと」安いのか、「もっともっと」安いのか、それとも「あっと」驚くほど安いのか、皆目見当もつかない。

これはNTTだけではあるまい。最先端の、もっとも合理的であるはずの通信業界が、常人の理解力をもってしては理解できないほど複雑な、したがって不合理な料金システムを一方的に強制している。

なぜか? おそらくそれは、善良な人民をだまくらかし、搾取するのが暗黙の業界了解となっているからであろう。常識で理解できないような業界用語――ジャーゴン――を認めたら、業界の思うつぼ。

しかし、コトバは支配者がつくり、下々に与えるもの。コトバを創造した神に背けないように、現代のコトバ支配者たる通信業界には、抵抗しようもない。人は、ますます弱く、救われないものに貶められていくのだろう。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/01/23 at 20:11

カテゴリー: 情報 IT, 文化

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首相HP,ブロックされる

バブラム首相のホームページを見ようとしたら,下記のような警告が出た。たしかに,最高裁判事(定数15人)が6人にまで減少するなど,ネパール統治は全般に正統性(legitimacy)を失いつつあり,バブラム博士の政府も専制的となってきた。しかし,それはそれ,このバ博士HPブロックは、なにやらうさんくさい。

130122 ■マカフィーのブロック画面

そもそも王様系など,右派サイトはこれまでほとんどブロックされたことがない。ブロックされるのは,たいてい左派系。ネット(の技術者)は,右傾化しているのかな?

そう思いつつも,ネット素人の私には,このような警告を出されると,それを無視し読み進む勇気はない。おそらく,こうして,某世界超大国の密かなネット介入による世界世論誘導により,世界は全体として無意識のうちに右傾化していくのだろう。世界全体が動けば,基準となる座標軸が動くわけであり,その中にいる人々は気づきようもない。

インテリ博士首相のホームページは,さぞかし立派であろうに,残念なことだ。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/01/22 at 16:21

カテゴリー: マオイスト, 情報 IT

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競争的共存の優しさ:農民とスズメ

下の写真をご覧いただきたい。これはブンガマティの寺院前広場。一面に籾が広げられ,天日干しが行われている。そのただ中に,一人の女性が先にビニールをつけた長い竹竿をもって,じっと立っている。これは,いったい何をしているのだろうか?

130121a ■竹竿を持つ女性(2012-11-22)

あまりにも不思議な光景だったのでしばらく観察していたら,その女性は,籾をついばみにきたハトやスズメを追っ払っているのだということが分かった。とくにスズメはすばっしこいので,このような長い竹竿を持っているらしい。

これは印象的な情景だ。11月中旬のカトマンズ周辺では,いたるところで籾が干されており,見張り番(たいてい女性)がついている。この女性のような個性的な道具をもっている人は少ないが,スズメ,ハト,ニワトリなどを追っ払うのが仕事であることに変わりない。

しかし,これは仕事としては実に不効率,不経済である。籾を干している間中,見張っていなければならない。ちょっとでも持ち場を離れると,すぐ鳥たちが寄ってきて籾をついばむ。事実,いたるところで籾がついばまれているのを目撃した。

130121c 130121b
■仏陀の慈愛の下で籾をついばむハトとスズメ / 籾をついばむニワトリ(ブンガマティ,11-22)

いくらネパールでも,ちょっと工夫し,網を張るなどすれば,そのような被害は防止できるはずだ。女性たちも見張り番から解放される。そんな簡単なことも分からないのかな? そう思って,少々,ネパール農業を軽く見ていた。

しかし,浅はかなのは,私の方であった。ネパール農民も,本気になれば,スズメ,ハト,ニワトリの完全シャットアウトなど,簡単に出来るはずである。それは,まちがいない。ところが,彼らはそうはしない。できるのに,しない。なぜか?

もちろん,推測にすぎないが,ネパールの農民は,収穫を鳥たちと分かち合い,共存を図っているのではないだろうか? 籾については,鳥たちと農民は競争関係にある。しかし,鳥たちも生きているし,また,たとえばスズメは害虫を食べ,ニワトリは卵を産み,あるいは人間の食料となってくれる。ハトは,実益はほとんどないが,そのかわり「平和」を伝えてくれる(食用になるハトもいるが)。だから農民は,食べられすぎないように追っ払いはするが,鳥たちの食い分は大目に見ているのだ。

つまり,農民の籾番は,鳥たちとの競争的平和共存が目的であり,農民の生きとし生きるものへの限りなき優しさの発現なのである。

経済的には,このネパール式農業は不効率きわまりない。一日がスズメ追いに費やされ,しかも時々はついばまれてしまう。しかし,その代わり,経済効率を追求してきた私たちが,無慈悲に見捨て,切り捨ててきたものが,ネパールではまだいたるところで受け継がれ,大切にされている。

推測,憶測かもしれない。読み込みすぎかもしれない。しかし,籾をついばむ鳥たちと,それを追い払いつつも容認している農民を見ていると,ほっと心和み,深く癒やされることはたしかである。よそ者の勝手な感傷にはちがいないが,自然との競争的平和共存の時代がかつてあったし,現にいまもネパールにはあることは,まぎれもない事実である。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/01/21 at 20:19

カテゴリー: 社会, 経済, 文化

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停電14時間の明暗

カトマンズ地区が、1月19日より停電14時間となった。インドが送電を削減したためらしい。

この停電時間は、月でも週でもなく、毎日14時間! 昨年の18時間の大記録にはまだ及ばないが、それでも驚嘆すべき快挙には違いない。

130120a ■電柱と送電線(2012-11-6)

1.停電強靱社会
ネパールは、14時間停電だろうが18時間停電だろうが、平気だ。世界No.1の停電強靱社会といってよいだろう。

しかも、カトマンズはいまや現代的大都市。ケイタイやバスの利便性など、いくつかの点では日本より優れている。数日前,朝日新聞が,印刷紙面と同じものがネット版PDFで読めるようになったと大宣伝したが,こんなもの,ネパールでは数年前から実現しており,しかも無料。朝日のネット後進性に驚きを禁じ得なかった。このように,いくつかの分野では,カトマンズはすでに日本を追い抜いているのだ。

その大都市カトマンズが,14時間/日停電になっても平気。これは驚くべきことだ。後述のように,別の側面はあるにせよ,この停電強靱社会から学ぶべきものは,決して少なくない。

2.不便の便利
ネパールでは,スケジュール通りの停電の以外に,突然の停電や不規則な電力変化もよくある。このような環境では,電化製品も学習し,少々の不規則電流ではびくともしない。

昨秋おじゃました友人の家でも,数日前,過電流が流れたらしく,冷蔵庫,電気ポット,照明などが故障していた。しかし,その故障の仕方が素晴らしい。電気ポットは,ボタンで湯を出す部分は壊れたが,ヒーターは生きていて,湯は沸く。つまり,ボタンを押して湯を出すといった反文化的なことさえしようとしなければ,ポットは十分使えるし,事実,家族は当然のように,そのような使い方をしていた。同じく冷蔵庫も,庫内灯が切れたらしいが,モーターは大丈夫。もともと冷蔵庫内に照明など必要ないのだから,これも平気。

ネパールでは,電圧や周波数の多少の変動など,平気なのだ。日本流の不便は,ここではまったく問題にならない。余計な贅肉取りに役立ち,かえって便利。実に人間的,文化的だ。

3.強靱社会の裏面
しかし,これは停電の明るい側面。表には裏がある。カトマンズが停電強靱社会であるのは,政府が基礎インフラの整備促進を放棄し,インフラの私化(privatization)を放任しているからである。

停電になっても,有産階級や外人観光客は大して困らない。なぜなら,金持ちや観光客向けホテルは自家発電装置や蓄電池を備えているから。たとえ停電になっても,ホテルは煌々と背徳の明かりをともし,エアコンさえ作動している。何の心配も不要。

その反面,そんな余裕のない庶民は,暗黒の夜を過ごすか,せいぜいランプかローソク。電力格差,照明格差は,目もくらむばかりだ。

水も同じこと。金持ちは断水など平気。深井戸を掘り汲み出してもよいし,タンクローリーから水を買ってもよい。水道がでるときは,蛇口満開にして自宅の大きな水槽やプールに,しこたま水をため込む。古来の共同水場が涸れようが,川が溝となろうが,関係ない。一方,貧しい庶民は,どぶ川で水浴や洗濯をせざるをえない。水格差は,電力格差以上に深刻といえよう。

130120c ■給水車(キルティプール,2012-11-9)

130120b ■水浴・洗濯(バルクー川,11-27)

4.ほどほどの難しさ
日本とネパールは,電力と水では過剰と過小の両極端であり,いずれも不健全だ。ときどき停電や断水となり,電気や水道のありがたさを思い起こさせてくれるくらいが、ちょうどよい。

しかし,中庸は,古来,もっとも難しい美徳。まったくもって人間の強欲は度しがたい。

【参照】停電

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/01/20 at 11:39

カテゴリー: 社会, 経済, 文化

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太陽光発電援助,地味な報道

日本援助の太陽光発電プラントが完成し,1月11日,ネパール側に引き渡された。各紙報道によると,概要は次の通り。
  ・設置場所:ドビガード。ラリトプルのバグマティ河畔
  ・発電能力:680Kw
  ・電力用途:カトマンズ盆地上水道公社(KUKL),および一般電力網への送電
  ・事業費:5.38億ルピー

太陽光発電は機器の価格も急速に下がってきており,ネパールにとっても,近い将来,有望なエネルギー源となるであろう。その意味で,この援助は先駆的と評価されよう。

その一方,今回も,報道は極めて地味だった。各紙の記事はごく小さく,これでは気づかなかった人も少なくあるまい。

昨年11月26日午後,現地付近を歩いてみた。バグマティ河畔は荒涼としていて,散乱するゴミに枯れ木のカラス,まるで賽の河原。午後の日差しポカポカなのに,あまりの不気味さで寒気がした。

そのバグマティ川西側のダクシンカリ道路に面して「カトマンズ盆地上水道公社」があり,その一角に今回の太陽光発電援助事業の説明板が掲示してある。しかし,これも地味。注意していないと,見落としてしまう。

援助広報がどうあるべきかは,たしかに難しい課題であろう。やらないと,日本の援助努力が一般の人々に知られないままとなるし,今回のような先駆的的案件だと,ネパールの人々が将来のエネルギーを考えるための問題提起,選択肢提示の役割を十分に果たせないことにもなる。

日本人の奥ゆかしさは美徳ではあるが,多様な異文化のせめぎ合う世界社会にあっては,効果的な援助広報にもう少し努力することも必要ではないだろうか。

130117g ■KUKL付近(Google)

130117d 130117c 
■バグマティ河畔の仏像とカラス(2012-11-26)

130117e 130117h
■KUKL(Google) / バグマティ東河畔設置の発電パネル(?)。(Google)

130117a ■KUKL構内の援助事業説明パネル(11-26)

130117b ■上掲写真左上部分(11-26)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/01/17 at 11:51

カテゴリー: 経済, 外交

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転轍機を右に切り替えた朝日主筆

朝日新聞1月12日付朝刊は,若宮啓文主筆の文章を,1面左8段と13面全段全ページ(広告なし)に掲載している。1面タイトル:「『改憲』で刺激 避ける時」,13面タイトル:「私の見た政治の40年」。 1月16日退任を前にしての文章ということだが,いくら主筆とはいえ,「社会の公器」たる新聞紙面を,こんな「私事」に使用してよいのだろうか?

1.無内容な「私の見た政治の40年」
13面(オピニオン)には,全ページびっしりと,1970年以降の若宮主筆の「思い」が書き連ねてある。内容的には,この間の日本政治史のおさらいであり,通読には相当の忍耐が求められる。この程度のことであれば,ネットの方が,無料で,はるかに要領よく,詳しく解説してくれている。

2.曖昧社説による進路切り替え
問題は1面の文章。そもそも「『改憲』で刺激 避ける時」というタイトルが,意味不明。改憲問題について,若宮主筆はいったいどのような意見を持っているのか? こんな風に書かれている――

「憲法9条では自衛隊の説明がつきにくいことから,憲法のあり方が論じられてきたのは無理もない。・・・・9条を改めることがすべて危険だなどとは思わない。」

この曖昧な立場から,朝日新聞は2007年の「社説21」により,自衛隊違憲論から合法論へと社説を切り替えた。朝日は長きにわたり自衛隊違憲論を採り護憲世論をリードしてきた。産経や読売の改憲論とはわけが違う。朝日変説のインパクトは強烈であり,これにより護憲派は総崩れとなった。

3.無責任な変節
この朝日の変説は,正確には,むしろ「変節」である。状況が変化した場合,説を変えることがあるのは当然だ。この場合,変説の理由が合理的に説明されるなら,賛否は別にして,少なくとも説を変えたことそれ自体は理解できる。ところが,朝日の変説には合理的な説明はなく,したがってそれは許されざる「変節」である。

若宮主筆は,こう言い訳をしている――

「少々分かりにくさがあっても9条は変えず,自衛隊は軍隊としない方がよいと結論づけ,2007年5月3日に『社説21』をお届けした。・・・・自衛隊をきちんと位置づけるため,準憲法的な平和安全保障基本法の制定も唱えた。」

「分かりにくさ」とは,いったい何か? 国家の基本法たる憲法,しかも最も危険な「軍隊」の憲法規定について「分かりにくさ」を認めながら,その曖昧な憲法解釈に基づき「準憲法的な平和安全保障基本法」で自衛隊の合法化をはかる。若宮主筆は,「平和安全保障法」の合憲性について,あるいはより根源的には日本における「法の支配」について,どのように考えておられるのか? こんな曖昧な憲法解釈で「暴力装置」たる自衛隊がコントロールできると,本当に考えておられるのだろうか?

4.右に切り替えられた進路
「社説21」あるいは若宮主筆の議論は,護憲派にとっては致命的な打撃となった。これにより転轍機は右に切り替えられたが,まさに「少々分かりにくさ」があるがゆえに,護憲派にとっては批判しずらく,改憲派にとっては攻撃しやすかった。改憲派は朝日変説の不合理を攻撃しつつ,「変節」の実は巧みに,貪欲に,すくい取った。「社説21」以降,日本世論の進路は改憲へと切り替えられ,もはや逆転は少々のことでは望めそうにない状況となっている。

「改憲で刺激」をしたのは,産経や読売というよりはむしろ,「社説21」あるいは若宮主筆である。その反省なしに,刺激を「避ける時」とは,いったいどういうことなのか? お得意のマッチポンプではないのか?

5.「社説21」の撤回を
「私事」を語る暇があったら,「社説21」を撤回し,「改憲で刺激」の元凶を自ら取り除くべきである。そもそも憲法9条に「分かりにくさ」など,みじんもない。もし分からなければ,小学校に行き,虚心坦懐に生徒に教えを請うべきであろう。

【参照】
海外派兵を煽る朝日社説
良心的兵役拒否国家から地球貢献国家へ:朝日の変節
朝日社説の陸自スーダン派兵論

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/01/14 at 11:22

カテゴリー: 平和, 憲法

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