ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

制憲議会選挙2013(5):多党共生文化

キルティプルの丘は,政党の旗や選挙シンボル,ポスターなどで満艦飾だ。カトマンズ市内や一昨日回った北部郊外では,政党のポスターや旗が,いたるところで破られたり,はがされたりしていた。ところが,不思議なことに,キルティプルの丘では,そのようなことはない。なぜだろう?

●カトマンズ第10選挙区(キルティプル他)
[有権者数]62,573人
[立候補者数]39人
「立候補者/掲載順」
  S.マナンダール CPN-M(シンボルマーク:太陽)
  PK.ダハル(プラチャンダ)UCPN-M(槌と鎌)
  D.マハルジャン RPPネパール(雌牛)
  RK.ケーシー NC(樹)
  B.ダンゴール CPN-M(鎌と星)
  ほか34名  

この選挙区からは革命英雄プラチャンダが立候補しているので,統一共産党マオイスト(UCPN-M)の旗やポスターが多いのは,当然だ。次に多いのが共産党UML。コングレス(NC)はかなり少ないが,それでも丘の南西部の一角は,NCのシンボル「樹」を描いた旗で埋め尽くされている。他党は,立候補しているものの,旗やポスターはごく少ない。大衆動員の選挙戦は,事実上,マオイスト,UML,コングレスの三大政党によると見てよいだろう。

さてそこで,三大政党を中心に各党の旗,選挙シンボル,ポスターなどの配置や掲示方法を見てみると,不思議なことに気がつく。キルティプルでは,マオイストとUMLとNCが並んで,あるいはマオイストとUMLまたはマオイストとNCという組み合わせで,旗やシンボルマークが掲げられているところが多い。他党を排除していないのだ。

たしかに今回は選管が「選挙運動規則」を大幅に強化している。しかし,それはカトマンズ市内でも同じことであり,強化された「選挙運動規則」だけが理由とは思われない。キルティプルでは,各党の小旗が行儀よく並んで立てられているところが多いし,小旗を連ねた横断幕も相互に調整して張られていると思われるからである。この各党の旗の「調和的」掲示を見ると,各党の上に立つ,あるいは各党間を調整する何らかの意思の存在を感じざるをえない。

その意思は,おそらく共同体のそれであろう。キルティプルのような緊密な共同体で,他党のポスターを破ったり,暴力沙汰を引き起こしたら,大変なことになる。だから,政党が共同体に入ってきても,共同体を守るため,共同体として政党間の調整をしている。そうとしか考えられない。(選管がさらに強化されれば,日本のように指定場所への選挙ポスター掲示が義務づけられるかもしれない。)

ティハール/ネワール新年明け後,状況がどうなるか,観察を続けたい。

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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/11/05 @ 20:02

カテゴリー: 選挙, 政党

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