ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

制憲議会選挙2013(10):中華街形成と中国プレゼンス

ネパールにおける中国のプレゼンス(存在感)が,急速に高まっている。制憲議会選挙でも,直接どの勢力に加勢するというわけではないが,選挙実施を繰り返し働きかけ,ネパール選管には百数十万ドル相当の選挙用品を援助した。もはや中国プレゼンス抜きでは,ネパール政治は,選挙ですら語れなくなった。

かつて日本は,対ネパールODA世界一であり,ネパールには日本人旅行者が大挙押し寄せていた。しかし,日本は世界に冠たる政治小国,国王(王制)の権威づけに利用されたくらいで,政治的には存在感は乏しかった。これに対し,中国は政治大国,その存在感の急拡大は,日常的にも感じることが出来るようになった。

たとえば,中華街の形成。選挙見学で街を見て回っていると,あちこちに中国系商業施設や飲食店が出来ているのに気づく。中国人旅行者も激増した。これは,ジャタのチャイナタウン。

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この付近には中国人向け商店や飲食店が林立し,中国人街が形成されつつあるといってよい。看板の多くも中国語に変わった。

先日,その中華街の庶民向け料理店に入ってみた。あちこちの円卓で中国人客が,豪快・奔放に食事をしている。中国そっくり。味もよい。メニューを見ると,全部本物かどうか分からないが,「牛肉」使用料理もふんだんにある。

日本は,対ネODA世界一で大量の旅行者を送り込んでいたときでも,日本人街の形成にはいたらなかった。日本料理店も,ごく一部の超高級店を除き,多くは「日本風」料理にとどまり,結局はネパール化されていった。

これに対し,政治大国にして文化大国の中国は,ネパールでも本格的な中華街を形成しつつある。中華料理は「中華風」ではなく,本物の中華料理である。ニセモノが本物にかなうはずがない。いずれ日本料理店は中華料理店に駆逐されてしまうだろう。

このような日常的な中国の存在感の高まりが,政治的プレゼンスに寄与するのは必然。中国は政治巧者だから,選挙への直接介入は,今のところない。しかし,欧米(カーターセンターなど)の介入がさらに強まれば,中国がこの数年来の対ネ積極外交の一層の強化で対抗することは避けられない。

ネパールでは,国内選挙も国際政治の場なのだ。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/11/14 @ 13:46

カテゴリー: 選挙, 中国

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