ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

Archive for 5月 2013

中国の対ネパール政策:消極的関与から積極的関与へ

1.対ネパール政策の転換
中国は,この数年で,対ネパール政策を大きく転換した。以前は,ネルー・周恩来合意により,ネパールはインド勢力圏内とされ,中国はチベットに重大な影響がないかぎりネパールに積極的には関与してこなかった。必要最低限度の消極的関与といってもよいだろう。

ところが,マオイスト人民戦争終結(2006年)の前後から,中国は対ネパール政策を転換,積極的に関与し,影響力の拡大を図り始めた。

 130530a ■中国大使館HP

2.駐ネパール中国大使の交代
中国の対ネ政策の転換は,駐ネ中国大使の交代からも見て取れる。

2008年11月着任の邱国洪大使(大阪総領事から転任)は,dnaindia(Mar18)によれば,ネパール国内のチベット解放運動への対応がまずく,任期途中で本国へ召還されてしまった。これに対し,2011年6月着任の楊厚蘭大使はチベット解放運動対策を評価され,中国にとってはより重要なミャンマーへ大使として栄転したという。

その後任として2013年2月に着任した現大使,呉春太(Wu Chuntai)氏は,その経歴からして,注目される。呉大使は,外務省に入り,トルコ,北アイルランド,香港勤務を経て外国安全局副局長(Deputy Director General of the Department of External Security)となる。主に情報対策,在外中国人保護,そしてチベット,新疆,台湾の安全保障を担当してきた。

この呉春太氏の大使任命は,ネパールにおけるチベット解放運動対策強化のためと見てよいであろう。

 130530 ■呉春太大使(中国大使館HP)

3.チベット解放運動取締り
呉大使は,着任後すぐ(3月11日),ヤダブ大統領と会見し,チベット解放運動規制の言質をとりつけた。

新華社(3月12日)によれば,ヤダブ大統領は「中国援助の継続を期待している」と述べ,「一つの中国政策を支持すると繰り返し,ネパール・中国国境の警備に万全を図る」と約束した。これに対し呉大使は,「われわれの重大国益へのネパールの支持を中国は高く評価し感謝する」と応えた。着任早々,大成果である。

3月15日には,ギミレ副首相(兼内相・外相)を訪問。ギミレ副首相は「われわれは一つの中国政策を支持しており,隣国への反対運動にわが国を利用させることはない」と呉大使に約束した。

プラチャンダUCPN-M議長とは4月18日に会見し,次のような発言を引き出した。「カトマンズのチベット難民のチベット解放運動を規制し,反中国運動をやめさせる。・・・・両国の安定と国民統合を,宗教の自由や人権の名をもって攻撃させはしない」(asianews, David Wood, contactmagazine, Apr23)。

4.親中派の育成
中国の積極的関与政策の遂行には,政官財学など,各界各層での親中国派の育成が不可欠となる。この戦略に沿って,呉大使は着任早々,精力的にネパール要人と接触している。一部紹介する。
 3月11日:ヤダブ大統領に信任状を提出し,会談 / MK・シュレスタ前副首相兼外相(UCPN副議長)と会談
 3月12日:プラチャンダUCPN議長と会談
 3月15日:ギミレ外相と会談 / カナルUML議長と会談
 3月28日:ネパール産業会議(CNI)出席
 3月29日:RC・ポウデルNC副党首と会談
 4月 3日:ネパール商工会議所(FNCCI)訪問
 4月11日:MK・ネパールUML幹部と会談
 4月12日:中国教育展出席。M・ポウデル教育大臣同席 / 中国研究センター訪問
 4月15日:カトマンズ大学孔子学院訪問
 4月22日:スシル・コイララNC議長と会談

他方,ネパール要人の中国招待も相次いでいる。
 4月14-20日:プラチャンダUCPN議長。習主席と会談(4月18日)
 6月4~9日頃:GS・ラナ軍総監(CoAS)
 6月第2週:カナルUML議長
 日程未定:スシル・コイララNC議長 / バブラム・バタライ前首相(UCPN副議長) / ヒシラ・ヤミUCPN中央委員

中国は,制憲議会選挙前にネパール要人を片っ端から招待し,親中派を育成し,選挙後の新体制への影響力拡大を狙っているのだ。

また,留学生受け入れも増大している。新華社(5月12日)によると,2012年度の中国受け入れ留学生32万人,そのうちネパール人は3千人(中国政府奨学生100人)だという。

中国政府は,ネパール人留学生をさらに増やすため,中国教育展なども開催している。この5月12日の教育展には,中国13大学が参加し,開会式には呉大使とM・ポウデル教育大臣が出席した。

中国政府は,カトマンズ大学に孔子学院を開設し,また中国語教師を多数派遣するなど,明確な戦略に基づき,教育文化外交を展開している。その結果,ネパール人学生の関心は,これまでのインド留学から中国留学へとシフトし始めたという(Rajesh Joshi, BBC Asia, May8)。

5.開発援助の2目的
中国は,すでにネパール開発援助を激増させている。
 ・西セティ(750MW)事業,2012年契約
 ・上部タマコシ事業(456MW)
 ・アルニコ道路(カトマンズ―コダリ)改良事業
 ・Shaphrubesi-Kerng改良事業(10年で完成予定)
 ・他に,ポカラ空港,カトマンズ環状道路,カトマンズ―Chakrapath道路など,進行中,計画中のものがいくつもある。

こうした対ネ開発援助の最大の目的は,いうまでもなくチベット対策である。The Times of India(May12)によれば,中国大使館員はフムラ,ムスタンなど,北部国境地域を定期的に訪れ,治安調査をし,地方当局との関係強化を図っている。北部15郡への援助を増やし,特に警察署の改善・強化を支援しているという。

対ネ開発援助のもう一つの狙いは,南アジアへの南下の通路とすること。このことは,中国がチベット―ネパール間の道路・鉄道建設に繰り返し言及していることを見ても明らかだ。たとえば,呉大使もカナルUML議長との会談の際(3月15日),鉄道のネパール延伸を打診している。

6.ネパールの4Sとプラチャンダ
こうした中国のネパール関与において重要な役割を果たしていると思われるのが,プラチャンダUCPN議長だ。

呉大使は,ネパールの4Sをあちこちで称賛している。Smile(笑顔),Sun(美しい自然),Sagarmatha(エベレスト),Siddhartha Gautam(仏陀)。(サガルマータを省き,3Sとされるときもある。)孔子学院では,「ネパール=中国観光交流計画」に触れ,「中国政府はネパールの観光インフラ整備に関心を持っている」とし,特にポカラとルンビニの観光開発の重要性を指摘した。PATA Nepalは,2015年の中国人観光客を21万5千人と見込んでいる。

中国のネパール観光開発は本気であり,もしそうだとすると,プラチャンダの「ルンビニ大開発」も単なるホラ話ではないことになる。ルンビニ国際空港が建設され,鉄道でラサ―カトマンズ―ルンビニが直結されることになるかもしれない。

プラチャンダは,アジア太平洋交流協力基金(APECF)の副議長(副代表)だ。議長(代表)のXiao Wunan氏は,習主席に近い人物といわれている。ルンビニ大開発には,仏教徒を取り込み,チベット解放運動に対抗させる狙いも見え隠れする。

Dnaindia(May18)は,こう書いている。「特にプラチャンダUCPN-M議長の政治力増大とともに,中国の影響力はネパール中に急拡大してきた。」

――以上の議論は,インド・西洋の情報源もあり,偏りがあるかもしれないが,それでも中国の対ネパール政策が積極的関与へと変化してきたことはまず間違いないと見てよいであろう。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/05/30 at 23:50

共通番号制度法とパノプチコン社会

共通番号制度法が2013年5月24日,自民,公明,民主,みんな,維新の賛成多数で可決成立した。反対は,共産,社民,生活など。

朝日記事(5月22日)によれば,2015年10月から,全国民に11桁の番号が振られ,下記のような個人情報が,その番号で一元管理される。運用は2016年1月から。

【収入や資産】
・給料や家族の状況 ・保有する不動産やその評価額
【医療・年金・福祉など】
・かかった医療機関や医療費の金額 ・医薬品による副作用の救済 ・新型インフルエンザなど感染力が強い病気での入院 ・年金の保険料や年金額 ・確定拠出年金(日本版401k)記録 ・介護保険の保険料やサービス利用 ・身体障害者手帳の交付 ・障害者支援施設などへの入所 ・障害者に対する自立支援給付 ・公営住宅を借りた記録 ・生活福祉資金貸し付け ・生活保護に関する記録 ・被災者生活再建支援金の支給 ・石綿による健康被害救済のための遺族給付 ・中国残留孤児への支援給付 ・心神喪失の状態で重大な他害行為を行った人の診断や治療
【雇用】
・雇用保険の失業給付 ・労災保険の給付 ・未払い賃金の立て替え払い ・職業訓練を受ける人への給付金
【子育て・教育】
・母子健康手帳の交付 ・受けた予防接種の時期や種類 ・児童手当の支給 ・高校の就学支援金 ・日本学生支援機構からの奨学金 ・学校でのケガなどに支給される日本スポーツ振興センターの給付金 ・里親の認定

この共通番号制度は,住基ネットやIC免許証(下記リンク参照)などとは桁違いに使い勝手のよいシステムだ。個人情報の宝の山。こんなおいしい情報は狙われ,あるいはあまりの巨大さ・複雑さのため「不注意」や「事故」で,必ず漏れる。そして,いったん漏れたら,その悪用による被害は広範・深甚で,回復はほぼ不可能だ。

いや,たとえ漏れ悪用されなくとも,この制度は権力による「善用」の方がむしろ恐ろしい。市民は,権力の前で丸裸にされ,優しく管理される。四六時中見守られ,どこにも隠れるところはない。プライバシーはない。

見えないところ,たとえば風呂場や寝室やトイレは,見えるところよりも本質的に危険である。強盗,痴漢,変質者が侵入するかもしれないし,あるいは病気や事故で生命が危うくなるかもしれない。だから,安全第一とするなら,防犯カメラや見守りカメラをつけ,誰かが,常時,見ている体制をとるべきである。

しかし,たいていの人は,そのような場所へのカメラ設置は拒絶する。なぜなら,いつも見られていることに,人は耐えられないからである。完全無影の白日の下,人は人としては生きられないと,直感的に感じ取る。人間の本性は,隠れつつ見せること,あるいは見せつつ隠すところにある。

共通番号制は,その人間本性への挑戦である。万人監視の「パノプチコン社会」への原理的転換。むろん,このパノプチコン社会でも生きられないことはないが,それは隠れることを一方の本性とする人間ではなく,生物としてのヒトにすぎない。

【参考】
ネット魚拓と「ログ保存法」
フェイスブックの恐怖(2)
フェイスブックも金次第?
フェイスブックとツイッター:現代の神の地上における代理人
Facebookの恐怖・再説
IT企業に丸裸にされる市民
危険なIC免許証,暗証番号の無効化を

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/05/26 at 10:11

米軍基地京都設置問題関係資料:前泊編著『日米地位協定入門』

米軍基地ができると,京都・丹後はどうなるのか? それは,この本を読むと,手に取るようによく分かる。
  ■前泊博盛(編著)『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』創元社,2013年3月
  【参考】米軍経ヶ岬基地年表

本書によれば,在日米軍は,日米安保条約,地位協定,および他の諸々の合意や「密約」により,日本国内で自由に行動する広範な権限を認められている。

米軍関係者には日本への「出入国自由の特権」があり,米軍基地には「排他的管理権」がある(p35)。米軍には日本の法律が適用されず(p75),米軍基地は一種の「治外法権」であり(p73),米兵犯罪はほとんどまともには裁かれない(p73)。

法的には,安保条約等の日米条約群が憲法を含む日本の国内法に優位しており,その意味では「日本は法治国家ではない」(p238)。日本は,アメリカの属国・植民地であり,「主権国家とはいえない」(p86)。

本書は,在日米軍と米軍基地のこのような恐るべき実態を,豊富な実例と資料を用い,具体的に解明し,分かりやすく解説している。

いま京丹後市・経ヶ岬に設置されようとしているのは,まさに本書が告発する,そのような米軍基地である。

このような米軍基地は,いったん設置してしまったら,もはや撤去はおろか,最低限の監視や規制すらできない。いくら人権や民主主義を主張しようが,シビリアン・コントロール(文民統制)を叫ぼうが,馬耳東風,「治外法権」や軍事機密で守られた米軍や米軍基地を,いったい誰が,どのようにしてコントロールするというのか。

原発と同様,米軍基地にも,様々な甘い利権が付き,地域はすぐ分断され,取り込まれ,基地依存経済に転落してしまう。

そして,経ヶ岬基地には,160人もの米兵や軍属が配属される。橋下徹大阪市長があからさまに指摘したように,軍人・軍属の有り余る性的欲求は,何らかのかたちで慰安されなければならない。経ヶ岬基地でも,そのための慰安・娯楽の場が,必ず近辺の町村,たとえば宇川,伊根,間人,網野,峰山,宮津などにつくられるにちがいない。

橋本市長は,軍隊と性的慰安の必然的関係を指摘した点では,決して誤ってはいない。軍隊に性的慰安・娯楽施設はつきものだ。そして,もし橋本市長が沖縄米軍司令官に提案した合法的風俗業の活用で満足できなければ,性暴力に走りがちなこと,これまた事実だ。韓国や沖縄などで繰り返されてきた米軍関係者の性犯罪を見れば,これは明白だ。

しかも,そうした犯罪は,米軍特権や治外法権により,まともに裁かれ,処罰されることもない。

米軍基地の受け入れは,地域社会の健康と安全を根こそぎ放棄することにほかならない。日米の産軍官複合体の利益のために。

130524a
   ■本書の帯

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/05/24 at 19:19

ギャネンドラ元国王,マオイストから立候補か?

各紙報道によれば,マオイスト(UCPN-M)のKB・マハラ常任委員が,5月21日のネパールガンジでの記者会見で,ギャネンドラ元国王を11月予定の制憲議会選挙におけるマオイスト候補とする可能性を示唆した。

「過去を反省するなら,元国王に偏見を持つ必要はない。普通の市民として生活してきたのだから,わが党でも他のどの党でも元国王を立候補者として登録してもかまわないだろう。」(ekantipur, May21)

「ギャネンドラ元国王が普通の一市民として入党するなら,マオイストは彼を党公認候補とすることを躊躇しないだろう。」(Himalayan, May21)

これは,にわかには信じがたい話であり,マハラ常任委員も,「しかし,元国王は王制復古を夢見ているので,わが党は受け入れないだろう」(ibid)と,慎重に留保をつけている。

しかし,留保は留保であり,条件が満たされれば,解除される。周知のように,マオイストは,人民戦争末期に,ギャネンドラ国王に初代大統領になるよう提案したことさえあった。少なくともマオイスト幹部は,ギャネンドラ氏を,常に,絶対的に拒絶してきたわけではない。

だから,次の制憲議会選挙でマオイストが勝利すれば,「ギャネンドラ大統領=プラチャンダ首相」の豪華二頭制が成立する可能性がないわけではない。

マハラ常任委員の記者会見は,単なるリップサービスか,それとも観測気球か? さすが不思議の国ネパール,目が離せない。

130523 ■50ルピー札のギャネンドラ国王(Wikimedia Commons)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/05/23 at 16:42

カテゴリー: マオイスト, 国王

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ネット魚拓と「ログ保存法」

大海の大魚ならいざ知らず,虚構インターネット海のわが小魚ブログですら,ネット魚拓にとられてしまった。IT素人で,仕組みは全くわからないが,どうやら表示した画面をそのままコピーし,どこやらのサーバーに保存し,いつでも利用できるようにするサービスらしい。

便利は便利。たとえば,新聞ネット記事は,しばらくすると消されてしまうことが多い。ところが,表示した記事を魚拓にとっておけば,いつでも読むことが出来る。著作権違反かもしれないが,ネットに著作権など,事実上,ありはしない。ネットに掲載したら,もはや万人のもの,コピーされようが,ポルノ画像と組み合わせ利用されようが,どうしようもない。

それはそうなのだが,魚拓される側からすれば,自分のものが自分のものではなくなり,必要な追加・修正もできず,それどころか不本意な形で利用されても,お手上げ。「やめてくれ!」と一応は言ってみたものの,こんなことは別の方法で,皆やってきたことであり,どうしようもない。自業自得。ばらまかれ,勝手に利用されるのがイヤなら,書き込むなということ。

このネット魚拓に限らず,ネット情報はすべて,どこかに記録されているとするなら,安倍政権が目論む「ログ記録法」がもし本当に制定されたら,これは恐ろしいことになる(「ネット接続履歴の保存 業者に義務づけ検討」朝日2013/5/21)。また,ケイタイ位置情報の提供義務付けも拡大され制度化されそうだ(「ケイタイ位置情報 消防に提供」朝日2013/5/22)。

私たちは毎日,メールやHP閲覧,あるいは売買や送金など,多くの情報をネットを介してやりとりしている。その履歴はどこかに保存され,あるいは魚拓にとられている。「ログ保存法」や「位置情報保存法」が制定されれば,自分ではコントロールできない自分の情報を,権力は,より広範に都合よく,強制的に押収し,利用できるようになる。もはやプライバシーの自由はない。

安全のため,メールもネットも断念せざるを得ない日が来るのは,そう遠いことではあるまい。

 130522 ■緊急時・位置情報通知システム(総務省HP)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/05/22 at 08:45

米軍経ヶ岬基地・年表

米軍Xバンドレーダー基地の京丹後市経ヶ岬への設置準備が進められています。とりあえず,経過概要を年表にしました。随時,追加・修正します。

経ヶ岬米軍基地・年表(資料リンク付)

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2006年
1月 防衛省「Xバンド・レーダーについて」 作成
2月28日 共産党・高橋千鶴子衆院議員「航空自衛隊車力分屯基地へのXバンド・レーダー配備に関する質問主意書」
3月10日 小泉首相「衆議院議員高橋千鶴子君提出航空自衛隊車力分屯基地へのXバンド・レーダー配備に関する質問に対する答弁書」
3月 防衛庁「Xバンド・レーダー:展開の概要」作成
3月 Xバンドレーダー検討会「Xバンドレーダー検討結果報告書」 作成

2013年
2月22日 日米首脳会談で,安倍首相とオバマ大統領がXバンドレーダーの追加配備に合意。年内に京丹後市経ヶ岬に配備予定。近畿初の米軍基地。
2月26日 防衛大臣記者会見において,Xバンドレーダー配備について説明。防衛省職員,京丹後市の中山市長訪問,Xバンドレーダー配備への理解要請。
2月27日 京丹後市,基地周辺8地区に,防衛省の説明内容を報告。
2月28日 伊根町,Xバンドレーダーの住民への影響について防衛省の説明を求めるよう,京都府に要請。説明を求める要点:電磁波等の健康への影響,関係要員の内訳・居住場所,軍用車の町内道路通行,漁業・農業等への影響。
3月 6日 防衛省近畿中部防衛局・平松友和企画部長が,井上宮津市長に,Xバンドレーダー配備計画について説明(非公開)
3月 8日 防衛省職員,与謝野町・太田貴美町長にXバンドレーダー配備計画について説明
3月 8日 京都の労働組合,「京丹後市への米軍「Xバンドレーダー」配備に反対する申し入れ書」を京都府知事に提出(署名組合:京都自治体労働組合総連合,京丹後市職員労働組合,伊根町職員組合,宮津市職員組合,与謝野町職員組合)
3月11日 防衛省,京丹後市で住民説明会,宇川小学校,住民240人参加
3月12日 防衛省,京丹後市で住民説明会,丹後地域公民館。(11,12日で住民約400人参加)
3月22日 「TPY-2レーダー(Xバンド・レーダー)に係る説明」:(場所)京都府庁,(出席者)防衛大臣政務官・佐藤正久,防衛省地方協力局地方調整課長・古屋剛,防衛省地方防衛局近畿中部防衛局長・及川博之,山田京都府知事,山内副知事,山田危機管理監,中野総務部長
3月26日 防衛省の金沢博範事務次官,京丹後市において,配備計画を中山泰市長に説明
4月 4日 伊根町総務課「Xバンド・レーダーの追加配備計画に関する住民説明会」浦入集会所(対象:浦入区民,長延区民)
4月 5日 伊根町総務課「Xバンド・レーダーの追加配備計画に関する住民説明会」伊根町コミュニティセンターほっと館(対象:伊根町民)  
4月 9日 大村隆・京丹後市副市長,近畿中部防衛局長にあて,「米軍TPY-2レーダー(Xバンド・レーダー)の配備について(照会)」提出
4月11日 4月11-12日,京丹後市議会・基地対策調査特別委員会が,米軍車力通信所(青森県つがる市)視察
4月17日 山田知事,車力分屯基地視察
4月22日 佐藤正久・防衛政務官,京都府庁において,山田知事に配備計画について説明
4月24日 防衛省「京丹後市からの質問に対する回答」提出
4月24日 及川博之・防衛省地方防衛局近畿中部防衛局長,山田知事の質問への回答文書を京都府に提出
4月27日 防衛省回答書「京丹後市からの質問に対する回答」に関する京丹後市説明会,宇川小学校体育館
4月28日 山田知事,経ヶ岬基地視察(45分間),住民との意見交換(中浜区民会館)
5月 1日 「米軍基地建設反対丹後連絡会」,京丹後市において結成総会。20団体参加。連絡会会長:岩崎 晃
5月 9日 防衛省回答書「京丹後市からの質問に対する回答」に関する京丹後市説明会,丹後地域公民館大ホール(間人)
5月10日 防衛省回答書「京丹後市からの質問に対する回答」に関する京丹後市説明会,峰山小学校体育館
5月10日 京都府「TPY-2レーダー(Xバンド・レーダー)に係る再質問・追加質問」提出
5月16日 京丹後市議会・基地対策調査特別委員会「(米軍車力通信所)視察報告書」作成
5月22日 米軍基地いらない京都府民の会・結成集会(京都市,ラボール京都)

 * 随時,追加・修正します。誤記等があれば,お知らせください。

130516c

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/05/20 at 21:14

ネパールとスイス

スイスは,大国に囲まれた小国にとって,つねにモデル国家の一つであった。惨敗により貧困弱小国に転落した日本も,「東洋のスイスたれ」といわれ,一時その気になったこともあるが,すぐ冷戦に組み込まれ,それを利用して身分不相応の経済大国にのしあがった。そして,その泡沫のバブル経済が破綻し,落ち目になると,こんどは軍事大国を目指している。日本は,ほぼ一貫して,「単一民族」の強大国が目標であり,多民族永世中立国スイスはモデル国家とはなり得なかった。

これに対し,ネパールは,印中両大国に挟まれた多民族小国であり,存続のため,多かれ少なかれスイス的な生き方をしてきた。地政学的に,ネパールにとって,それは不可避の選択であったといってもよいであろう。

と,そんなことも考え,スイスを見てくることにした。といっても,割高の個人旅行は無理なので,格安カミカゼ団体旅行でチケットとホテルを確保し,自由時間の範囲内で歩き回ることにした。

スイスについては,ほとんど何の知識も無い。そこで,とりあえず近所の図書館から旅行ガイドを数冊借りてきて目を通したが,いずれも恐ろしく平板・無味乾燥,「スイスなんか行くな!」と警告しているようなものばかり。ネパール旅行ガイドの方が,はるかに充実している。まか不思議?

スイスはこんなつまらない国かな,といぶかり,旅行案内ガイド以外の本を借り,また自分でも何冊か買って読んでみると,またびっくり,いずれもなかなか面白い。俄然,期待がふくらみ,出発が待ち遠しくなった。以下,何冊か紹介する。

130519b
 ■ネパール大使館HP(ジュネーブ)

●長坂道子『「モザイク一家」の国境なき人生:パパはイラク系ユダヤ人,ママはモルモン教アメリカ人,妻は日本人,そして子どもは・・・・』光文社新書,2013年2月
出版されたばかりの新書。著者はフリーのジャーナリスト,エッセイストで,本書の長い副題にある「妻」。内容は,副題が示すように,イラク系ユダヤ人を父としモルモン教アメリカ人を母とするアメリカ国籍の男性と結婚し,スイスに住む著者の「私的世界史」(p3)。

多文化・多民族の未来を先取りしたような一家であり,その日常生活を見ると,国家・国境に閉じ込められ縛られたわれわれの「常識」が根底から覆される。「美しい国」日本の,内弁慶国粋主義者必読文献。

●福原直樹『黒いスイス』新潮新書,2004年3月
著者は,毎日新聞外信部ブリュッセル支局長(出版時現在)。1994年から6年間,ジュネーブ特派員。

書名はおどろおどろしく,また表紙カバー紹介文も次のようになっている。
「永世中立国で世界有数の治安のよさ。米国などを抜き,常に「住んでみたい国」の上位に名を連ねる国,スイス。しかしその実態は――。「優生学」的立場からロマ族を殲滅しようと画策,映画“サウンド・オブ・ミュージック”とは裏腹にユダヤ人難民をナチスに追い返していた過去,永世中立の名の下に核配備計画が進行,“銀行の国”でまかり通るマネーロンダリング……。独自の視点と取材で次々と驚くべき真相を明かす。」

この書名とカバー紹介文からは,センセーショナルな告発本,売らんかなの際物という印象を受ける。しかし,内容そのものは,実際には,第一印象とは逆の上質なジャーナリズムである。

著者は,スイスにはナチとの関係,核開発,相互監視など,「黒い」側面があることを容赦なく指摘する。しかし,それは決して一面的,一方的非難ではなく,スイスの繁栄と平和をより深く理解しようとする生産的な批判である。本書は,心地よい観念論にまどろむ民主主義者や平和主義者にとって,必読文献。

●森田安一『物語 スイスの歴史:知恵ある孤高の小国』中公新書,2000年7月
著者は日本女子大学教授で,専攻はスイス史,宗教改革史(出版時現在)。本書は,ケルト時代から20世紀末までのスイス通史。各時代の問題が簡明に記述されており,興味深く読みやすい。表紙カバーの内容紹介は以下の通り。

「ヨーロッパの中央に位置するスイスはユニークな国である。風光明媚な観光地として知られる一方,国民皆兵の永世中立国でもある。多言語・多文化の連邦国家で,各カントン(州)の自治権が強い。中央集権化に対する国民の反発は根深く,国連やEUにも加盟していない。こうした強烈な個性はどのように形作られたのか。内部分裂の危機と侵略の脅威にさらされつづけた歴史をひもとき,この国に息づく独立心の源をさぐる。」
   (筆者注:2002年9月スイス国連加盟)

●國松孝次『スイス探訪:したたかなスイス人のしなやかな生き方』角川書店,2003年4月
著者は前スイス大使・元警察庁長官。赴任先の国のことを書いた元大使の本にはあまりおもしろいものはないが,本書は別。記述は具体的であり平明。以下,「あとがき」から抜粋。

「スイスがハプスブルク家その他の外国勢力と熾烈な争いを繰りひろげながら,ずっと死守してきたのは,自らの住む共同体の結束と自らのことは自ら決するという住民主権の直接民主制であった。そして,その上に,成熟した多様な地域文化が温存されてきたのである。」(p223)

「スイスは小さい割に複雑で,人々は様々な意見を持ち,したたかである。・・・・十把ひとからげにして『スイス人』などといえる人は,実はどこにもいないのである。」(p226)

●笹本駿二『スイスを愛した人びと』岩波新書,1988年11月
20世紀の巨人5人のスイス滞在を中心に考察。扱われているのは,ローザ・ルクセンブルク,アインシュタイン,レーニン,ジェームス・ジョイス,トーマス・マン。

130519 ■スイス大使館(カトマンズ)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/05/19 at 15:53

カテゴリー: 旅行, , 民主主義

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