ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

HRW報告書「中国の影の下で: ネパールにおけるチベット人虐待」

「HRW(人権監視)」が報告書「中国の影の下で: ネパールにおけるチベット人虐待」を発表した。100頁余の大冊。HRWニュースの要約紹介によれば,ネパールのチベット人の境遇は下記の通り(https://www.hrw.org/news/2014/04/01/nepal-increased-pressure-china-threatens-tibetans)。
 ・政治デモは,事実上,禁止。
 ・チベットの文化や宗教の促進は,厳しく制限。
 ・治安部隊による人権の日常的侵害。恣意的拘禁,拘禁中の虐待,威嚇的監視など。
 ・中国・ネパール治安関係諸協定の締結により,監視・取り締まり強化。
 ・中国・ネパール国境警備協力にもとづく,国際法違反のチベット人強制送還。
 ・チベット人の約半数に身分証明書発行なし。生活全般に大きな困難。

  ▼HRWの勧告

ネパール政府がなすべきこと:
チベット人の中国強制送還をやめ,「追放・送還禁止(Non-refoulement)」国際法を遵守すること。有資格チベット人全員に難民身分証を直ちに発行すること。
中国政府がなすべきこと:
正式文書なしに国境を越えたか,もしくは越えようとしたことを理由として逮捕したチベット人に対する恣意的な拘束,拷問あるいは他の不適切な処遇を,直ちにやめること。ネパール政府に圧力をかけ,国際人権法や難民法に反する政策をとらせることをやめること。

チベット難民問題は,小国ネパールの手に余る難問といっても決して過言ではない。どのような条件が整えば,ネパール政府はHRW勧告を実行することができるのか? ネパールの,というよりは,むしろ米欧や国際社会の,覚悟のほどが問われている。

140403

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/04/03 @ 20:06

カテゴリー: 外交, 民族, 人権

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