ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

京都の米軍基地(35):片刃の環境影響調査

Xバンドレーダー設置前の環境影響調査は,よくて両刃の剣だ。たしかに,設置前の電磁界強度,騒音,水質などを調査しておけば,設置後,もし問題が起これば,調査結果を根拠に是正を要求できる。しかし,実際には,そんなことは,まずない。原発などと同様,長期的影響などは無視し,受忍限度を高く設定しているからだ。
 ▼電磁界強度調査・水質調査騒音調査

これに対し,調査の政治目的は,はっきりしている。地元要望を聞き,調査をしましたよ,というアリバイつくりだ。官僚制にとって,「法による支配」ないし「手続遵守」は,鉄則だ。が,これは主権者たる人民=住民が厳しい監視をおこたると,たちまち,所定の手続さえ踏めば,それでよい,という官僚主義に転化する。

環境影響調査は,まさしくその官僚主義的「手続遵守」そのものであり,Xバンドレーダー設置のためのアリバイつくりといわざるをえない。

その証拠に,電磁界強度調査は,三菱電機が実施する。三菱系は,米産軍共同体の下請けにして,日本産軍官共同体のドン。その一角を占める日本有数の軍事企業,三菱電機に,公平な調査を期待するのは,あまりにもおめでたい話しだ。

もしかりに住民側が,独自に,研究者や専門家に調査を依頼しようとしても,政府や京都府や京丹後市は,調査費負担はむろんのこと,調査そのものさえ決して許可しないだろう。特にXバンドレーダー設置後は。いうまでもなく,それは「特別防衛秘密」ないし「防衛秘密」であろうし,おそらく何らかの形で「特定秘密」に指定されるであろうからである。

もしそうであるなら,お上の環境影響調査は,両刃にすらなりえない。むしろ,それは,反対運動を切って捨てるための,片刃の剣でしかないのではないか?

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 ■電磁界強度調査(3月19日)三菱電機

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 ■水質調査(3月19日)ユニチカ/騒音調査(2月25日)防衛省

[参照]防衛省→三菱電機144人天下り
水増し請求の背景に 兵器製造で癒着 中距離地対空誘導ミサイルや情報収集衛星(スパイ衛星)など、航空宇宙・防衛事業をめぐって防衛省などへの経費の水増し請求が問題になっている三菱電機への「天下り」が、防衛省からは「陸上幕僚長」はじめ144人にのぼることが明らかになりました。防衛省以外の国家公務員の天下りは3人。軍事産業2位の三菱電機と防衛省との特殊な関係が浮かび上がりました。」(しんぶん赤旗2012年3月19日)

谷川昌幸(C)