ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ラサ-カトマンズ,道路も鉄道も

報道によると,中国政府は「ラサ-シガツェ-カトマンズ-ルンビニ」を道路と鉄道で結び,ギロング(Gyirong, Kyirong)の中ネ国境付近に「国際貿易センター(陸港)」ないし「中ネ経済協力ゾーン」を建設する計画のようだ(ekantipur,9 Aug;Republica,31 Jul)。

道路は,カトマンズ-トリスリバザール-ラスワガディ-ギロングであり,ラスワガディーギロング間は10月中にも開通。鉄道は,シガツェ-ギロング間が2020年までに完成予定。中国側の税関,入国管理事務所,警察署等はすでに完成しており,国際貿易センターも秋には開設予定という。

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 ■計画鉄道路線(Global Times,2014-7-24) /計画道路(Nepali Times,2010-2-12)

この方面には行ったことがないので地図で見るだけだが,それでもトリスリ川沿いの道路はかなり出来ており,中国援助による立派な橋も架けられている。中国の勢いなら,道路,鉄道とも実現は難しくなさそうだ。

そこで心配になるのが,一つは,国境問題。グーグル地図を信用するなら,この付近の道路――たぶん中国建設――は,国境線を縫うように走っている。なぜか国境は川ではない。大丈夫かな?

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 ■ラスワガディ水力発電HP / 国境を縫う道路(Google)

それともう一つ。道路や鉄道が開通し,国際貿易センターが開設されると,ギロングは中国進出の前進基地になるのではないか? ネパールの対中輸出はほとんど増えていないのに,中国の対ネ輸出は年10%以上の急増中。中国人入国者の激増は,前述の通りだ。このような経済的・文化的激変が,インドをも巻き込んだ新たな紛争の種になりはしないか?

日本のような島国ではなく,陸続きの国々では,国境をまたぐ道路や鉄道はありふれたものとはいえ,ネパールは激変であり,少々心配である。

140811e ■ギロング(Claude Arpi,2014-7-31)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/08/11 @ 10:29