仏陀空港工事も中国企業優勢
バイラワの「仏陀(ゴータマ・ブッダ)空港」の拡張・国際化工事も,受注は中国企業が優勢だ。
仏陀空港の拡張は,3000mの滑走路をもつ本格的な国際空港化が目標。ネパール政府は,もっぱらルンビニ観光のためと宣伝しているが,実際には,タライ地方の産業化のためと見るべきだろう。タライは,中央諸勢力による長年の支配搾取により貧しかったが,ネパールには珍しい広大な平地であり,開発余地は大きい。国境を接して巨大なインド市場もあり,産業化には最適だ。中国資本はさずが目の付け所がよい。(参照:タライの豊かさと貧しさ,タライの魚釣り少年)
[工事予定]
第1期(2017年完成?) 76万人/年
第2期(10年後) 200万人/年
第3期(--) 600万人/年
乗降客600万人/年の多くが国際線利用だとすると,いまの中部国際空港なみ。野心的だが,絶好の立地を考えると,決して夢ではない。
融資は,ADBアジア開発銀行5850万ドル,OPEC国際開発基金(OFID)1500万ドル。OFIDは他の案件でもときどき目にする。最近は,産油国の経済進出もめざましい。
■バイラワ空港(nepaldomesticflights.com,文字追加)
この仏陀空港拡張工事の第1期入札は,2月26日実施され,7社が応札した。
(1)西北民航機場建設 Northwest Civil Aviation Airport Co.
(2)中国交通建設 China Harbour Engineering Co.
(3)ネパール=スペインJV Sanjose-Kalika
(-)中国水力発電建設 Sinohydro Co.
(-)中国海外工程 Overseas Engineering Group Co.
(-)Isolux-Carsan(スペイン)
(-)不明1社
応札7社のうち,4社が中国企業であり,最低価格応札は中国企業。おそらく,この企業が落札するであろう。
朝日新聞の新連載「攻防日中」(9月17日)をみても,このところ他国でもインフラ受注は中国圧勝だ。斜陽日本とは,勢いが違う。インド台頭まで,しばらくは中国の時代――この現実は誰しも認めざるをえないだろう。
谷川昌幸(C)
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