ネパール評論

ネパール研究会

ガディマイ祭:動物供犠と人間の業(1)

5年に1度のガディマイ祭(गढ़िमाई पर्ब, गढ़िमाई मेला)が,11月下旬,バラ郡バリヤルプルで開催される。この祭は世界最大の動物供犠祭として知られており,今年も,動物の愛護や権利擁護を唱える世界中の人々から,「非人道的」などと激しい非難攻撃を浴びている。私の考えはすでに何回か表明したが,今年は前回(2009年)以上に議論が激昂しており,また新しい論点もいくつか明らかになってきたので,ここで改めて,ネット上の議論を参考にしつつ,考察してみることにする。
 [参照]動物の「人道的」供犠:動物愛護の偽善と倒錯; 動物供犠祭への政治介入:動物権利擁護派の偽善性; 血みどろのゴルカ王宮; インドラ祭と動物供犠と政教分離; ケネディ大使,ジュゴン保護を!; イルカ漁非難,その反キリスト教的含意と政治的戦略性

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■ガディマイ祭反対キャンペーン: People for the Ethical Treatment of Animal-US / Compassion in World Farming-UK)

1.ガティマイ祭の概要
 (1)開催日:5年に1度,11月下旬2~4週間。動物供犠はमंसीर月の第二 सप्तमी。前回2009年11月24-25日,今回2014年11月28-29日。
 (2)開催場所:バラ郡バリヤルプルのガティマイ寺院(現寺院1993年建立)とその周辺。バリヤルプルはタルー民族の村。住民7033人(1991)。
 (3)祭事:ガディマイ(ガディ女神)への動物供犠。供犠動物総数25~50万。
 (4)供犠動物:水牛,ヤギ,ヒツジ,ブタ,ニワトリ,アヒル,ハト,ヘビ,ネズミなど。
 (5)参拝者:約500万人,その60~70%はインドから(2009年)。
 (6)ネパール政府拠出金: 450万ルピー(2009年)

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 ■ガディマイ寺院(ECS Nepal)/バリヤルプル(UN-Nepal)

2.ガディマイ
ガディマイ(ガディ女神,गदीमाई, गादी माई)はドゥルガー(दुर्गा)の娘で,カーリー((काली )の姉妹。あるいは,カーリーと同様,ドゥルガー自身の別の姿(別の相のドゥルガー)ともいわれている。

ドゥルガーは,戦いと勝利の女神で,恐ろしい水牛の姿をした大魔神と血みどろの戦いを戦い,これを殺し,世界を救った。ガティマイはその娘ないし別の相であり,「力の女神」。このガティマイに生贄(特に水牛)を捧げると,その恐るべき力(シャクティ)による加護が得られると信じられてきた。

141101d ■ドゥルガー,下方は退治した水牛魔神の生首(Education Blog)

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■カーリー(WIKI)/ガディマイ(FB,Gadhimai5)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/11/01 @ 21:19

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