ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

目を引く日本批判記事

ネパールで販売されている新聞を見ると,「中国日報」はむろんのこと,他の新聞でも,このところ日本批判記事が目に付く。日本の積極面を伝える記事は,あっても小さく,目立たない。

たとえば,2月7-8日付「リパブリカ」。AFP無署名記事「中国の苦しみ,731部隊からの解放70年後の今も」を,最上段に大きく掲載している。

731部隊は,大日本帝国の皇軍の秘密研究機関。生物化学兵器研究のため,中国人,モンゴル人,朝鮮人,ロシア人,アメリカ人などの捕虜やスパイ容疑拘束者らを使い,様々な人体実験・生体実験をした。その残虐非道は,言語に絶する。

ところが,この重大きわまる反人道行為は,敗戦のどさくさにまぎれ,米軍との裏取引か何かで,解明されないまま,うやむやにされてしまった。

リパブリカ記事によれば,中国政府は,1939~1945年の間に人体実験で虐殺されたのは3000人以上とみている。秘密機関のため不明な部分も多いが,人体実験で多数の人々が犠牲になったことは事実であり,日本政府も日本国民も,何の申し開きもできない。責任は,あげてわれわれ日本の側にある。日本自らが事実関係を解明し,責任の所在を明確にし,そのうえで誠心誠意謝り,許しを請う以外に,とるべき道はない。

この記事に見られるように,日本批判は,日本以外では,このところ好んで掲載される傾向にある。これに対し,偏狭な排外的ナショナリズムに凝り固まり,嫌韓,嫌中,嫌米など,嫌○○で対抗しようとするのは,危険きわまりない愚策中の愚策であり,日本の立場をさらに悪化させるだけである。

歴史の直視は,他の誰でもない,日本自身のために,絶対に避けられない,避けてはならない日本自身の義務なのである。

【補足】「リパブリカ」は「インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ」と提携,両紙同時購読も少なくない。一方,「ネパリタイムズ」は「中国日報」と協力。では,「カトマンズ・ポスト」はどうするのか? 「朝日新聞」あるいは「読売新聞」などとの提携にむけて動くのか? たぶん,そうはしないだろう。世界戦略で動く超大国と,それができない日本との,どうしようもない格の差は,そこにある。

150209

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/02/09 @ 10:40