ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

震災救援の複雑な利害関係(3):インド政府「ともだち作戦」(2)

3.「ともだち作戦」の軍事戦略性
インドの「ともだち作戦」は,インド史上最大の対外災害救援作戦であり,ネパールにとっては文字通り「天恵(godsend)」であった[f]。コイララ首相も,インドの迅速な対応について,「インドの支援には,言葉では言い尽くせないほど感謝している」と述べている[g]。「ともだち作戦」が,震災初期救援に最も大きく貢献したことに疑いの余地はない。

しかしながら,「ともだち作戦」の主力はインド軍であり,救援作戦は「軍事」作戦でもあった。インド軍出身の軍事アナリスト,G・カンワル氏(CSIS研究員)もこう述べている。

「これら二つの作戦[ネパール「ともだち作戦」とイエメン「救出作戦Operation Rahat」]は,いずれも慎重に策定され効果的に実行された。それらは,単なる人道救援作戦ではなく,インドの軍事介入能力を実際に示してみせる作戦でもあった。・・・・」

「インドは,戦略的利益と地域へのますます増大する責任の観点から,国益が脅かされるときには,近隣地域への軍事介入を行う必要がある。この場合,国連安保理の明確な承認を得,国連旗を掲げ,介入するのが望ましいが,国益に対する『きわめて重大な』脅威があり,かつ国連安保理での合意が困難な場合には,『有志連合』へのインドの参加も否定されるべきではない。・・・・」

「インドは,インド洋北部を含む南アジアの自分自身の裏庭の誰もが認める主人とならなければ,地域大国としてすら認められはしないだろう。」[h]

いま極東の某国で準備されつつあることが,南アジアの大国インドではすでに粛々と実行されているのだ。人道的な災害救援であれ,軍隊が出ていけば,それは「軍事」作戦である。

150512■印空軍の圧倒的貢献(OCHA,4 May 2015)

[参照]
[f]”How India’s help post-earthquake ended up annoying Nepali leaders,” Bloomberg, Published on Thu Apr 30 2015.
[g]Nepal earthquake: India ends Op Maitri as foreign rescuers asked to leave,Hindustan Times,May 05,2015.
[h]Gurmeet Kanwal,”Operations Maitri and Rahat: How Indian military proved efficiency in disaster response,” http://www.dailyo.in/politics/operation-maitri-operation-rahat-nepal-earthquake-yemen-iaf-indian-navy-al-qaeda/story/1/3582.html

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/05/12 @ 17:28