ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

京都の米軍基地(69): 日米テロ訓練

京丹後の米軍基地が,はやキナ臭くなってきた。
 ・5月20日:「日米テロ訓練」(対テロ日米合同訓練)の実施
 ・5月30日:立命大教授と学生2人,米軍基地侵入容疑で事情聴取
 ・6月 4日:抗議活動家3人,道路運送法違反容疑で逮捕

とても追い切れないほどの急展開。これからどうなるのか,不安は募るばかりだ。まずは,日米テロ訓練(対テロ日米合同訓練)から見てみよう。

1.NHKと京都新聞の報道
日米テロ訓練については,NHK京都と京都新聞が5月15日,報道した。NHKは,「関西初の日米テロ訓練実施へ」というタイトルで,こう伝えた。
「京丹後市の海岸線では過去に船による密入国事件が起きていることやアメリカ軍基地などがテロの標的になる可能性もあるとして、地元の警察や海上保安庁、それに自衛隊などはアメリカ軍と合同で訓練を行うことにしました。訓練は5月20日に基地周辺で行われ、3人の不審者が船で上陸し、逃走するという想定になっています。警察によりますと、アメリカ軍と地元の警察や海上保安庁などが合同で訓練を行うのは関西では初めてだということです。警察では『訓練で連携を高め、密入国やテロを未然に防いでいきたい』としています。」

京都新聞の見出しは,「府県超え密入国想定訓練 京都府警や兵庫県警、20日に」。この記事では,訓練の規模は兵庫県にまで及ぶ大規模なものだ。米軍と自衛隊の参加も,むろん明記されている。
「京都府警と京丹後署、兵庫県警と豊岡南、豊岡北の両署、第8管区海上保安本部が20日に、密入国者の逃走を想定した合同の緊急配備訓練を実施する。米軍経ケ岬通信所と航空自衛隊分屯基地も初めて参加する。」

150606a■海保監視カメラ映像(6月6日)

2.消えた「テロ」と自衛隊
ところが,20日の訓練実施後の報道は,ちょっと変だ。まず,京都新聞――基地問題を詳細に報道してきた――は,見た限りでは,訓練実施を報道していない。あるいは,報道していたとしても見落とすくらいの記事だったのだろう。

次にNHKだが,20日報道ではタイトルが「日米合同で密入国者対応訓練」となり,「テロ」が消えた。そして本文からは「自衛隊」も消えた。(「テロ」の方は,本文に「密入国者やテロを想定して」とあるにはある。)

微妙だが,やはりどこか不自然だ。それは,おそらくこういうことではあるまいか。――この訓練の本質は,「皆様のNHK」が当初,純真無垢の素朴さをもって伝えたように「関西初の日米テロ訓練」である。米軍基地をテロから守るための日米合同訓練!

しかし,秘境丹後にも純真無垢の素朴さを喪失した不幸な人々が,何人かはいる。疑い深い彼らは,米軍基地があるからテロの標的になるのだ,米国防衛目的のXバンドレーダーを京丹後の犠牲でなぜ守らなければならないのか,と非難攻撃し,反基地運動を激化させるにちがいない。

そこで,これを警戒した米日関係者が,表看板を「密入国者対応」に書き換えて訓練を実施し,「皆様のNHK」がほぼその表向きの趣旨に沿った報道をした。が,京都新聞はそのような報道はしなかった,あるいは報道したとしても見落とすくらいの記事にとどめた――ということではないか。具体的裏付けはないが,そう解釈せざるをえない。

150606b■京丹後市監視カメラ映像・よし野の里(6月6日)

3.基地誘致の代償
いずれにせよ,小銭につられ米軍基地を「誘致」したがため,京丹後はテロ攻撃の危険を引き受けることになってしまった。「テロ訓練実施」が,その何よりもの証拠。頭隠して尻隠さず。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/06/06 @ 13:49