ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

京都の米軍基地(72):子供の「軍事」利用

経ヶ岬進駐米軍が,7月4日,子供向けの「Independence Day Event For Kids 独立記念日イベント」を開催する。これは米軍による京丹後の子供の政治利用であり,広い意味では子供の「軍事」利用とすらいってもよいであろう。保護者はむろんのこと,地元住民もこのような狡猾な懐柔策はボイコットすべきだ。

150619a■経ヶ岬米軍ポスター(同FB,6月19日)

1.「威武」と「慰撫」
軍隊の進駐先での住民対策には,「威武」と「慰撫」がある。「威武」は,いうまでもなく武力をもって住民を直接的または間接的に威嚇し威圧すること。主に,言っても言うことを聞かない反軍感情の強い住民向けに使用される。

「慰撫」は,強固な反軍感情はもたないが,進駐軍にどことなく不安を感じている住民をなだめ安心させること。手段は,補助金や接待・供応など,何らかの恩恵の施し。

これらの「威武」と「慰撫」は,進駐地の状況に応じて適宜使い分けられるが,平時において特に警戒すべきは「慰撫」。経ヶ岬進駐米軍の子供利用が,その典型だ。

2.子供利用による慰撫
子供は,一般に,「無邪気」で「純真無垢」と見られている。たしかに,子供たちは,たいして疑うこともなく,目にする珍しいもの,面白そうなものに興味を持ち,まねをしようとする。制服の軍人さんはカッコよいし,戦車や戦闘機やミサイルも威力はすさまじい。子供が魅了されるのは当然だ。子供たちは,かつてはチャンバラや戦争ごっこ,いまは戦争ゲームが大好きなのだ。

これは,子供たちにはまだ十分な知識も判断力もないからにすぎないが,しかし,だからこそ,そうした「無邪気」な子供たちは,大人にとって,とくに進駐外国軍にとっては,利用しやすく,また利用価値も高いのだ。

進駐外国軍は,基地周辺の子供たちをお菓子や珍しい武器(本物!)で手なずけ,その様子を親や現地住民に見せる。当初警戒していた大人たちも,楽しそうに進駐軍と遊ぶ子供たちを見て徐々に心を開き,受け入れていく。

特に米軍の場合,軍人・軍属さんと遊びながら,本物の「生きた英語」が学べるのだから,子供たちと遊んでくれる良い兵隊さんたちなら,駐留に反対する理由もないことになる。

3.本国納税者対策としての子供利用
外国進駐軍の子供利用は,現地住民対策のためだけではない。現地人の子供たちは,本国納税者へのアピールにも大いに威力を発揮する。

こんな写真や動画が,さかんに作成され,本国での宣伝に利用される――
 ・現地の無邪気な子供たち
 ・基地見学を楽しむ子供たち
 ・基地スタッフによる演奏会
 ・子供たちとスポーツ交流
 ・子供たちと英語で交流
 ・子供たちと一緒に学校給食
 ・子供たちにクリスマス・プレゼント

本国納税者たちは,異国情緒豊かな,こんな写真や動画を見て――
 「わが軍は,なんて素晴らしい平和貢献をしているのでしょう!」
 「現地人の子供たちって,無邪気で,かわいいわね!」
 「でも,まだ英語をしゃべれないみたい,かわいそうに。もっと英語を教えてあげてよ!」
といった,感想を持つにちがいない。そうなればしめたもの,本国納税者の理解は大いに深まり,進駐拡大継続がやりやすくなる。

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 ■厚木小学校での米軍コンサート(在日米軍FB,2015-05-15)

4.子供の尊厳の無視
軍隊は,国家の「暴力装置」のなかでも最強のもの,大人ですら取扱注意だ。ましてや子供ともなれば,十分な知識と判断力を習得するまでは,安易に近づけるべきではない。ところが,軍隊,特に米軍は,好んで子供を軍隊と遊ばせる。

これは,子供の「軍事」利用であり,子供の尊厳を著しく害する。たとえば子供の肖像権。軍による子供利用の主な目的は,本国や地元への宣伝だから,子供の写真や動画をたくさん撮り,インターネットやポスター,チラシなどで配布することになる。では,利用される子供のプライバシーや肖像権はどうなるのか?

子供の承諾! そんなものを,どのようにして得るのか? 米軍関係のネット記事を見ると,日本の子供たちの無修正写真が無数掲載されている。日本の学校や自治体などは,悪用を恐れ,このようなことはあまりしないし,またさせもしない。

米軍は日本では治外法権であり,だから例外なのか? 人権と民主主義は本国だけ,半植民地の日本では子供の人権など無視してもよいのか?

150619f■厚木小学校で米軍人と給食を食べる小学生たち(子供たちの顔は引用者消去)。小学校HPキャプション「米軍の方々と一緒に給食を食べました。給食を食べた後には,米軍の方々にサインを求めている子どもたちもいました。」(同校HP,2015-06-13)

谷川昌幸(C)

 

Written by Tanigawa

2015/06/22 @ 22:51