ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ツクツクの女性運転手さん

ディリバザール・マイティデビからスンダラまでツクツク(サファテンプ,電動三輪小型バス)に乗った。運転手は女性。ワンウーマン・バスないしワンパーソン・バスで,運転と料金受け取りを一人でこなす。高度で厳しい仕事。

ネパールの交通は,繰り返し述べてきたように,信号に従う法治(規則=ルールの支配)ではなく,人(の動き)を見て自分の動きを決める人治である。われ先にと1mでも,10cmでも先に進もうとする車やバイクの大群の中にあって,ギリギリのところで動きを決めるのは,運転手あるいは乗員の見てくれ。見てくれの立派な方(上位身分に見える方)が,優先権を行使し,先に進む。(参照:信号機 人治 交差点

そこでツクツク女性運転手。運転席のすぐ近くで観察していると,やはりナメられている。勇猛果敢に渋滞の中に突っ込んではいるものの,角突き合わせ,二進も三進もいかなくなると,結局は道を譲らされたり,バックさせられたりする。明らかなセクハラ。ケシカランが,現実は男社会,いまのところどうにもならないらしい。

ネパールでは,マオイストの蛮勇により男女平等が目覚ましく進展し,いまや多くの分野で日本よりはるかに進んでいる。そのうち交通でも,女性運転手諸氏が屈することなく日々勇敢に闘い続けるなら,女性が対等の交通実権を獲得することになるのは間違いない。

これは女性の「権利のための闘争」。西洋の「レディーファースト」えせ女性の権利とは,ものが違う。頑張れ,ネパール女性バス運転手諸君!

▼スンダラ(ネパール航空前)ツクツク乗り場
150806

▼「第三の性」選択欄付き出入国カード(「第三の性」欄=印)
150806a

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/08/06 @ 19:33

カテゴリー: 社会, 旅行, 人権

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