ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

憲法原案に対する修正案,提出開始

制憲議会上程の憲法原案(「2072年ネパール憲法原案」)に対する修正案の提出が始まった。締切は7月5日。

いまのところ提出したのは小政党のみで,主なものは以下の通り。
 ・世俗主義の規定明記
 ・世俗主義の削除
 ・国獣の牛から一角犀への変更
 ・先住民族委員会を憲法で設置
小政党は,党として,あるいは所属議員らがそれぞれ修正案を出すことになりそうだ。

これら小政党と二大政党(NC,UML)の中間にいるのが,マオイスト(UCPN)。他の諸政党と共同で修正案を出すことを優先するが,所属議員が,議員会長の承認を得た上で,それぞれの判断で修正案を出すことも認めている。憲法の早期制定を重視するが,その一方,党内ジャナジャーティ勢力の要求も無視できない,というところであろう。

これに対し,NCとUMLは,原則として,党が意見をとりまとめ,党として修正案を出す予定。個々の議員の修正案提出は認めない。両党は,「超特急(fast-track)手続き」による憲法の早期制定を目指している。

しかし,ここにきてNC,UMLとも党内が騒がしくなってきた。カトマンズ・ポスト記事(*1)によれば,エスニック系議員がNC内には63人,UML内には62人もいる。これらの議員は,党幹部主導で進められている憲法制定手続きを非民主的と批判し,被差別諸集団の権利保障を実現するための修正案を自分たちで提出する構えだ。NCもUMLも,このままでは党内闘争が激化し,悪くすると党分裂となりそうな雲行きだ。

さらに,以上に加え,やっかいなのが外国の介入。たとえば「国際法律家委員会(IJC,本部スイス)」は,人権保障には26項目の修正が必要と指摘し,修正案提出期限の延長と,憲法制定過程への諸集団包摂参加を強く要求している。やれやれ。

いずれにせよ,明日5日が修正案の提出期限。どうなるか,注目していたい。

 150903■CA審議中の憲法原案

[参照]
*1 “Janajati MPs to propose joint amendment,” Kathmandu Post, Sep 2,2015
*2 KAMAL DEV BHATTARAI,”UCPN (M) lawmakers free to register individual amendment proposals,” Kathmandu Post, Sep 2, 2015
*3 “GO ALL OUT FOR NEW STATUTE: DAHAL TO MAOIST LAWMAKERS,” REPUBLICA, 02 Sep 2015
*4 “NC MADHESI, THARU CA MEMBERS THREATEN TO FILE SEPARATE AMENDMENT PROPOSALS,” REPUBLICA, 02 Sep 2015
*5 “Three amendment proposals on 2nd day,” The Himalayan Times,September 01, 2015
*6 “ICJ URGES URGENT REVISION TO CONSTITUTION BILL TO GUARANTEE HUMAN RIGHTS,” REPUBLICA,02 Sep 2015

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/09/04 @ 00:24

カテゴリー: 憲法, 民族

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