ネパール評論

ネパール研究会

憲法案逐条採決2日延期,印介入

NC,UML,UCPNの主要3党は,11日午後予定の憲法案逐条採決を13日まで延期した。タライ紛争激化とそれによる経済的打撃の拡大,そして印大使のあからさまな介入があったからであろう。

タライの反対運動はますます激化している。11日には6人死亡と報道されている。マホタリでは,反政府側が負傷搬送中の武装警官を救急車から引きづりだし,なぶり殺しにした。他方,警官隊も,たまたま買い物に来ていた75歳の老人を銃撃し,殺している。また,ジャナクプルでは,外出禁止令を無視して集まっていた少年たちに向け治安部隊が発砲,13歳の少年が撃たれて死亡した。悲惨きわまりない。

このタライ紛争から大打撃を受けているのが,経済界。ネパール商工会議所(FNCCI)は,3党と反対派に対し,話し合いで早く問題を解決してほしいという談話を発表した。

一方,インド政府の動きも活発化してきた。ラエ印大使は11日,強硬派のオーリUML議長と会い,制憲手続きの一時休止を要請した。そのあと大使はプラチャンダUCPN議長とバブラム・バタライ幹部に会い,制憲手続きを一時休止し,諸党コンセンサスを得る努力をしてほしいと要請した。バブラム幹部は大使と同意見。

国連のバン事務総長も,対話と非暴力を訴え,逐条採決の一時休止を歓迎した。

こうして,憲法案逐条採決は,とりあえず13日まで延期となった。

150912■在印ネパール大使館(同館HP)

[参照]
*1 “Madhes unrest: Elderly caught in Mahottari police firing; 6 people killed on Friday,” Kathmandu Post, Sep 11, 2015
*2 “Four more killed in southern Nepal protests,” Reuters,2015/09/11/
*3 “BIG 3 DEFER CLAUSE-WISE VOTING FOR SUNDAY,” Republica,11 Sep 201
*4 “HALT STATUTE MAKING PROCESS FOR CONSENSUS AMONG DISGRUNTLED PARTIES: ENVOY RAE,” Republica,11 Sep 2015
*5 “FNCCI URGES DIALOGUE TO SETTLE CONTENTIOUS ISSUES AS PROTESTS ARE RESULTING IN HUGE ECONOMIC LOSS,” Himalayan,September 12, 2015
*6 “Protesters seize ambulance, kill injured APF official in Mahottari,” Himalayan,September 11, 2015
*7 “13-year-old boy shot dead in Janakpur as police open fire during curfew,” Himalayan, September 11, 2015
*8 “Amid political violence in Nepal, Ban stresses need for dialogue, respect for peaceful protest,” Nepal National,12th September,2015

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/09/12 @ 11:44

カテゴリー: インド, 憲法

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