ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

京都の米軍基地(83): レーダー性能リークによる半身内形成と反対派析出

京都新聞が,経ケ岬Xバンドレーダーによるミサイル追尾成功を大きく報道している。「米軍レーダー ミサイル追尾 北朝鮮3月発射」(10月24日付)。

Xバンドレーダーのミサイル追尾能力は,極秘情報であり,まず間違いなく「特定秘密」。そんな軍機中の軍機を,今回,外部に漏らした人や,それを取材し掲載した京都新聞は,特定秘密保護法違反容疑で捜査・起訴され,重罪に処される恐れはないのだろうか? もしそんなことになれば,初の特定秘密保護法違反事件!

件の京都新聞記事は,情報源を示さない伝聞記事。記事によれば,10月23日,空自経ケ岬駐屯基地において,米軍第14ミサイル防衛中隊の発足1周年と司令官交代を記念する式典が行われた。日本側出席者は,地元区長,防衛省職員,自衛隊協力会地元会員ら。この式典で,米軍第94対空ミサイル防衛コマンドのサンチェス司令官が,3月2日北朝鮮発射の短距離ミサイル2発を経ケ岬Xバンドレーダーにより「追尾することができた」と話したという。

この米軍記念式典は,報道機関にも非公開。では,レーダー追尾能力という極秘情報を,ごく限定された出席者中の誰が外部に漏洩したのか? また,その誰か,またはその誰かの近辺の他の誰かから取材し報道した京都新聞の行為は,合法か?

米軍やその御用聞き日本政府がその気になれば,この極秘情報漏洩の式典出席者と,それを取材・報道した京都新聞は,特定秘密保護法か他の関係法令違反の容疑で捜査,起訴されうるであろう。有罪となれば,重罪だ。

が,今回は,たぶん,そうはならない。なぜなら,米軍は,非公開式典を巧妙に利用して希少価値のある極秘情報を意図的にリークし,出席日本人に秘密共有の隠微な特権的身内意識を醸成する一方,出席の誰かから非公式に極秘情報が外部に漏れ,新聞報道され,日本国民,とくに基地周辺住民に知られ,Xバンドレーダーの威力と有用性への理解が広がり,基地運用・拡大が容易になることを期待していると思われるからだ。

 経ケ岬米軍―秘密共有の半身内日本人仲間―基地容認多数派住民反基地少数派

米軍は,どこでもこの種の住民分断作戦を使っている。どこでも有効だからだ。米軍には,実力とカネがある。反対派には,どちらもない。これからも米軍関係情報が巧妙にリークされ,半身内応援団が強化され,その外に容認多数派社会が育成されていくことは,まず間違いない。

反対派は隔離され,孤立し,荒野へと向かわざるをえない。権力に抵抗するものへの非情な預言である。

初代司令官オルブライト少佐の防衛省表彰 
 151025
 経ケ岬米軍基地の設立運営と日米同盟強化への貢献(経ケ岬米軍FB,10月21日)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/10/25 @ 18:06