ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

英語帝国主義植民地としての「美しい国」

在ネ米大使館が今日もアメリカ語(アメリカ英語)の宣伝をしている。ほぼ毎日。今日は,”attentive” だそうだ。「拝聴せよ」ということ。

さすが世界帝国アメリカ。言葉(文化,精神,魂)を支配する者が,結局は他のすべてのもの(政治,経済,身体など)を支配することを熟知し,長期的戦略を立て,それを着々と実践している。

ネパールでは,すでにアメリカ語が初等教育必修科目となり,保育園や幼稚園でも「アメリカ語のみ使用・母語禁止」がウリとなっている。そのため,自分の子供と,母語のネパール語や他のネパール国民語では十分な意思疎通ができない家庭さえ現れ始めたという。

160210■在ネ米大使館ツイッター(2月10日)

そのネパールよりも,政府主導という意味では,もっとアメリカ語使用に前のめりなのが,「美しい国・日本」。政府が率先して日本語を放棄しアメリカ語に切り替え,国民へも政府の範に習うよう呼び掛けている。たとえば,今日の朝日記事――
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個人番号カード→「マイナンバーカード」と呼んで 総務省,普及へ呼び名統一
・・・・「個人番号カード」が、「マイナンバーカード」と呼ばれるようになる。「親しまれやすい名前」(総務省)にして、普及につなげるねらいだ。・・・・総務省は5日付で、今後は呼び名を「マイナンバーカード」で統一するよう、国の省庁や全国の自治体に要請した。(朝日2月10日朝刊)
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あまりに倒錯的にして自虐的! 日本人には日本語は親しまれない,カタカナ表記のアメリカ語は日本人に親しまれる――のだそうだ。

自国の大多数の人々が母語として日々使用している言葉を,これほどバカにし,嬉々として外国語と置き換えようとするような政府は,かつての植民地傀儡政府を除けば,どこにもない。「美しい国」の政府には,長い歴史と豊かな伝統を持つ独立国としての矜持も愛国心もないのだろうか?

160210a■カタカナ英語ばかり(総務省HP)

【追加】「美しい国」のPRキャラクター・マイナちゃん(2016年2月13日)
2月13日朝,朝日新聞を見たら,「天声人語」の左隣,「折々のことば」の真下,朝刊第1面一等地に,内閣官房・内閣府・総務省連名の政府広報が目についた。軽薄丸出し。「美しい国」の忠良なる臣民が,こんな広報を見せられる日が来るとは,まったくもって信じがたい。「美しい国」のお上は,ふたたびその民を「赤子」として慈しみ始めたらしい。

なお,「PRキャラクター マイナちゃん」の”PR“は”Poor Representation(貧弱な表現)“の「美しい国」欽定略語であり,また「マイナ」は”minor(二流の,ちっちゃな,未熟な)“の「美しい国」欽定カタカナ語訳である。

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 ■朝日1面の政府広報と「PRキャラクター マイナちゃん」

【参照】
マイナンバーはゼアナンバー,頻繁変更を
アメリカ英語の貧困
英語帝国主義

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/02/10 @ 12:04