ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

「ネパール共産党マオイスト・センター」結成,議長はプラチャンダ

5月19日,マオイスト系10政党が結集し,「ネパール共産党マオイスト・センター」を設立した。नेपाल कम्युनिष्ट पार्टी (माओवादी केन्द्र) Communist Party of Nepal-Maoist Centre (CPN-Maoist Centre; CPN-MC)。議長はプラチャンダ(プシュパ・カマル・ダハール)。副議長など,党要職は,構成各グループの有力者に割り当てられる。

CPN-MCは,1994年結成のプラチャンダを党首とするかつてのマオイスト政党と同名であり,紛らわしい。党首と党名が以前のものと同じでは,事実上,プラチャンダの党の看板書き換えと,そこへの吸収合併ともいえるが,一応,新党の設立と説明されている。

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このCPN-MCは,基本的には現行2015年憲法を支持し,その大枠の中で,人民戦争の成果を確保しつつ,犠牲者の救済を目指すものと思われる。先のUML・UCPN「9項目合意」の実行など。

これに対し,参加を拒否したネトラ・ビクラム・チャンダ(ビプラプ),モハン・バイダらは,マオイスト急進派を糾合し,ジャナジャーティなど被抑圧諸集団の権利要求を掲げ,反憲法闘争を強化していくものとみられている。

一方,バブラム・バタライが新党に参加するかどうかは,まだ不明。バタライは,マオイスト最大のイデオローグとして,またプラチャンダにつぐ実力者あるいはライバルとして,人民戦争を戦い勝利に導き,戦後は首相(2011-13)さえも務めたが,2015年9月UCPN-Mを離党,今年3月新党「新しい力・ネパール(Naya Shakti Nepal)」を設立し,自らそれを率いている。そのバタライについて,プラチャンダは,こう語っている。

「バブラム・バタライは人民戦争期の人民政府の代表であり,彼の命令の下,人民は犠牲を払い,この国を変えたのだ。だから,自分は別の道を行くことにしたといって,その責任を免れ得るものではない。それゆえ,彼に対しては,ブルジョアジーを手助けするよりも,マオイスト新党に参加するよう訴えたい」(Republica, May 20)。

これはどうみても,肝の据わった政治的勝者が右顧左眄するインテリ敗者に投げかける言葉だ。こんな呼びかけに,バタライ博士が応じることは,よもやあるまい。

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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/05/24 @ 16:26