ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ゴビンダ・KC医師のハンスト闘争(1)

コビンダ・KC医師が7月10日,医学教育・医療制度の抜本的改革をもとめ決死の無期限ハンストを開始した。8回目のハンストであり,支援も拡大したため,UML=マオイスト連立政権(オリ首相)はゴビンダ医師に歩み寄り,「4項目合意」を締結,ゴビンダ医師は7月24日,ハンストを終えた(*2,3,4)。(「4項目合意」の内容については後述。)

しかし,この「4項目合意」は広範な約束を含み,その中にはカルキCIAA委員長弾劾も含まれている。政府にとって,履行は極めて困難だ。

さらに,ゴビンダ医師ハンストの終了後間もない8月11日,今度は,ガンガ・マヤ・アディカリが戦時犯罪裁判を求め,決死の無期限ハンストを始めた(継続中*1)。人民戦争期の戦時犯罪には,官民,与野党を問わず,有力者が多数かかわっており,それらの調査,裁判,処罰は,これまた極めて困難だ。

この間,政権は,UML=マオイスト連立(オリ首相)からNC=マオイスト連立(プラチャンダ首相)に交代した(8月3日)。しかし,交代後の現政権のプラチャンダ首相は8月26日,ゴビンダ・KC医師らと会い,前政権と彼らとの約束は守ると明言した(*5,6)。

しかしながら,その約束の中には,前述のように,カルキCIAA委員長弾劾を始め難しい課題が多い。そこで,ゴビンダ医師も,こう念押ししている。

「もしこれらの要求が実現されなければ,次のハンストを始めるに何ら躊躇しない,と彼(プラチャンダ首相)には告げておいた。」(*6)

プラチャンダ首相にとって,ゴビンダ医師ハンストは,潜在的には継続しており,いつでも再開されうる強力な闘争なのである。

このように,プラチャンダ首相はいま,ゴビンダ医師とガンガ・マヤ・アディカリによる,いずれ劣らず対処の難しいハンスト闘争に直面している。後者についてはすでに概説したので,以下,ゴビンダ医師ハンストについて見ていくことにする。

160831b■ハンスト連帯FB(8月30日)

【参照】
*1 戦時犯罪裁判要求,プラチャンダ首相の覚悟は?(1
*2 “Four-point agreement forged, Dr KC to end hunger strike,” The Himalayan Times,
July 24, 2016
*3 “Dr Govinda KC breaks hunger strike,” Republica, July 25, 2016
*4 Manish Gautam, “Dr KC to call off fast after govt agrees to meet some demands,” Kathmandu Post, Jul 25, 2016
*5 “Will address your demands as far as possible, PM assures Dr Govinda KC,” The Himalayan Times, August 26, 2016
*6 “PM to ‘take initiatives’ to address Dr KC’s demands,” Kathmandu Post, Aug 27, 2016

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/09/01 @ 13:27