ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ゴビンダ・KC医師のハンスト闘争(3)

2.ゴビンダ医師の改革要求
ゴビンダ・KC医師は2016年7月10日,トリブバン大学教育研究病院(TUTH)前で,決死の無期限ハンストに入った。政府に対する要求は,広範多岐にわたるが,ここではカサン・ディキ・シェルパ(在米?)による支援署名キャンペーン(*1)や各紙報道をまとめ,紹介する。なお,以下はあくまでもゴビンダ医師側(同医師と支援者)の言い分である。

[ゴビンダ医師側の要求]
(1)医科教育関係法の制定・施行
 ・医学教育・医療施設の地方充実。各州に1校以上,医科大学設置。ただしカトマンズ盆地には当面,新設は認めない。
 ・医学部授業料の上限設定。
 ・医大入試の公平化・厳正化。
 ・医大幹部の年功に基づく公平な人事。
 ・医科教育・医療分野への政治介入の禁止。運営の透明化,民主化。
 ・医大病院に一定数の無料ベッド設定。
(2)医科教育に関する「マテマ委員会報告」の尊重
 トリブバン大学KB・マテマ副学長を長とする「マテマ委員会」は2014年11月17日,ゴビンダ医師の要求により設置されたもので,「報告」(2015年6月29日)では,ここに挙げた諸改革の多くが提言されている。
(3)カトマンズにおける「組合立(cooperative)医科大学」設立の禁止
(4)マンモハン・アディカリ記念病院の国家管理
 政党利権(特にUML)の多いマンモハン・アディカリ記念病院は,「国家医学アカデミー(ビル病院)」の管轄下に置く。
(5)カルキCIAA委員長の弾劾
 職権乱用調査委員会(CIAA)のカルキ委員長は,医療分野でコネ利権をむさぼり,学費規制に反対し,また管轄外の医学部入試(カトマンズ大学医学部など)にも介入した。彼の弾劾は,ネパールの医科教育・医療改革にとって不可避。

160904■マンモハン記念保健科学インスティテュート

*1 Kasang Dikki Sherpa, “Fulfill Dr. Govinda KC’s Demands for Accountability and Reform in Medical Education, Nepal,” change org[9月4日現在継続中]
*2 Yubaraj Ghimire, “Nepal’s fasting doctor has a new demand,” Indian Express, July 9, 2016
*3 “Dr KC sits for 8th round of indefinite hunger-strike,” Kathmandu Post, Jul 10, 2016
*4 “Dr Govinda KC begins fast-unto-death for 8th time,” The Himalayan Times, July 10, 2016
*5 “Four-point agreement forged, Dr KC to end hunger strike,” The Himalayan Times,
July 24, 2016

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/09/04 @ 11:19

カテゴリー: 社会, 教育

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