キリスト教とネパール政治(2)
2.キリスト教系政党と2017年5月地方選挙
ネパールには現在,キリスト教系政党が少なくとも4~5政党はあるとされている。
・人民覚醒党(Jana Jagaran Party)
党首:ロクマニ・ダカル(牧師)
選挙シンボル:懐中電灯
制憲議会議席:1(LM・ダカル,唯一のキリスト教徒議席)
・国民解放運動党(Rastriya Mukti Andolan Party)
党首:ジャヤワンタ・B・シャハ
・APメサイア党(Amul Parivartan [AP] Messiah Party)
議長:バラト・ギリ
・人民の党(People’s Party)
・PAクリスチャン党(PA Christian Party)
2017年5月の地方選挙では,キリスト教徒候補が何人か当選した(正確な人数不明)。また,ダディン郡ガンガジムナでは,女性クリスチャンのアンジェラ・タマンが副町長に当選した。彼女はこう語っている――
「私は,先住タマン共同体に属している。これまで差別されてきたが,私たちは神に祈り,福音の導きに従ってきた。いまでは,私たちは強力なキリスト教共同体となっている。私たちは,社会全体への奉仕を通して神に仕えたいと願っている。・・・・
もし私がヒンドゥー教徒であったなら,私のような先住民女性が選出されるようなことは,決して夢にも思わなかったであろう。神が私に道を示し導かれたのだ。・・・・
私は,宗教の別なく,社会全体のために働きたいと思う。」(Christopher Sharma, “Christians in Nepal enter politics. First Christian woman elected,” AsiaNews.it, 05/24/2017)
ネパール全国キリスト者連盟のCB・ガハトラジ会長もこう述べ祝福した。「女性がクリスチャンとして当選し政治家となったのは,クリスチャンにとって朗報だ。他のクリスチャンを勇気づけ,政治を志させることになるだろう。」(ibid)
国民解放運動党のJB・シャハ党首は,こうした状況を受け,こう檄を飛ばした。「世俗化以前は,クリスチャンとして政治に参加することは禁止されていた。・・・・今回が初の地方選であり,われわれは,福音に従い,キリスト者アイデンティティを持つ人々にもっともっと訴えかけなければならない。何千もの人々が投票を待っている。第2次投票の準備はできている。われわれは,急速に支持を拡大しているのだ。」(ibid)
この2017年5月地方選挙におけるキリスト教系政党の動向については,すでに概略を紹介しているので,一部重複もあるが,以下をご参照ください。
【参照】キリスト教政党の台頭
谷川昌幸(C)
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