ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

老老介護,事始め(14):人口ピラミッドの日ネ比較

論より図,ネパールが日本ほど極端ではないにせよ高齢化社会に向かい始めたことは,人口ピラミッドを見れば一目瞭然である(下図参照)。ほんの四半世紀前,1990年ころまでは先の鋭くとがったスマートな若々しい三角形だったし,2000年になってもまだ最下部(最若年層)が少し減り始めたくらいだったのに,2010年になると下部が大きくへこみ,三角形が台形に変わり始めている。平均余命の急伸で中高年層が増えているのに,子供の数は相対的に減り始めたからだ。ネパールでも,高齢者扶養負担増は避けられない。

ネパールの老齢年金は,支給年齢の引き下げと支給額の引き上げが段階的に行われてきた。
ネパールの老齢年金
 1994-96支給開始:75歳以上,100ルピー/月
 1999/00改定:75歳以上,150ルピー/月
 2008/09改定:70歳以上(ダリット,カルナリ住民60歳以上),500ルピー/月
 2011/12改定:70歳以上(ダリット,カルナリ住民60歳以上),1000ルピー/月
 2015/16改定:70歳以上(ダリット,カルナリ住民60歳以上),2000ルピー/月
  *開始年度等に一部不明確な部分がある。

このように,ネパールの老齢年金は,まだまだ不十分とはいえ,いままでのところ近年の日本の年金引き下げとは逆に,拡充に向かって動いてきた。しかし,そのネパールでも,このまま高齢化が進めば,憲法や高齢市民法が保障している「高齢市民の権利」の実現のはるか手前で,逆転・逆行が始まるのは避けられそうにない。ネパールは日本以上に高齢者問題が深刻になる恐れがある。

ネパールと日本の人口ピラミッドWorld Life Expectancyより作成)

* DEMOGRAPHIC CHANGES OF NEPAL: Trends and Policy Implications, National Planning Commission, Government of Nepal & United Nations Children’s Fund (UNICEF). KATHMANDU, MARCH 2017

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/05/24 @ 10:24