ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ゴビンダ医師のハンスト闘争(1)

1.民主的専制とサティヤグラハ:ネパールから学ぶ(1)
ゴビンダ・KC医師(博士,TU教授)が,ネパール保健医療の抜本的改革を求め,15回目のハンストを行った。ハンストは,6月30日カルナリ州ジュムラで開始され,7月26日強制移送されたカトマンズで終了した。27日間にも及ぶゴビンダ医師最長のハンスト。
 *ハンスト(ハンガーストライキ):要求実現のための絶食による非暴力的闘争。

この生命を賭した壮絶な決死のハンストは,保健医療分野の人々を中心に共感を呼び起こし,ゴビンダ支持運動が拡大,結局,オリ政府をしてゴビンダ医師要求をほぼ全面的に受け入れさせることとなった。約束の実行はまだだが,そしてネパールでは約束実行の反故は珍しくないとはいえ,それでも確固たる信念に基づくハンスト闘争の現代における有効性を,ゴビンダ医師のハンストは十二分に実証したといってもよいであろう。

ゴビンダ医師のハンストは,悪政に対し率先して自ら一人敢然と立ち,正義実現のため公然と敢行される非暴力の政治闘争であった。それは,言い換えるなら,ガンジー(ガンディー)の唱えた「サティヤグラハ(सत्याग्रह, 真理要求,真理把持)」に他ならない。ガンジーはネパールではなぜかあまり人気がないが,今回の劇的勝利により,ゴビンダ医師を「ネパールのガンジー」と呼んだり,そのハンストを「サティヤグラハ」として評価する人も出始めた。ゴビンダ医師のハンストは,国内に限定された地域的政治闘争の一つとしてだけではなく,普遍的意義をも持ちうる「サティヤグラハ」としても注目され始めたのである。

■ゴビンダ医師支持FB

谷川昌幸(C)