ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ゴビンダ医師のハンスト闘争(32)

7.ハンスト:開始から終了まで
 (1)ジュムラでハンスト開始
 (2)体調悪化
 (3)ゴビンダ医師支持の拡大
 (4)カトマンズへの強制移送
 (5)カトマンズでのハンスト継続
 (6)人権団体等のKC支持声明

(7)メディアの報道
内外メディアのゴビンダ医師ハンスト関係報道はおびただしい数にのぼり,しかも,上述のKC支持声明からもわかるように,その大半がハンスト支持の立場をとっている。ここでは,有力紙3紙の記事のみを紹介する。(他の記事については,主なものを最後に列挙し紹介する予定。)

カトマンズ・ポスト社説「ぞっとする権力行使」(2018年7月20日)(*79)
「国家がジュムラにおいて,抗議行動を続ける整形外科医ゴビンダ・KC博士をカトマンズに連れ戻すため,露骨な実力行使をしたのは,まことに遺憾なことだ。民主社会ではどこでも,露骨な実力行使は,ましてや病院玄関先であればなおさらのこと,よほどのことでなければ,およそ考えられないことだ。・・・・

政府は,KC医師がハンストを止めるに必要な対応を政府が拒否し,これが人々の怒りを買い,政府への信頼を確実に失わせつつあることを,理解すべきだ。いまの危機は,KC医師第15回ハンストの精神とマテマ委員会勧告がともに尊重されることにより解決されるべきだということを,政府は理解すべきであろう。

これは,誰であれ一人の人のエゴを満足させるためではない。それは,露骨な商業化で蝕まれているわが国医学教育の改革という大きな目的のためだ。[政府提出]現行法案は,マテマ委員会案とはかけ離れている。目下,議会は8日間の休会中なので,この間に合意を形成し,誰もが受け入れられる法案を提出すべきであろう。

KC医師はカトマンズに連れ戻されている。彼の要求に応えるため,誠心誠意,努力すべきだ。政府は[政府提出]国家医学教育法案の議会からの撤回ということになろうとも,いまの危機を解決するため柔軟に対応すべきである。」

 

リパブリカ社説「かたくなな態度を改め,KC医師の話を聞くべきだ」(2018年7月24日)(*80)
「オリ首相とその諸大臣は,KC医師の要求に最大限の誠実さをもって応えるべきだ。」MCのプラチャンダと他の幹部だけでなく,UMLの幹部の何人かも,オリ首相のかたくなな態度に批判的となりつつある。

「オリ首相は,KC医師の改革運動を,首相に近い幹部たちが巨額投資をしているマンモハン医科大学に対する攻撃と,以前にもまして見ているようだ。KC医師の要求をそのように見るのは誤りだろう。この6年間,KC医師は,どの党が政権をとっていようとも,医学教育の改革を一貫して訴えてきたからだ。」

オリ首相は,KC医師が話し合いの前提条件を取り下げるなら,話し合いに応じるとしている。もしKCを疲れさせるため,このような作戦をとっているのだとすると,それは民衆を怒らせることになるだろう。政府は,そのような疑念がこれ以上大きくならないうちに,KCとの話し合いに応じるべきだ。すでに反政府運動は拡大し,政府の掲げる「社会主義」は大きく傷つけられてしまっているのだ。

「政府とKC医師側交渉団は話し合いの席に着き,KC医師が同じ問題でまたハンストをしなくてもよいような解決策を見つけるべきだ。KC医師の体調は危険なほど悪化している。彼は,いかなる犠牲を払っても救われなければならない。一方,オリ首相の評判は,そのかたくなで非情な態度により悪化してしまった。オリ首相,手遅れになる前に,あなたのエゴを抑え,KC医師の言葉に耳を傾けられよ。」

ダマカント・ジェイシ「絶対的権力は絶対的に傲岸となる」(ニューヨーク・タイムズ,2018年7月24日)(*81)
「オリ[首相/共産党共同議長]やダハル[共産党共同議長]が自分自身の党のマンモハン病院を信用せず,バンコクやシンガポールに治療に行くのは,なぜか? KCの改革要求は,ネパールの病院をオリやダハルの治療に十分なレベルにすることに他ならない。・・・・ネパール共産党が,コングレス党によるKCの闘争の政治的利用を糾弾するのは,正しい。では,共産党自身のKCとの過去の合意を共産党に実行させなくしているものは,なにか? コングレス党にKCのハンストを武器として利用するチャンスを,なぜ与えるのか?」

*79 Editorial, “That was appalling: The way the state used force to bring Dr KC to Kathmandu is deplorable,” Kathmandu Post, Jul 20, 2018
*80 Editorial, “Give up rigidity, listen to Dr KC,” Republica, July 24, 2018
*81 Damakant Jayshi, “Absolute power numbs absolutely: Nepal’s Communist government is behaving like a bunch of unhinged, insensitive hypocrites,” July 24, 2018

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2019/05/08 @ 18:05

カテゴリー: 健康, 政治, 教育

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