ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ゴビンダ医師のハンスト闘争(34)

8.「9項目合意」の評価
オリ政府とKC医師が「9項目合意」に署名し,KC医師がハンストを終えたことにつき,メディアの大部分は社説等で歓迎を表明した。ここでは,この件につき最も詳細に報道してきたリパブリカ紙の7月29日付と8月13日付の記事のみ,紹介する。(他のメディア報道は最後に参考資料として列挙予定。)

(1)リパブリカ「KC医師との合意をその文書と精神に沿い実行せよ」(2018年7月29日)(*90)
「ゴビンダ・KC医師に何が起こるのか? 政府は彼の要求に応えるのか? 彼の生命は救われるのか? トリブバン大学教育病院の長老整形外科医が15回目のハンガーストライキを始めた6月30日からこれまで,一般民衆はこれらのことを心配し続けてきた。KP・オリ政府は,ネパールの医学教育・保健衛生分野の抜本的改革への要求に消極的と見えるときもあれば,KC医師の体調悪化についても同様に冷淡と見えるときもあった。カトマンズ内外で政府に対する抗議行動が始まったのは,そのためだ。そうしたなか,この木曜日[7月26日]夕方,政府とKC側が合意に達したことを知らされ,われわれはみなホッと安堵した。KC医師の生命は救われ,医学教育分野の改革がようやく緒に就いた。政府は,遅くなったとはいえ,高い目標を持つ重要な訴えを聞き入れたのであり,称賛されてしかるべきだ。オリ首相が自らこの交渉に深く関与し,合意に達したおかげで,KC医師は今回のハンガーストライキを終えることが出来たし,またそればかりか,KC医師がこれまでと同じ理由で再びハンガーストライキをする必要はもはやなくなったという新たな希望をも持つことが出来るようになった。ありがとう,首相。・・・・

しかしながら,これまでそうであったように,政府がまたまた合意を反故にするかもしれないという疑念は,払拭できない。KC医師と交渉したこれまでの政府はすべて,彼の要求を受け入れると約束し,合意書に署名した。が,いまの首相が率いていた2015年の政府を含め,それらいずれの政府も合意した約束を実行しなかった。KC医師が15回目の決死のハンストに訴えざるをえなかったのは,そのためである。われわれは,オリ首相がKC医師を欺き引き延ばしを図ることのないよう願うし,また,そうあるはずだと信じている。首相は自らの意思により,KC医師の要求の受け入れとその実行のための合意書への署名を行わせた。これは注目すべき成果である。首相が本当に評価されるのは,合意が実行されたときであり,また老サチヤグラヒ[真理希求者]がその生命を,政府が追求し実現すべきなのにそうしない事柄のために危険にさらす必要のない状況をわれわれがつくりだすときである。わが国の政治家たちは,あまりにもしばしばKC医師を困難な状況に追いやってきた。そのようなことが,もはや二度と起きないことを願う!」
 
 ■Republica, 26 Jul 2018

*90 “Implement agreements with Dr KC, in letter and spirit,” Republica, July 29, 2018

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2019/05/10 @ 16:23