ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ゴビンダ医師のハンスト闘争(35)

8.「9項目合意」の評価
  (1)リパブリカ「KC医師との合意をその文書と精神に沿い実行せよ」(2018年7月29日)

(2)リパブリカ「KC医師との合意を実行せよ」(2018年8月13日)
「オリ首相とゴビンダ・KC医師が土曜日[8月11日],会談をもち,2週間前成立した9項目合意の実施につき話し合った。オリ首相は,合意の効果的実施のため監査委員会を設置することを提案した。首相は,以前は,KC医師のハンストや医学教育改革要求に反対と見られていたので,これは歓迎すべき一歩前進である。首相は前向きの姿勢を見せており,われわれも政府が約束を守り,合意に沿いその義務を果たすことを願っている。

オリ首相は,KC医師に監査委員会の長となるよう打診したが,即座に彼は辞退したという。KC医師のような人は,わが社会の道徳的権威であり,民衆の尊敬を集めている。国家はこの事実を認めるべきだ。彼は15回もハンストを行ったが,それは個人的な理由からではない。彼の目標は,この国の医学教育や保健サ-ビスの改革にあった。KC医師がいなければ,いまごろはMBBS[医学士課程]を学ぶのに1千万ルピー以上かかっていただろう。いまの学費はその半分以下だ――KC医師の妥協なき改革努力に感謝する。KC医師は,市民すべてに利用可能な保健医療を保障する憲法の精神を政府が遵守することを求めている。都市部の医療機関は例外なく繁盛しているけれど,遠隔地の村々の住民の80%は,下痢や発熱といったありふれた病気で死に続けている。わが国の憲法が求めているように,「社会主義指向」国家では,自分には必要なとき病院に行くすべのない人々であっても,十分な手当てが受けられるようにされなければならないのである。

オリ首相とKC医師との会談[8月11日]は,この国における医学教育を医学マフィアが牛耳っており,それを首相が手助けしているとして,人々が首相を糾弾しているときに行われた。この首相の会談への姿勢は,政府とKC医師とのこれまでの合意の効率的・効果的な実行へとつながるものでなければならない。二人は同じことを目指しているように見えはする。すべてのネパール人が良好な保健医療を受けられること,そして医学教育を受けうる能力のある人々が医科大学学費を払うため全財産を売り払わなくてもよくすることである。二人が,人々のための効率的で信頼でき利用可能な医療サービスと,学びたい人が学べる医学教育制度をこの国に実現しようと願っているのなら,[政府側が]KC医師とともに署名した合意諸項目が実行されない理由は,どこにもないはずだ。政府は,KC医師が同じ理由で再び次のハンストをしなくてもよいよう保証すべきだ。さもなければ,民衆の怒りを買い,オリ政府はたちまち民衆の今ある支持すらすべて失うことになるだけだからである。KC医師と人民は,保健医療と保健医療教育が直面している諸問題に政府が次にどのような対策をとるか,いまじっと見つめている。首相がKC医師と会談したことで,いくらか希望が見えてきた。どうか,この希望を消さないでほしい。」

▼180日,6年,15回のハンスト(Republica, 17 Jul 2018)

*91 “Implement agreements with Dr KC,” Republica, August 13, 2018

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2019/05/11 @ 11:25