ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

京都の米軍基地(114):包囲された穴文殊

経ケ岬の自衛隊基地と米軍基地が相競うように大拡張,穴文殊をほぼ完全に包囲してしまった。

穴文殊は,正式には清凉山九品寺。数百年前に創建され,文殊菩薩をご本尊としている。智慧の仏様・文殊菩薩に,清らかな浄土へと導かれていくことを願う大切な祈りの場。

この九品寺は,日本海沿いの断崖の上に建立された。背後は,西方浄土に向かって開かれた日本海。陸地側の周囲は,長らく田畑や草地だけだったと思われる。清らかな浄土を願うにふさわしい,静かで美しい平和なお寺。

その九品寺の側に,太平洋戦争開戦後,帝国海軍が軍事施設をつくり,戦後は進駐軍や航空自衛隊がそこを継承利用したが,それでも施設はまだ小規模であり,お寺は清凉で平和な環境をなんとか維持できていた。

ところが,九品寺のこの清凉と平和は,米軍Xバンドレーダー基地建設と,それに便乗した空自基地大拡張により,根こそぎ奪い去られてしまった。いまや九品寺は,細長い参道を除き,周囲を巨大な軍事基地に囲まれてしまっている。向かって左側が日本軍基地,右側が米軍基地。警備要員がすぐそばを武器を構え四六時中巡回し,軍用機器の大きな運転音が不気味に鳴り響く。

智慧と清凉と平和の祈りの場を,軍隊が包囲する――末世の現前といわざるをえないであろう。


■空自基地[左]・穴文殊[中央]・米軍基地[右](Google 2019)


■穴文殊本堂/同正面


■2013年の穴文殊左側(Google 2013/09)


■2013年の穴文殊右側(Google 2013/09)


■穴文殊参道入口左側の空自レーダー/同右側の建設中米軍ビル


■畑防獣柵と日米軍事基地/棚田と日米軍事基地

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2019/05/29 @ 16:13