ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

Archive for the ‘情報 IT’ Category

グローバル情報化とアルジュンさん死亡事件報道

先述のように,アルジュンさん死亡事件の報道,とりわけユーチューブ動画は「衝撃的」であった。十数年前,いやおそらく数年前ですら,こんな動画がネット上に掲載され,世界中に配布され見られることは,まずなかったであろう。
▼小島寛明「【衝撃映像入手】16人で1人取り押さえ手足拘束した警察。検察取り調べ中にネパール人男性死亡」Business Insider Japan, Mar. 29, 2019

関心をもち検索すれば,事件を報じた英文記事も世界中で読むことが出来る。
▼SAKURA MURAKAMI, “Wife of Nepalese man who died during interrogation sues state,” Japan Times, Jul 27, 2018

世界はいまや万人監視社会になった。わがアパートですら,玄関,駐車場,駐輪場,ごみ置場などに監視カメラが設置され,四六時中,監視・録画している。アパートに出入りする人はむろんのこと,前を通るだけの人や車,犬や猫やタヌキなど,すべて見られ記録されている。

わがアパートが特殊なのではない。近くの駅や道路,ビルや駐車場はおろか,一般の民家にも,いや走り回る車にすら監視カメラが設置され,常時監視・記録している。他の地域でも,状況は似たり寄ったりであろう。

しかも驚くべきことに,これら監視カメラの映像は,革命的技術進歩により個々人の識別にすら利用可能だ。われわれは,つねに監視され,個人として識別され,記録されているのだ。しかも,それらの情報は,可能的にはネットを介して世界中に配布され利用されうる。いやそればかりか,いったんネット上に掲載されれば,その情報は無数に拡散し,ほぼ制御不能となり,半永久的に残り利用されうる。まさにグローバル監視社会! ネット情報化社会は,いわば「神の目」をもつに至ったのだ。

この情報化社会では,ネットにつながりさえすれば,世界中,どこからでも世界に向け,映像・音声・文字などの情報を送受信できる。ネパールの地方からでも,つい数年前までは想像もつかないような生の情報がネット上に多数送られ,だれでも閲覧可能となっている。神秘の国,秘境など,もはやどこにもない。

日本の留置場や拘置所も,このグローバル情報化から免れることは,もはやできないであろう。監視カメラが設置されておれば,その映像は,どこかから流出し,ネット上に掲載され,世界中に拡散される可能性がある。そして,いったん拡散すれば,もはや取り消しは不可能!

アルジュンさん死亡事件の「衝撃映像」がどこから入手されたのか,私には全くわからないが,すでに「Business Insider Japan」や「ユーチューブ」などに掲載され,世界中に拡散している。可能的には,世界中の人々が,いつでも,どこでも見ることが出来る。もちろん,アルジュンさんの郷里,ネパールの人々にも!

アルジュンさん死亡事件の裁判は,世界中から,とりわけネパールの人々により,見られている。

【参照】Kanak Mani Dixit : In Nepal, 91% of individuals now own at least one mobile device, almost half of them smartphones.


■Nepali Telecom, 12 Mar 2019 / Nepali Times, 12 Apr 2019

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2019/04/15 at 15:28

ホームページ転居

ホームページ版「ネパール評論」は,これまでヤフージオシティーズにおいていたが,ヤフーが3月末サービス終了を決めたので,やむなく「スターサーバー」に転居した。

IT素人のため,あれこれやってみて,なんとか既存データだけは新居に運び込んだが,リンクなどがちゃんと機能するかどうかは,まだ不明。試行錯誤,少しずつやってみるつもり。

それにしても,ネット事業は,摩訶不思議。転居先は使用料無料の2Gコース。私のホームページでは動画も音声も使用しないので,2Gもあれば容量は十分。しかも広告すら表示されない! これで採算がとれるのだろうか? 

いずれにせよ,このようなネット・サービスが利用できるのは,IT素人にとっては,まことにはありがたい。隔世の感。多謝!

▼転居先 http://pax.starfree.jp/ 

谷川昌幸(C)

 

Written by Tanigawa

2019/01/30 at 18:21

ジオシティーズ廃止でHP移転,やれやれ

ホームページ開設サービス「ヤフー・ジオシティーズ」が3月末で終了となる。通知メールを見落としていたらしく,数日前ページ更新不能となったのでネットを見たら,事業終了がネットニュースに出ていた。やれやれ。

「ネパール評論」のホームページ版は,十数年前,大学サーバー上でつくり始め,退職を機に「ジオシティーズ」に移した。

ITは全くの素人なので,「ジオシティーズ」への移行にはさんざん苦労した。試行錯誤,慎重に進めたが,それでもファイルやリンクが相当数なくなってしまった。それまでの努力が水泡に帰すどころか,文字通り消失,すら残らなかった。ITは恐ろしい。

それなのにまた,「ジオシティーズ」廃止のため,どこか別のサーバーに引っ越さなければならない。どうしよう? バックアップを二重,三重にとり,慎重に作業しても,素人の悲しさ,どこまで移せるか心もとない。またファイルやリンクが消えてしまうのではないか? いったい,いつまでかかるのだろうか? いまだ着手の意欲すら湧かない。

こうしたネット事業の場合,会社の都合で維持が困難になったら,その部分を他社に譲り渡し,事業を継続することはできないのだろうか? 素人利用者のため,ぜひ検討していただきたい。

ともあれ,「ジオシティーズ」終了は3月末,それまでに何とか移転せざるをえない。どこに移すか? 無料ないし低料金のものとしては,見た限りでは「スターサーバー」がよさそうなので,一応,利用登録だけは済ませた。が,移行作業は,素人には難しそうだ。やってはみるが,またまたファイルが紛失したりリンクが切れたりするであろう。やれやれ,先が思いやられる。

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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2019/01/15 at 14:54

カテゴリー: 情報 IT

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ゴビンダ医師のハンスト闘争(2)

1.民主的専制とサティヤグラハ:ネパールから学ぶ(2)
それにしても,なぜいまハンストなのか? ネパールは民主化し,最高水準の民主的な2015年憲法も制定され施行されているのではないか?

ゴビンダ医師のハンストは,直接的にはネパールの保健医療分野の不正を告発し抜本的な改革を要求するものだが,それは同時に,その不正を容認し助長しているネパール民主主義の現状に対する真っ向からの異議申し立てともなっている。

ネパールの民主化は,マオイスト人民戦争(1996-2006年)後,急激に進み,2008年には王制が廃止され連邦共和制となり,そして2015年にはその成果を法的に確定する2015年憲法が制定された。この現行2015年憲法は,国民の権利と民主主義を詳細に規定しており,これによりネパールは少なくとも制度的には世界最高水準の民主国の一つとなった。

しかし,制度はできても,その運用には相当の経験と努力が必要である。ネパールの場合,前近代的・半封建的王制から21世紀的包摂民主主義体制に一気に飛躍したため,人権と民主主義の経験が乏しく,そのため様々な前近代的因習や慣行が根深く残る一方,他方では現代的な市場経済や自由競争社会の論理が有力者によりご都合主義的に利用され始めている。国民各人に保障されるはずの自由や権利は,実際には旧来の,あるいは新興の富者や強者のものとして利用され,そしてそれが民主主義の名により正当化され保護される。憲法規定の民主主義は,富者や強者が,彼ら独占のメディアや彼らの意を体する議会等の統治諸機関を通して国民を教化し,操作し,動員し,かくして彼らの特殊利益に奉仕させるための格好の手段となりつつある。現代型の「民主的専制」といってもよいであろう。


■ネパール憲法2072(2015)/代議院(下院)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/09/30 at 15:02

情報過多ネパール:語るに語れず

ゴビンダ・KC医師(博士,TU教授)の第15回ハンスト(6月30日〜7月26日)に興味を持ち,ここで紹介したいと思っているが,あまりの情報量,とても追いきれず,目下,立ち往生。

ほんの十数年前,インターネットが普及する以前は,ネパールは外国人にとって情報過少であった。逆説的だが,情報が少なければ,ネパールについて述べるのは容易。何らかの方法でネパール情報を手にすれば,それをネタに話したり書いたりすることができた。

ところが,いまやネパール情報はネット上にあふれている。何を言っても,何を書いても,たいていのことはすでにネットに掲載されている。新発見,新解釈と思っても,要するにそれは知らないだけ,ネット世界の検索を怠っているだけのことかもしれない。このネット情報化時代にあっては,自らの無知と怠惰をさらけ出す結果となるかもしれないという覚悟なくしては,およそ何かを書き,あるいは話すことはできないであろう。

本もまた,このネット情報化社会では,愛玩鑑賞用は別として,もはや不要となった。以前は,ネパールなど外国に行くときは,事前に本や地図帳でその国のことを調べ,そのうちの何冊かを重くはあったが持って旅に出かけた。が,いまや旅行先のことは何でもネットに掲載されている。小さなスマホ一台あれば,旅行に限らず,生活に必要な情報はどのようなものであれ,いつでもどこでも,はるかに効率的にネットから手に入る。もはや本など印刷物はいらないのだ。ネット上での再説も屋上屋,不要だ!

いやはや,困った時代になったものだ。ゴビンダ医師のサティヤグラハ(真理要求・真理把持)闘争には大いに関心がある。時代閉塞状況に陥りつつある日本のわれわれにとって,そこには学ぶべきものが多々あるように思われる。むろん,そう思うのは私の無知と怠惰のせいかもしれない。いっそのこと,ゴビンダ医師のサティヤグラハ闘争について,私的備忘録風に,思うところを書いてみることにするか。

▼ネパールにおけるインターネット急拡大

 *Nepal Internet Usersより作成(http://www.internetlivestats.com/internet-users/nepal/)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/09/19 at 18:21

ネパールの選挙,様変わり

1.「歴史的な平和的選挙」
ネパールの選挙が様変わり,いくつかの点で日本以上に「現代的」となった。

もちろん,ネパールの選挙につきものの暴力的選挙妨害は,内務省が30万人にも及ぶ治安要員を動員したにもかかわらず,あちこちで発生した。立候補者やその支持者に対する暴力,あるいは選挙そのものを妨害するための投票所や投票箱に対する爆発物や毒物による攻撃など。

また,国会選挙と州会選挙の同時投票に加えて多党乱立,さらには識字率(特に高齢者識字率)がなお低いこともあって,選挙(投票)方法が複雑となり,無効票が増えることが懸念されている。パンチタル郡選管が11月11日実施した模擬投票によれば,実に52%が投票の全部または一部が無効だったという(*2)。

しかしながら,こうした問題はあったものの,全体としてみると,今年の選挙(国会,州会,地方自治体)は,予想以上に順調であったといえる。投票率も高かった(11月26日選挙の投票率は65%)。

国連のグレーテス事務総長も12月8日,ネパールの「歴史的な平和的選挙」を歓迎する談話を発表した。事務総長は,この選挙を2015年憲法規定の連邦制実現への歴史的前進として高く評価し,ネパールの政府,政党,市民社会が包摂代表制政治の実現に向けさらに努力を継続することを期待し,そのための支援を国連は惜しまないと約束した(*1)。

2.選挙の情報化
ネパール選挙の様変わりは,なんといっても情報化。選挙情報化は前回の2008年制憲議会選挙のころから急速に進み始めたが,今回は,日本でネット情報を見ているだけでも,その激変ぶりがよく見て取れる。

ネパールのネット・サイトを見ると,マス・メディアばかりか,国際機関や民主化支援NGOなど,様々な機関が報道合戦を繰り広げている。そこには,お役所の選挙管理委員会も,堂々,参戦している。ネパールでも選挙情報があふれ,選挙は一挙にショー化,イベント化してきた。(テレビも選挙報道合戦を繰り広げているのであろうが,日本からはその実情はよくわからない。)

ネパールでも選挙は万人に見られるようになった――このことがネパール選挙激変の大きな要因の一つではあるまいか。


■選挙管理委員会HP(12月11日)/ Gorkhapatra(12 Dec)


■Kathmandu Post(9 Dec) / Republica(9 Dec)

■Annapurna(9 Dec)

*1 “SECRETARY-GENERAL STATEMENTS AND MESSAGES,” https://www.un.org/press/en/2017/sgsm18820.doc.htm
*2 “52pc votes invalid in mock election,” The Himalayan, November 19, 2017
*3 RAJNEESH BHANDARI and KAI SCHULTZ, “Violence Flares as Nepal Heads to Landmark Elections,” NOV. 25, 2017
*4 “Voting polls experience violence during Nepal’s historic vote,” AFP(https://www.enca.com/world/voting-polls-experience-violence-during-nepals-historic-vote), 26 November 2017
*6 “Voters in Nepal undeterred by election-related violence,” Al Jazeera, 8 Dec 2017
*7 Prabin Manandhar, “Electoral Violence And Security In Nepal,” Spotlight, Nov. 27, 2017

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/12/11 at 18:57

カテゴリー: 選挙, 情報 IT, 政党

政党のネット選挙運動

ネパールの選挙もネット時代に入り始めたようだ。驚いたのが,カンチプル系のサイト。ネパール語サイトも英語サイトも,開くとすぐ,政党への投票を呼び掛けるポップアップ画面が出る。効果絶大!

昨日12月2日は,コングレス党(NC)への投票呼びかけ。共産党共闘で劣勢が伝えられるので,切羽詰まってネット宣伝に走ったのかと思っていたら,今日は統一共産党(UML)の宣伝。NCだけではなかった。

二大政党が,ネパールの代表的メディアに宣伝を出しているのだから,違法ではないのだろうが,他党の宣伝はなく,どう見ても公平とは思えない。今のところ他の代表的メディアはこのような政党の選挙宣伝は掲載していない。ネパールにおいて,ネットの選挙利用は,どう規定されているのだろうか?


http://kathmandupost.ekantipur.com/
http://kantipur.ekantipur.com/
http://saptahik.ekantipur.com/
http://nari.ekantipur.com/
http://radiokantipur.ekantipur.com/
http://ktv.ekantipur.com/

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/12/03 at 10:21

カテゴリー: 選挙, 情報 IT, 政党