Archive for the ‘社会’ Category
生成AI問答(9): ネパールにおいて,高齢化と過疎化が進行しているのは,なぜですか?
高齢化と過疎化は,ネパールでも加速度的に進行している。まさか,と思われるかもしれないが,これは,どの国であれ,近代化・資本主義化の宿命らしい。
【参照】老老介護,事始め(14):人口ピラミッドの日ネ比較 老老介護,事始め(13):ネパールの高齢市民法 老老介護,事始め(12):ネパール憲法の高齢者権利保障 老老介護,事始め(11):ネパールの反面教師,日本[3] 老老介護,事始め(10):ネパールの反面教師,日本[2] 老老介護,事始め(9):ネパールの反面教師,日本[1]
今回は,この問題について,生成AIに質問してみた。マイクロソフトBingの回答は,これまでと同様,典拠明示は好ましいが,説明不足。
グーグルBardの回答は,やや常識的ながら,明快にして詳細。実用には十分だ。Bardは,日進月歩どころか,「秒進分歩」しているらしい。いかにもAIらしくて空恐ろしい。
OpenAIのChatGPTとは,今回もDeepLによる日⇒英⇒日翻訳を通して問答した。またしてもDeepL翻訳のすばらしさに驚嘆。完璧だ! 実用英語授業の廃止は,もはや避けられない。
そして,ChatGPTの回答も,これまたスゴイ。明快にして詳細という点ではBardとほぼ同じだが,文章のインパクトという点では,こちらの方が大きく,訴求力が強い。はや完成の域に達している。もはや従来型の教科書・参考書は,中・高校用も大学用も,大半はゴミ箱行きを免れないだろう。
*****<以下,生成AI回答>*****
Bing回答(質問回答=日本語)
ネパールにおいて、農村部の高齢化、過疎化が大きな問題となっています。出稼ぎに行く人が増える一方で、肉体的にきつい農業や牧畜業を継ぐ人々が少なくなっています。また、農村から出稼ぎに行ってある程度お金を稼ぐと、できるだけ都市部に移り住む人が多く、農村部の人口減少が進んでいます1。
高齢化は、ネパール全体でも問題となっており、65歳以上の人口は2011年時点で約4%でしたが、2050年には約15%にまで増加すると予測されています2。3.
Bard回答(質問回答=日本語)
ネパールにおける高齢化と過疎化は、いくつかの要因が重なって進行しています。
出生率の低下 ネパールの出生率は近年急速に低下しています。これは、経済発展や女性の教育水準の向上など、いくつかの要因が影響しています。出生率の低下は、将来的に人口の自然増加が減少し、高齢化が進むことを意味します。
若者の都市部への流出 ネパールの若者は、より良い教育や仕事を求めて都市部に流出しています。この流出は、地方の過疎化と高齢化につながっています。
自然災害 ネパールは地震や洪水などの自然災害が頻発しています。これらの自然災害は、家屋やインフラの破壊、死傷者など、大きな被害をもたらしています。自然災害は、被災地の人口流出やコミュニティの崩壊を引き起こし、過疎化と高齢化を加速させる可能性があります。
ネパールの高齢化と過疎化は、ネパールの社会経済に大きな影響を及ぼしています。高齢化は、社会保障制度への負担の増加、労働力不足、消費の減少など、様々な問題を引き起こしています。過疎化は、地域のコミュニティの衰退、公共サービスの低下、治安の悪化など、様々な問題を引き起こしています。
ネパールは、高齢化と過疎化に効果的に対応するために、いくつかの施策を講じています。これらの施策には、社会保障制度の拡充、若者の地方定住促進、自然災害対策の強化などがあります。しかし、これらの施策は十分ではなく、ネパールは高齢化と過疎化への対応に苦慮しています。
ChatGPT回答(質問回答=DeepL翻訳英語)
ネパールは現在、高齢化・過疎化という人口動態の変化が起きており、若者が減り、高齢者が増えている。この傾向には、いくつかの理由があります:
出生率の低さ: ネパールの出生率は過去数十年にわたり着実に低下しており、これは女性が子供を産む数が減っていることを意味します。これは、家族計画や教育へのアクセスが改善されたことや、家族の人数に対する文化的な考え方が変化したことが一因となっています。
移住: 多くの若者がより良い経済機会を求めてネパールを離れ、特に湾岸諸国とマレーシアに移住しています。このため、ネパールでは頭脳流出が起こり、人的資本が失われている。
人口の高齢化: 医療と生活水準の向上により、ネパールの平均寿命は延びました。その結果、人口に占める高齢者の割合が増加し、若者の割合が減少しています。
都市化: ネパールの人口は都市化が進んでおり、より多くの人々が都市や町に移動しています。この傾向は、地方が経済的な課題やインフラの不足に直面しているため、今後も続くと思われます。
全体として、これらの要因がネパールの高齢化と過疎化の一因となっています。この傾向は、潜在的な労働力不足や高齢者向けの社会福祉プログラムへの負担増など、ネパールに大きな社会的・経済的影響を与える可能性があります。
*****<以上,生成AI回答>*****

谷川昌幸(C)
生成AI問答(7): ネパールのジェンダー政策が,日本のそれよりも先行しているのは,なぜですか? また,日本は,ネパールのジェンダー政策から何を学ぶべきですか?
ネパールのジェンダー政策は,日本よりはるか先に始まり,いまやはるかに充実している。たしか1990年代末頃だったと記憶しているが,カトマンズの商業ビル内で「第三の性(広義)」の人々の集会が開かれていたらしく,様々ないでたちの大勢の参加者に取り囲まれ,進退窮まったことがあった。すでにその頃から,ジェンダーはマスコミでも街頭でも,盛んに議論されていた。また,いま日本で問題になり始めた「ジェンダーとトイレ」ですら,早くから議論され,あれこれ試行運用されてきた(ほぼ決着済みか?)。
このようにネパールはジェンダー問題で日本よりはるかに先行したが,その理由の一つは,ほんの数十年前までは女性差別がネパールでは耐え難いほど厳しかった,という歴史的事実にあるであろう。性差別の厳しさゆえに,かえって,より根源的に「性」を問い,ジェンダー平等へ向け,一気に前進したということ。
それともう一つ,後発国の兎跳び前進。ネパール,特に村では,従来型の電気や電話がなかったからこそ,一足飛びに,それらを飛び越え,ソーラーやケイタイが普及した。同じことが,ジェンダー問題でも起こっていると見てよいであろう。いまやネパールに飛び越えられ,後進国となったってしまった日本! これから,先進国となったネパールから,どう学ぶべきだろうか?
このように,今回の質問は,ネパールと日本の歴史や文化とも絡むうえに,「学ぶべきか」という「べき」問題も追加されている。また,代名詞「それ」がある上に,2問が一度に問われている。この難問を,AIは,どう処理するか?
Bing回答は,参照先として外務省・JICAの報告を明示しているが,読み比べてみた限りでは,直接引用ではない。回答は,論旨がきちんと展開されており,日本語文章も正確だ。
しかし,その一方,よくできた回答ではあるが,少々形式的・表面的すぎる気がする。主たる参照先が日本の外務省・JICAだからかもしれない。
ChatGPT回答は,グーグル自動翻訳にほんのわずか不自然なところがあるだけで,ほぼ完璧。面白くて深くて,考えさせられる。名回答。
自動翻訳でこんなことができるのなら,学校の実用第一の英語授業はもはや不要,廃止した方がよい。
また,内容的にも,こんな高度なレポートを一斉に出されたら,高校や大学の先生は採点に困る。いや,小学生にだって,これなら簡単に作成し提出できる。社会科・社会科学の授業も,今のままでは続けられないだろう。さぁ困った。どうすべきか?
*****<以下,生成AI回答>*****
[1] Bingの回答(質問&回答=日本語)
ネパールのジェンダー政策が日本よりも先行している理由については、ネパールが2006年に民主化されたことが大きな要因の一つです。その後、ネパールは、国連の女性の地位委員会(CSW)において、ジェンダー平等に関する国家報告書を提出し、ジェンダー平等に関する法律を制定しました。また、ネパールは、女性の政治参加を促進するために、選挙制度を改革し、女性の立候補者数を増やすなどの取り組みを行っています1。
一方で、日本は、2019年に「ジェンダー平等基本法」を制定しましたが、その前後には、「女性活躍推進法」や「男女共同参画社会基本法」などの法律が制定されています。しかし、日本では、女性が政治や経済の世界で活躍することがまだまだ少なく、ジェンダー平等に関する意識も低いとされています2。
ネパールのジェンダー政策から学ぶべきことは多くあります。例えば、ネパールでは、女性の政治参加を促進するために選挙制度を改革したり、女性の立候補者数を増やすなどの取り組みが行われています。また、ネパールでは、女性が自立して生きるための支援も行われており、日本でも同様の取り組みが必要だと考えられます1。
1: ネパール:ジェンダー平等政策 2: 日本とネパールのジェンダー政策比較 詳細情報: 1. mofa.go.jp 2. jica.go.jp 3. mofa.go.jp
[2] ChatGPTの回答(質問&回答=Google翻訳使用)
ネパールと日本のジェンダー政策を明確に比較することは困難です。両国には、政策を形成する独自の文化的、歴史的、社会的背景があるからです。しかし、ネパールは近年、ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントに向けて大きな進歩を遂げました。これは、政治的コミットメント、草の根活動、国際的な支援など、いくつかの要因に起因する可能性があります.
ネパールのジェンダー政策の枠組みには、ジェンダーに基づく暴力に対する法的保護、女性の政治的代表を増やすためのアファーマティブ アクション プログラム、教育、医療、経済的機会への女性のアクセスを改善する取り組みが含まれています。 特に、ネパールの 2015 年憲法は、女性の平等な権利を保証し、性別、民族、宗教に基づく差別を禁止しています。
一方、日本は、女性の政治参加率の低さ、根強い男女賃金格差、女性に偏って影響を与える長時間労働の文化など、男女平等への取り組みが比較的遅いという批判に直面しています。 日本は、育児へのアクセスの拡大や女性のリーダーシップの促進など、これらの問題に対処するためのいくつかの政策を実施してきましたが、批評家は、ジェンダーの平等を促進するためにさらに多くのことを行う必要があると主張しています.
ネパールのジェンダー政策から、日本はジェンダー平等を推進する上での政治的コミットメントと草の根活動の重要性について学ぶことができました。日本はまた、ジェンダーに基づく暴力に対する法的保護を実施するだけでなく、政治や指導的地位における女性の代表を増やすためのアファーマティブ アクション プログラムを採用することからも利益を得ることができます。さらに、日本は、ワーク・ライフ・バランスをサポートし、男女間の固定観念や職場での差別など、男女間の賃金格差の根本原因に対処する政策を検討することができます。
*****<以上,生成AI回答>*****


【参照】
*「包摂トイレ,ネパール国連ビルに設置」ほか,ジェンダー関係投稿一覧
*「第三の性パスポート,ネパール発行開始」ほか,第三の性関係投稿一覧
谷川昌幸(C)
生成AI問答(5): ネパールの人々が最も好きなのは,どの外国ですか? そして,なぜ彼らはその国が最も好きなのですか?
ネパールは,人口約3千万人の内陸国。海洋に囲まれた日本とは異なり,常に外国との関係を意識し,日々生活をせざるをえない。
そのネパールに住む人々は,外国について,どのように考えているのであろうか? 南のインドと北の中国がネパールでは最大の存在感を持つことは自明だが,ここでは,もう少し私的・日常的な「好きな国」という聞き方をしてみた。
質問は2つの質問文に分け,それら2文を一度に投稿して,回答してもらった。
Bing回答は,簡素。間違いではないが,あまり参考にはならない。
ChatBPT回答は,中国への言及がないが,それをのぞけば詳細にして懇切丁寧,明快。日英自動翻訳もほぼ完璧。信じがたい完成度!
*****<以下,生成AI回答>*****
[1]Bingの回答(質問&回答=日本語)
ネパールの人々が最も好きな外国は、インドです。ネパールは、インドと中国に挟まれた国であり、インドとは長い国境を共有しています。そのため、インドとの関係は非常に重要であり、多くのネパール人がインドを好きだと考えています。
[2]ChatGPTの回答(質問&回答=Google翻訳使用)
特定の外国に対する国全体の好みを一般化することは困難です。しかし、文化的、歴史的、経済的なつながり、近隣諸国、観光などのさまざまな要因に基づいて、一部の外国は他の国よりもネパール人の間で人気があります.
インドは間違いなくネパール人の間で最も人気のある外国です。 両国は長い歴史と文化的なつながりを共有しており、インドはネパールの最大の貿易相手国でもあります。多くのネパール人も、教育や治療のためにインドに旅行します。 さらに、地理的に近接しているため、両国はかなりの人的交流があり、多くのネパール人はインドに家族や友人がいます。
インドとは別に、ネパールの人々は、アメリカ、イギリス、カナダなどの西洋諸国にもかなりの親近感を持っています. これらの国は、高等教育を受けるネパール人学生の間で人気があり、就職の機会を求めてネパール人の専門家を惹きつけています。多くのネパール人もこれらの国に住んでいる親戚や友人を持っており、それが彼らの人気を高めています.
ネパール人の間で人気のある他の外国には、オーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国、タイ、マレーシアが含まれます。これらの国は、景色の美しさ、文化の多様性、手頃な価格のため、ネパールの観光客に人気があります。
全体として、特定の外国に対するネパール人の好みは、歴史的つながり、文化的類似性、経済的機会、観光の可能性など、さまざまな要因によって異なります。
*****<以上,生成AI回答>*****

谷川昌幸(c)
生成AI問答(2): ネパール国旗が三角形であるのは,なぜですか?
国旗は,日本の「日の丸」がそうであるように,どの国でも多かれ少なかれ,意味づけが争われ,賛否両論がある。
Bing回答は,典拠が少し古いらしく,やや説明不足。追加質問が必要。
ChatGPTの方は,一部,自動翻訳のミスを修正すれば,模範的な回答。が,なぜ王家・ラナ宰相家と国旗との関係に言及していないのか,不思議?
*補足:生成AIは,同じ質問でも,問うたびに異なる回答を出す場合があるようだ。次回から試してみたい。
*****<以下,生成AI回答> *****
[1]Bingの回答(質問&回答=日本語)
ネパール国旗は、世界で唯一、三角形が2つ重なった形をしている国旗です。ネパール王国の王家と宰相家が使用していた2つの三角旗を組み合わせて簡略化したことに由来しています。ネパールの国旗は、三角形が2つに、赤地に青の縁取り、月と太陽の意匠が施されています。[典拠略]
[2]ChatGPTの回答(質問&回答=Google翻訳使用)
ネパールの国旗は主権国家の国旗の中でも独特で、長方形や正方形ではなく、2つの三角形が重なった形をしています。
ネパールには世界最高峰のエベレストをはじめ、世界で最も高い山がいくつかあるため、国旗の形は国の地理を象徴しています。
国旗の2つの三角形は、ネパールの2つの主要な宗教であるヒンズー教と仏教を表しており、これらは何世紀にもわたって同国で共存してきました。
小さい方で青色で描かれている上の三角形は空とヒンズー教の神々を表し、大きい方で赤色で表されている下の三角形は地球と仏教の教えを表しています。
2つの三角形の組み合わせは、ネパールにおけるこれら 2つの宗教の調和のとれた共存と、国の多様な民族グループの団結と協力の象徴でもあります。
旗のデザインに描かれた三日月と太陽は、天体のように自立し自由でありたいというネパールの人々の願いを表しています。
*****<以上,生成AI回答>*****


【参照】
*1 ヒンズー教王国象徴としてのネパール国旗
*2 国旗の変更
谷川昌幸(C)
生成AIで世論操作?
生成AIは,一般向けBingとChatGPTを一昨日,初めて,ほんのちょっと使ってみただけ。全くの素人だ。が,それにもかかわらず,生成AIのあまりの有能さにビックリ仰天,これは大変なことになった,と寒気を覚えた。

このような革命的な新技術が現れたとき,人がまず思いつくのは,金儲けと世論操作。実業家であれば,革命的経費削減(とりわけ人件費)・事業拡大で大儲けができるとほくそ笑むにちがいない。また政治家なら,生成AIにひそかに細工し,都合の良い方向に世論を誘導しようと考えるはずだ。これは自然な人情,止めようがない。

いずれも心配だが,いまの私にとって,より気がかりなのは,生成AIの政治利用の方。BingやChatGPTは親米の,「文心一言」は親中の,世論形成のために利用されるのではないか? たとえば,「文心一言」の「契約特記事項」では,こう明記されている(Google自動翻訳)。
3. 利用規則
1.・・・・以下の行為を含むがこれらに限定されない違法または不適切な活動を行わないことに同意するものとします。・・・・
2)国家安全保障を危険にさらし、国家機密を漏らし、国家権力を転覆させ、国家の統一を損なう。
3)国家の名誉と利益を害する。・・・・
11)国家主権および領土保全の侵害、地図の作成および公開に関する関連する国内規制の違反を伴う可能性のあるコンテンツ。・・・・
6)風説を流布し、社会秩序を乱し、社会の安定を損なうもの。・・・・
5. ・・・・以下のインターネットの収益を遵守します。1)法規制のボトムライン 2)社会主義システムのボトムライン 3)国益のボトムライン ・・・・
自動翻訳からの一部抜粋で少々分かりにくいが,この警告だけを見ても,AIの政治利用が決して単なる杞憂でないことは明白だ。むろん,BingやChatGPTにしても,「文心一言」ほどあからさまではないとしても,政治的に操作しようと思えば出来ないわけがない,と見るべきだろう。

といっても,今の私は生成AI超初心者,このような大問題は,取り組むには荷があまりにも重すぎる。そこで,とりあえず「ネパール」について,いくつか生成AIに質問し,どのような回答が得られるか,検討してい行くことにしたい。
なお,「文心一言」は最も興味深くはあるが,まだ試用が始まったばかりなので,今回は割愛する。
谷川昌幸(C)
生成AI:21世紀の文化大革命
今朝,遅まきながら生成AI(チャットAI)を使ってみた。ビックリ仰天! 「21世紀の産業革命」と呼ばれるのも,もっともだ。というよりもむしろ,これまでの人間文化を根底から覆す「21世紀の文化大革命」となる可能性ー危険性ーが大だ。人工知能(AI)が,人間の知能より高性能となり,人間にとって代わって考え,働くようになる。人間文化からAI文化へ!
*生成(生成的)AI=Generative Artificial Intelligence。今朝使用はマイクロソフトBing。OpenAI社の製品名は「チャットGPT」

このような危惧に対し,たいてい「AIはいくら高効率でも創造性はないから,使い方さえ誤らなければ,それはあくまでも人間の道具であり,人間にとって危険なものではない」との反論がなされる。
が,これは単なる申し訳であり,気休めにすぎない。チャットAIを数分でも使ってみれば,それが自分よりもはるかに博識で,想像力≒創造力に富んでいることを認めざるをえなくなる。
AI革命は,「技術」革命・「産業」革命にとどまるものではなく,事実上,「文化」革命。これから先,思いもよらぬことが次々と起こり始めることは,まず間違いない。

日本にいて,すぐ思い当たるのは,何といっても教育。たいていの先生は,すでにチャットAIにかなわない。当然,生徒・学生は,先生よりもAIに質問し,学ぶようになる。先生も学校も不要。しかも,その上,AIからいくら学んでも,人は誰もAIより賢くはなれない。AI支配のデストピア!
ーーと,こんな風に見るのは,ちょっと悲観的すぎかな? なんせチャットAIは,今朝,初めて使ってみたにすぎないから。
これから先,チャットAIを質問攻めにし,答えてもらって,その知識や性格や振る舞い方を最大限理解し,その上で,それとの健全な交際の仕方を見つけ出していくことにしたい。

谷川昌幸(C)
セピア色のネパール(14): バクタプルはトロリーバスで
バクタプルへは1985年,トロリーバスで行った。乗車は,たしかマイティガル付近。幸い車内には入れたが,例の如くオンボロ,ギュウギュウ詰め。降りたのは,バクタプル旧市街の小川の向かい側で,たぶんスルヤビナヤク。
トロリーバスを降りると,一面の菜の花畑の向こうに,バクタプルの小じんまりしたレンガ造りの街が一望できた。まるで,おとぎの国。
トロリーバスは,古都そのもののバクタプルはいうまでもなく,まだ古都の面影を色濃く残していたカトマンズにも,よく似合う乗り物であった。
が,残念なことに,中国援助で1975年に導入されたトロリーバスは,適切な維持管理が出来ず,2009年に全廃されてしまった。




もともとカトマンズ盆地は,それほど広くないうえに,歴史的に貴重な文化財や街並みが多く残されており,人びとの移動手段としてはトロリーバスや路面電車の方が適していた。
ところが,盆地の古都・京都が,地形も文化も考慮せず,市街に張り巡らされていた路面電車を全廃してしまったように(私鉄・京福電鉄だけが短区間とはいえ健気に孤高の孤塁を守っている),ネパールもトロリーバスを廃止,道路を新設・拡張し,車社会へと驀進することになった。その結果,盆地はバイクや車であふれかえり,排気ガスがよどむと,氷雪の霊峰ヒマラヤは霞み,街の散策にはマスクさえ必要になってきた。
このような車社会化のカトマンズや京都と対照的なのが,欧州の古都。多くが,路面電車やトロリーバスを,必要な改良・改革は大胆に取り入れつつも,なお運行し続けている。その結果,無機質な「近現代的」車道の拡張・新設は抑制できるので,欧州の古都の多くは今なお伝統的雰囲気を保ち,より文化的にして人間的である。(参照:欧州/ウィーン)




カトマンズ,京都などの古都が,街の非人間化をもたらすバイクや車を規制し,路面電車・トロリーバスなど,より人間的にして文化的な乗り物の導入へと向かうことを願っている。
【参照】(2023/02/25追加)
「このままの形で維持していくことは非常に難しい…. そんな厳しい路線をJRから引き継ぎ、黒字化させた例がある。富山市の富山港線だ。地元主体でLRT化し、利用者数を1.5倍超にまで伸ばした。….改革を主導した森雅志・前富山市長に聞いた。」河合達郎「廃止に向かうローカル線を黒字転換」JBpress,2023.2.25
【参照2】(2023/02/27追加)
Sushila Budathoki, Why is the air in Bhaktapur so bad? Brick kilns, heavy highway traffic and prevailing winds make air quality the dirtiest in Kathmandu Valley, Nepali Times, February 24, 2023
【参照3】(2023/03/07追加) Trolleybus on the Kathmandu-Bhaktapur road
谷川昌幸(C)
セピア色のネパール(12): オートテンポからサファテンポへ
ネパールのオートテンポには,その「好い加減さ」に加え,もう一つ,驚かされたことがある。騒音と排気ガスである。
オートテンポは,2~3人乗りタクシーも数人~十数人乗り小型バスもディーゼル・エンジン。混合燃料2サイクル・エンジンも見たような気がするが,未確認。いずれにせよ,これらのエンジンは,ともに騒音と排気ガスがひどい。バタバタ,モクモク・・・・。盆地だから,天候によっては,ひどい排気ガス汚染に悩まされることになる。


これに怒りオートテンポ禁止,電動「サファ(清浄)テンポ」の導入を訴え始めたのが,内外の環境保護派。車の電動化(EV化)はまだ試行段階,欧米でも先行きはほとんど見通せなかった。そこで,例の如く,彼らが目論んだのが,ネパールをEV化モデル国とし,世界にアピールすること。
正確な時系列は確認していないが,無排気ガスで清浄な電動サファテンポは,早くも1993年にはカトマンズで走り始め,数年後には政府の税優遇,電力料金割引など手厚い支援を受け,国内生産も始められた。1998年には110台ほどが運用される一方,オートテンポは翌1999年には禁止されることになった。
ところが,現実には,サファテンポは高コスト。電池はアメリカからの輸入で,2年と持たない。また,それに加え,坂の多いカトマンズではパワー不足。そのため政府の方針もぐらつき,オートテンポを,比較的低公害のガソリン車やLPG(プロパン)車に切り替えることになってしまった。
そのため,旧式オートテンポも最新サファテンポも,低コスト,高性能の日本車に取って代わられた。小型タクシーではマルチスズキ(インド製),小型・中型バスではトヨタ・ハイエースなど,盆地は日本車に瞬く間に席巻されてしまった。
ネパールのEV化は失敗,とその頃,私も見ていた。しかし,電話において,有線を飛び越え,一気に無線スマホ化することに成功したように,また街灯をソーラー蓄電池式LED灯に一気に転換したように,いまネパールは,捲土重来,小型タクシーから大型バスまで,再びEV化に向かって大きく前進し始めた。車においても,一足飛びの前進が,ネパールでーー日本ではなくーー起こるのではないだろうか。期待しつつ注目している。
ローテクの人間臭いオートテンポからハイテクの超先進的EVへーーいかにもネパールらしいアクロバティックな一足飛びの大飛躍。4半世紀前のセピア化した写真を眺めていると,ついそんな感慨に打たれることになる。



【参照1】ネパールEV史に詳しいのは:
・Sushila Maharjan,”Electric Vehicle Technology in Kathmandu, Nepal:Look at its Development,” 2002

【参照2】サファテンポの近年の状況については:
・Atul Bhattarai, When Kathmandu Was “Shangri-La for Electric Vehicles,” 2019
・Benjie de la Pena, Hello, Safa Tempo!, 2021
谷川昌幸(C)
セピア色のネパール(11): ちょっと遠出はオートテンポで
1980年代後半~90年代前半頃のカトマンズ滞在では,オートテンポ(オートリキシャ)とバスも印象深く記憶に残っている。(テンポ[テンプ]=3輪車)
オートテンポは,インド製のエンジン付小型3輪車。2,3人乗りタクシーとして使用され,街中を流していたり,盛り場で客待ちをしているのは,多くがこれであった。私も,少し遠出するときや荷物の多いとき,あるいは2,3人で移動するときは,たいていこのオートテンポを利用した。
オートテンポには何種類かあったのだろうが,私が乗ったのは,たいてい構造がきわめてシンプルな,人力3輪リキシャにエンジンと料金メーターをつけただけ,といった感じの車であった。
このオートテンポは料金メーター付だが,乗車前には,たいてい料金交渉をした。リキシャと同じ。ときにはメーターで行ってくれたが,そうした車の中には異常に速くメーターが上がるように思えるものがあり,ハラハラ,ドキドキ,心配で途中下車してしまったこともあった。


オートテンポは,よく故障もした。が,そこはよくしたもので,運転手は,たいてい故障個所を素早く見つけ,自分で手際よく修理し,何事もなかったかのように車を出した。
たしかに,車の構造は極めて簡単。そして修理も,そんなことでよいのかと心配になるほど,いいかげん。とにかく「いま動くようになれば,それでよい」といった感じの,その場しのぎの応急修理。
当初,そんな「いいかげんな場当たり主義」ではダメだ,と憤慨していたが,しばらくすると,「いいかげん」は「好い加減」であり,このやり方,ひいては生き方の方がよいのではないか,と思われるようになった。そして,私自身も,かつては同じようなことをしていたことを思い出した。
以前は,原動機付自転車には14歳から乗れたので,私も中学3年の頃から乗り始めた。オートテンポ以上に構造は簡単ちゃちだったので,よく故障したが,その都度,自分であれこれ工夫して直し,乗っていた。
悪ガキ仲間で秘境・丹後半島に出掛けたときも,山あり谷ありの未舗装悪路で幾度か故障したが,何とか直さねば遭難してしまうので,あれこれ工夫し,ともかくも走るようにして帰り着いたことがあった。
が,これは,思い起こして懐かしい,というだけの話ではなかった。高度成長が始まると,世を挙げて最大限あらゆることを細分化・専門分化し,効率を上げ,利潤を追求していくことになったが,これはとりもなおさず,人間を分解し,バラバラに解体することを意味した。ほんらい統合的総体としてあるはずの人間の分解であり,人間としての幸福の解体・喪失であった。
カトマンズでオートテンポをその都度自分でやりくり修理して走らせていた運転手は,原付自転車をあれこれ自分で工夫して直し乗り回していたかつての私自身と同種の,「好い加減」な生き方をしていたのだ。
このことに気づき,私はいたく感動,ネパール式の方が幸せになれるのではと思い,それへと方向転換しようとしてきたが,これは時流に逆らうことで難しく,今もって望み通りには実現していない。残念。

谷川昌幸(C)
セピア色のネパール(10): 盆地内近距離は徒歩・自転車・リキシャで
カトマンズ盆地内の移動には,1980年代後半~90年代初めの頃は,近くはたいてい徒歩か自転車かリキシャ(人力3輪車),中距離はオート・テンポ[テンプ](エンジン駆動3輪車),そして遠くは乗合バスを利用していた。貧乏旅行のため,タクシーはほとんど利用せず。
当時,車やバイクはまだ少なく,環状道路(リングロード)内,あるいは時にはキルティプルであっても,徒歩や自転車の方が,道々,あれこれ見物できて楽しかった。

自転車は,その頃の常宿,ディリバザール入口の「ペンション・バサナ」で借りた。インド製(ヒーロー自転車?)なのか,いかにもゴツくて武骨,乗り心地は良くなかったが,徒歩よりはるかに速く,便利であった。
が,なぜか自転車は,農産物,雑貨などの物資運搬・行商用を除けば,日本ほど多くは見かけなかったと記憶している。自転車は先に行商用イメージが強くなってしまったので,中流・上流の人びとにとっては,特権的ステータス・シンボルとして所有したり利用したりする魅力がなくなってしまっていたからかもしれない。



人力3輪リキシャは,荷物があったり疲れたとき,利用した。当初は,乗る前の運賃交渉が面倒だったが,だいたいの相場が分かってくると,交渉それ自体が異文化体験であり,興味深く,楽しめた。
が,リキシャはなんせ人力,上り坂ではペダルがいかにも重そう。見るからに羽振りのよい―たいてい体格もよい―地元利用客のように「金は払った」と座席でふんぞり返っている勇気はなく,坂になると,降りて歩くか,ときには上まで押し上げるのを手伝ったりもした。典型的な小心者,日本人!


日本でも,地方では,自転車や人力2輪車・3輪車(リヤカー)での人や物資の移動・輸送・行商が,1960年頃までは,ごく普通に行われていた。私の村でも,たいていの家の人が,それらで未舗装の峠を越え数キロ先の町と行き来していた。行商,通学・通勤,そして遊興のため。
1980年代後半のネパールでは,首都カトマンズ盆地であっても,1世代前の日本の農山村に近い雰囲気が,まだ随所で体感できた。懐かしかった。
谷川昌幸(C)
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