ネパール評論 Nepal Review

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ミスネパール,お宝動画

谷川昌幸(C)
「ミスネパール2009」の隠し撮り(と思われる)お宝動画が,ヒマラヤンタイムズに掲載されている。約10分。このイベントは別の新聞社が応援していたのではなかったかな? 
 
 
▼参照

Written by Tanigawa

2009/10/12 at 09:48

カテゴリー: 文化

ミスネパール2009を容認したマオイスト

谷川昌幸(C)
Fem Hidden Treasureの「ミスネパール2009」が9月24日,開催された。マオイストもなめられたものだ。女の力で人民戦争に勝利したくせに,もうインド系企業の金に目がくらみ,「気の抜けた」(ニューケララ),「形だけ」(警察談)のデモで少し抵抗しただけで,下劣な女品評会を容認してしまった。
 
会場の「トリブバン軍会館」がどのようなものか,私にはまったく知識がないが,女品評会の会場が軍会館とは,出来すぎた話だ。
 
そもそも,多民族多文化国家ネパールでミスコンをやること自体が,無神経だ。今回の「ミスネパール2009」は,タマン民族の女性で,おそらく仏教徒,身長168センチ,体重56キロ。たいへん魅力的な女性であることはいうまでもない。
(Republica, 25 Sep)
 
しかし,最終審査に残った他の15人の中には,ネワール民族,ブラーマン,チェットリ,タライ系民族もいる。また宗教も,仏教,ヒンズー教だけでなく,ひょっとするとキリスト教や無宗教の人もいるかもしれない。その中から,どんな基準でタマン民族の女性を選んだのか。
 
いまのネパールでミスコンをやれば,民族や宗教や言語や学歴の順位づけになる。栄光を夢見て応募する女性たちを責めることは出来ない。ケシカランのは,そのような乙女心をを利用し,つまり,マオイスト風にいえば,女性を搾取し,金儲けをたくらむ強欲資本家どもだ。
 
マオイスト幹部たちは,あらかた利権にありつき,もはや革命を進める気はないらしい。真正ネオ・マオイスの出現は時間の問題であろう。

Written by Tanigawa

2009/09/25 at 13:24

カテゴリー: 文化

性の世俗化と商品化

谷川昌幸(C)
近代化は,M.ウェーバーがいうように脱魔術化(脱神秘化)であり,世俗化である。性も例外ではない。政治が近代化され世俗化されれば,性も近代化され,脱神秘化・世俗化されざるをえない。
 
1.性の伝統的規制
ネパールは,性力派や寺院の男女合体像に見られるように,決して性を隠蔽してきたわけではない。パシュパティナートなど,シバ寺院のご神体は男根だし,町のあちこちに,いや小学校の校門脇にさえ,男女性器合体像が祭られている。美術館にも,露骨な性交図が麗々しく陳列されており,目のやり場に困るほどだ。
 
しかし,周知のように,これらは豊穣祈願であり,決して性的放縦を意味しない。性は聖であり,宗教規範により厳しく規制されてきた。性と生は神の領域であったのである。(聖と穢れは紙一重。タブーを破れば,一転して,聖は穢れとなる。)
 
2.性の世俗化
ところが,ネパール政治の近代化・世俗化により,ネパールの性と生も神の領域から人為的操作が可能な人間の領域に引き下ろされた。もはや性は恐ろしいタブーでも神の神秘でもない。それは,人間が自分の意志により技術的に操作しうる生物学的行為となったのである。
 
その一方,近代化・世俗化は資本主義化でもあり,これは万物の商品化を意味する。ネパールでも,性は世俗化とともに商品化され,市場で取り引きされるようになってきた。(伝統的職業売春は単なる市場商品ではない。)
 
先進国の場合,近代化は多かれ少なかれ漸進的であり,その間に,伝統的道徳にかわる近代的道徳が育ち,性の商品化に一定の歯止めを掛けてきた。
 
ところが,ネパールの近代化は急激であり,近代的規範が育つ以前に,伝統的道徳規範が崩壊してしまった。
 
3.性の商品化
たとえば,タメルでは先日述べたように,怪しげなダンスバーなどが激増し,最近では他の市街地にも進出しはじめた。
 
これに対し,かつてマオイストが規制に着手したが,幹部の右傾化でたちまち頓挫してしまった。プラチャンダ議長自身,官邸に「豪華巨大ベッド」を持ち込むていたらくだから,しめしがつかない。この調子では,今年のミスコンは実施されるだろう。
 
4.コンドームと避妊ピルの大宣伝
性が世俗化されれば,個人は私的目的で,企業は営利のために,政府は統治目的で,性を操作し利用しようとする。
 
先進国の場合,近代的道徳規範が働き,たとえば赤裸々な性の商品化はインターネットなど特殊な場所に限定される。ところが,ここネパールでは,そんな遠慮は無用,白昼堂々,性関連商品の大宣伝が繰り広げられている。
 
見よ,この巨大宣伝を! これはバグバザールのラトナパーク側出口の交差点陸橋だ。陸橋西側にはコンドームの宣伝,反対の東側には避妊ピル(堕胎薬?)の宣伝が出ている。
 
この交差点付近はカトマンズ有数の繁華街。パドマカンヤ女子大学など多くの学校があり,バスパーク,イスラム教寺院もあり,いつも多くの人出でにぎわっている。そのど真ん中に,性操作商品の大宣伝がある。
 
しかも罰当たりにも,この巨大性商品広告の真下には,ヒンドゥー教のありがたいお告げが掲示されている。性を聖とするヒンドゥー教を踏みつけ,営利企業が性操作商品の大宣伝をしている。エイズ予防,性病予防の建前すらない。
 
5.末世の性
世も末だ。性の操作生の操作であり,人が神になることである。
 
神の目から隠れ,こそこそやるのなら,まだ救われる。女性解放の闘士たちでさえ,裸で歩き回ったわけではない。性は隠されることをもって本質とする。性が完全にオープンになり,生が完全に操作できるようになるとき,それは人間としての性と生が消滅するときである。
 
天をも恐れぬコンドーム宣伝は,もちろん道徳番外地タメルの入口にもある。
 
 タメルのダンスバー
 
コンドームの宣伝(陸橋西側),右下の壁面掲示はヒンドゥー教のお告げ
 
 同上
 
避妊ピルの宣伝(陸橋東側)
 
 同上
 
日常生活と性宣伝(バグバザール歩道より)
 
 タメル入口のコンドーム宣伝 

Written by Tanigawa

2009/08/23 at 12:44

カテゴリー: 文化

マオイスト諸君,ミスコンを粉砕せよ

谷川昌幸(C)

離島出張,平和集会参加でちょっと目を離したすきにネパール・ニュースが山積,本当に忙しい国だ。ジャー副大統領ヒンディー語宣誓問題も重要だが,まず論評すべきはやはりミスコンだ。

 
昨年のミスコンはマオイスト同志の抗議によりまともに開催できなかった。今年は,おそらくマオイスト軟弱化と見て,開催に踏み切ったのだろう。
 
ミスコン応募条件
(1)未婚のネパール国民 ==既婚差別(処女検査の有無不明)
(2)19~25歳 ==年齢差別
(3)10+2以上の学歴 ==学歴差別
(4)身長162.6㎝以上 ==体型差別
(5)魅力的な健康で道徳的な女性 ==健康差別
 
愚劣きわまりない。奴隷市場で,よく働き子供をたくさん産む女を品定めするのと,どこが異なるのか。マオイスト同志よ,こんな女性差別,女性蔑視,女性商品化を許してはならない。党是にかけて,断固粉砕すべし。
 
   
ミスネパール2009募集広告/ミスネパール2007/ミスネパール2008応募者
 
(参照)

Written by Tanigawa

2009/08/13 at 10:36

カテゴリー: 人権

Ganatantra=Guntantraとインドラ祭

谷川昌幸(C)
 予想通り,ヤダブ大統領がインドラ祭に参加し,クマリ神の祝福を受けた。ジャー副大統領も参加。プラチャンダ首相は,新聞で見るかぎり,参加しなかったようだ。(同日,インド参拝出発。)筋を通したプラチャンダ首相はエライとはいえるが,だからといって政権指導者としての政治責任を免れるわけではない。
 私はマオイスト政権のこの歴史的裏切りを幾度か予告し,この目でしかと確認するはずだったが,残念ながらタライでトラを追い回していて,カトマンズに戻るのが遅れ,直に目にすることはできなかった。
 
1.Gana-tantra(人民支配,共和制)
 ネパールは民主共和制を宣言し,大統領はgana(人民)から選ばれ,国家代表者として人民全体を代表する。人民の中には,イスラム教徒,キリスト教徒,無宗教者等々もいる。おまけにネパールは世俗国家を宣言している。その国の大統領が,特定の宗教儀式を遂行できるはずがない。
 以前はネパールはヒンズー国家であり,国王はビシュヌ神化身であったから,国王のインドラ祭参加には原理的には何の問題もなかった。
 このヒンズー教国家を原理的に否定したのが,マオイスト。世俗国家を唱え,それを暫定憲法に書き込み,法的にも確定した。
 それなのに,なぜ自分の拠って立つ根本原理を否定するようなことを平気でやるのか? そして,なぜ知識人やジャーナリストは,それを批判しないのか?
 
2.クマリの人権
 マオイストのもう一つの大原則は,被抑圧者,特に子供と女性の人権回復・保障だ。人民裁判の最大のウリは,被抑圧女性の夫や家族からの解放だったし,ミスコンにも反対してきた。
 クマリは,ネパールの子供・女性抑圧差別の象徴だ。いたいけない少女を生き神様に仕立て,自由を奪い,閉じこめて飼育し,見世物とする。マオイスト理論からすれば,こんな非人間的迷信が許されるはずがない。(私自身は唯物論者でもマオイストでもないので,クマリ信仰の文化的意義を大いに認めている。)
 それなのに,マオイストのマハラ情報相支配下のライジングネパール紙が1面に誇らしげに掲載している写真を見ると,構図そのものは王制時代と何ら変わらない。国王が大統領と入れ替わっただけだ。
 しかし,精神的には根本的に違う。王制時代は,原理的,憲法的には何の矛盾もなく,国王のクマリ礼拝を安心して見ていられた。
 ところが,いまや合理主義の唯物論者が女神迷信を信じ,偶像厳禁のムスリム代表でもある大統領が生き神偶像クマリを礼拝する。こんな堕落・退廃は許されない。ソドムとゴモラも近い。
 
3.Gun-tantra(銃の支配)
 結局,マオイストのイデオロギーは,gun-tantra(銃の支配)ではないか。もともとganaは「兵隊」の意味らしく、古代ギリシャのように武士=市民ならgana-tantraは「共和制」となる一方、「武士=銃支配」ともなる。語呂合わせには違いないが、意味深だ。
 マオイストは唯物論で,精神文化と真摯に対峙しないから、gana-tantraは容易にgun-tantraとなる。
 クマリは,本来,gun-tantraを回避するための文化的装置として歴史のなかで育成されてきたものだ。その文化的意義を評価できないのなら,少なくとも世俗共和国政府は政教分離を厳守し,クマリ信仰を庶民のもとに返すべきだろう。
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Rising Nepal, 15 Sep.2008
 

Written by Tanigawa

2008/09/16 at 13:23

カテゴリー: 文化

性と暴力と平和

谷川昌幸(C)

性と暴力は人間存在の本質であり,本来,無規律な危険なものである。特に戦争で暴力が全面開放されたあと,和平がなり社会再建をおこなうときには,性と暴力をどう再規制するかが難しい課題となる。

 

1.マオイスト宿営地の性問題

  (1)妊娠・出産の増加

人民解放軍には女性が多い。交戦中は,代替性行為でもある暴力が全面開放され,それは生命を賭したギリギリの戦いであったから,人民解放軍の性規制はかなり守られていたと思われる。

 

ところが,和平がなり,2万もの青年男女兵が山野の劣悪な宿営地に隔離収容されたまま,はや2年になろうとしている。彼らは生きているだけで,具体的な目標は何もない。暴力は禁止され,他の楽しみもほとんどない。性規律が乱れるのは,当然だ。

 

少し前から,宿営地内の性の乱れは,ウワサとしては聞いていた。それがどうやら事実らしいことが,今日(24日)のカトマンズポスト記事ではっきりした。正式の結婚か「乱れ」かははっきりしないが,マオイスト兵士間の性関係の拡大は,妊娠・出産の増加となって現れている。

 

  Sahajpur/Badipur/Talbanda==出産300人以上,妊娠中300人以上

  Lokesh Memorial Brigade(第7軍)==全女性兵士700人余,出産60人,妊娠60人

 

適齢期女性ばかりだから,当然とはいえ,これが宿営地の性の現状なのだ。

 

  (2)党の無責任

現在,マオイスト兵には,月給3000ルピー,手当日当60ルピーが支給されているが,これでは妊娠,出産,育児は到底賄えない。

 

そこで怒れる女性兵士たちは,党のため戦ってきたのだから,母子の養育には党が責任を持つべきだ,と要求している。もっともな要求であり,私も全面的に支持する。

 

ところが,無責任党幹部たちは,党だけでは面倒を見きれないといって,NGOに支援を要望している。まったくもって,虫のよい話しだ。

 

  (3)ミスコンにうつつを抜かす党首

しかも,マオイストの頭目,プラチャンダ氏は功なりていまや首相,先日は,ミスネパールの資本主義美人たちに囲まれ,にやけていた。資本主義も女性商品化も,マオイストが打倒を目指したものではなかったのか?

 

マオイスト幹部は,女性たちに武器を取らせ,戦わせた。生命を生む女性が生命を奪う。敵を死傷させ,自らも死傷する。捕まり性的虐待を受けた者も少なくない。そうした想像を絶する犠牲を引き受け戦ってきたのは,資本主義を打倒し女性を解放するという党幹部の言葉を信じたからだ。あぁ~,それなのに!

 

  (4)金銭スキャンダル

女性解放の闘士,ヒシラ・ヤミ氏は何をしているのだろう。野宿同然の宿営地内で女性同志が子を産み,栄養失調と病気に苦しめられながら懸命に子育てをしているというのに,ウワサでは天文学的金額のスキャンダルの渦中にあるそうではないか。一体,どうしたことなのだ。

 

 (5)見捨てられる女性兵士たち

とうの昔に社会主義を捨てたコングレス党や変節統一共産党なら,まだ許せる。しかし,マオイストはそうではない。資本主義打倒,女性解放は彼らの党是だ。それなのにミスコンや利権争奪にうつつを抜かし,悲惨に打ちひしがれている宿営地内同志を見捨てるとは。許せない。マオイスト幹部こそが,資本主義的女性搾取者だ。

 

2.YCLの暴力

マオイストは,人民戦争で解放した暴力の再規制にも本気ではない。昨日,友人夫妻が小学1年の子供を連れ,私のホテルに来る途中,カリマティで大乱闘に遭遇した。血だらけの負傷者が多数出ていて,子供はおびえていた。

 

今日(24日)のカトマンズポストによると,それはマオイスト青年共産主義者同盟(YCL)とカリマティ野菜・果物商組合との衝突であった。

 

記事によると,マオイスト労組員ミラン・タマンが,ククリをちらつかせ,市場商人たちを脅していたので,警察が逮捕した。これに対し,マオイストがタマンの釈放を要求し,市場を閉鎖しようとして,市場商人たちと衝突した。

 

YCLはバンで乗りつけ,ククリと鉄棒で無差別に攻撃し,十数人の負傷者を出した。ここに友人一家は出くわしたのだ。

 

さらに,この衝突で負傷し入院したマオイストに仕返しをするため,今度は,統一共産党系の青年部隊が病院に攻撃を仕掛けた。もう無茶苦茶。

 

人民戦争でいったん解放した暴力を,再び規制することは容易ではない。もしマオイストが本気でそれに取り組まなければ,平和は実現できないだろう。暴力団の縄張り争いのようなことを繰り返していると,平和は遠のくばかりだ。

 

Written by Tanigawa

2008/08/24 at 20:20

カテゴリー: 平和

ミスコンか被抑圧女性解放か

谷川昌幸(C)

 カゲンドラ・N・シャルマ博士が,ミスコン反対の暇があるなら悲惨なチャウパディ廃止運動をやれ,とマオイストを批判している。もっともな正論で,おっしゃるとおりだが,それで? という思いがしないではない。しかも,よく考えてみると,この議論はちょっとズレている。 Dr Khagendra N. Sharma, Chhaupadi and Beauty Pagent, Kathmandu Post,22 Aug.

 

1.土牢チャウパディ

チャウパディ(Chhaupadi)は西ネパールに広くあり,生理中の汚れた女性を閉じこめておくための土牢。実物も写真も見たことがないので,それがどのようなものか見当もつかないが,きわめて不健康なもので,女性にとっては拷問に近いという。

 

日本でもかつては自宅出産がほとんどで,わが村でも妊婦は北西の一番悪い部屋で出産した。つい数十年前まではそうだった。だから,ネパールに土牢のようなチャウパディがあることは,容易に想像がつく。

 

そのチャウパディで15歳のダリット少女が下痢のため死亡した。同様の悲惨な事件は多数報告されている。

 

2.売春,女性売買,性的虐待

一方,ネパール女性の性的搾取は拡大の一方だ。被抑圧階層の女性が売春を強要される一方,ミドル・クラス女性の「コールガール」も増え,市中や道路沿いには売春宿が続々とつくられている。また,ネパール女性はインド売春宿に売られ,海外出稼ぎ女性も性的虐待に苦しめられている。ダウリー(持参金)殺害もあれば,魔女虐待もある。ネパールには深刻な女性問題が山積しているのだ。

 

3.ミスコン

これに対し,ミスコンに応募する女性は,ミドルクラス出身で,教養もあり意識も高い。家族の同意も得て自分で応募してくる。

 

たしかにミスコンは女の裸が売りで,身体の5%を隠しているにすぎない。しかしシャルマ博士によると,これは一種の芸術である。肉体美を様々な形で競う。しかも,会話センスや知性も問われる。ミスコンは,ネパールが近代化し,世界文化がネパールにも波及してきた結果に他ならないという。

 

4.ミスコンは自己責任

したがって,いま取り組むべきはミスコンではなく,チャウパディに代表される様々なネパール女性差別だ,とシャルマ博士は主張する。

 

「ミスコン応募女性は,自分の行動を十分に自覚しており,社会において自分を守ることができる。」

 

「ミス・ネパールに出場する女性たちには,救出ロビー活動は不要だ。彼女らは,社会のなかで好ましい地位を得ることができる。延期されたミスコンを計画通りやらせよう。われらは,見捨てられ,差別され,搾取されている女性たちのためにロビー活動をしよう。まず,危険なチャウパディ廃止運動から始めよう。生理の大切さを知らない人々を教育し,非人間的差別を故意に強制する者たちを処罰しよう。」

 

ところが,シャルマ博士によると,世間ではチャウパディ反対運動は低調なのに,ミスコンについては,マオイスト「革命女性同盟(RWL)」を中心に35団体もが,活発に反対運動をしている。これはおかしいではないか,と博士は批判するのである。

 

.正論の平凡さ

このシャルマ博士の議論は,正論ではあるが,正直いって面白くないし,どこかズレている。

 

この議論が変なのは,前近代的女性搾取と近現代的搾取とを切り離し,前者を否定するため,後者を容認しているからである。

 

たしかに,政策課題としては前近代的女性差別が先だという議論はありうる。しかし,途上国ネパールでは,前近代的問題と近現代的問題が同時並行的に発生しているのであり,どちらがより深刻かは,一概にはいえない。

 

シャルマ博士は,ミスコンを世界文化へのネパールの参加として肯定しているが,ミスコンは資本主義的女性商品化文化である。女性搾取が,前近代的な直接的なものから近現代的な「自由意思」と貨幣を媒介としたものへと,変化してきたのだ。搾取の形態が高度化されたのであり,見方によれば,こちらの方がより深刻ともいえる。

 

そうした途上国における問題の二重性をシャルマ博士は見ていない。マオイストがどこまで問題を見抜いているかは分からないが,結果的には,マオイストのミスコン反対は正しく,従って,これについては先進諸国の女性団体からの支援も期待できるのである。

 

かつて「お茶くみ」程度で文句をいうな,と日本の男性たちは女性解放運動をバカにしていた。しかし,いまでは彼女らの方が正しく,いまごろ「お茶くみ」をさせようものなら,女性差別,セクハラで処罰されるし,そもそもそんなことをしている会社は生き残れない。

 

たかが「ミスコン」くらいで,などといっていると,マオイスト革命女性同盟の総攻撃を受けるであろう。

 

ミスネパールに喜悦満悦のプラチャンダ首相

  

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前ミスネパールと2008年出場予定者(Nepali Times, 22 Aug)

 

マオイスト「革命女性同盟」同志が,真っ先に糾弾すべきは,プラチャンダ同志ではないか?

 

Written by Tanigawa

2008/08/23 at 22:32

クマリの世俗化,そして失業

谷川昌幸(C)

国家の世俗化は,護国諸宗教の没落であり,神々の失業である。マオイスト革命が近代革命たるゆえんだ。

クマリも当然,神性を奪われ,世俗的見世物に落ちぶれるのがいやなら,失業するしかない。8月18日,最高裁がクマリ公益訴訟の判決を出した。それによれば,「クマリが,子供の権利条約の保障する子供の権利を否定されるべき根拠は,歴史的文書にも宗教的文書にもない」のであり,したがってクマリには他の子供たちと同様の教育の自由,行動の自由,食事の自由などが認められるべきだ,という。これは原告プンデビ・マハルジャンの主張通りである。

kumari80819「生き神様クマリ」で稼ぐ観光局

草木も判事もマオイストになびく。マオイズムからすれば,これは当然の判決であり,これでプラチャンダ首相のインドラ祭参加,クマリ拝跪はなくなった。最高裁がお墨付きを与えたのだ。めでたい。(注)

(注)インドラ祭参加は、実際には、形式的国家元首の「大統領」ということになろう。この場合、プラチャンダ首相は、政教分離の矢面に立つことをまぬかれる。その代わり、大統領が「国王」に接近する。どちらにせよ、難しい選択だ。 (2008.8.21追加)

世俗化の影響は,クマリにとどまらない。他の護国諸宗教は,これから衰退に向かう。神々の大量失業時代だ。失業して怒るのは神も同じだが,怒ると,人間より怖い。

しかし,これはすべての神々の没落,失業ではない。封建的な古い神々に替わり,近代的な新しい神々が登場する。その頭目がマモン神だ。ミスコンを司るのも,このマモン神。

さて,そこでマオイストはどうするか? 封建的,反人権的なクマリ神は,たぶん見捨てるだろう。しかし,マモン神までつれなくできるだろうか? 共産主義はツチとカマでマモン神を退治するはずだったが,もしミスコンに拝跪するようであれば,看板に偽りあり,ということになる。これは見物だ。

* nepalnews.com, Aug.19; eKantipur, Aug.19.

Written by Tanigawa

2008/08/19 at 19:49

カテゴリー: 宗教, 憲法, 文化

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神・女・酒: マオイスト政権の試金石

谷川昌幸(C)

マオイスト新政権の前途多難は皆が異口同音に合唱しているが,肝心要はいうまでもなく「神・女・酒」だ。いずれも神聖でかつ酔いやすく,救われもすれば破滅させられもする。人間(man)存在の根源に関わるものといってよい。

その肝心要の点について,適切かつ勇敢に報道しているのは,見たかぎりでは,マーカンタイル(nepalnews.com)のみ。横並びで面白味のないネパール・ジャーナリズムのなかで,突出している。

マオイストが,「神・女・酒」について厳格な規律を持つことは,周知の事実だ。人民解放軍宿営所(cantonment)での「風紀の乱れ」のウワサはよく聞くが,マオイストに限ってそんなことがあるはずがない。自己を厳格に規律しているからこそ,他に対しても厳しくできる。マオイストは,自己を厳しく律した上で,サンスクリット大学を攻撃し(注),女性を解放して兵士とし,人民政府支配地域に禁酒令を敷いた。史的唯物論からすれば,「神・女・酒」は階級搾取の苦痛を忘れさせるアヘンにすぎず,こんなものに惑わされていては,人民の解放はできない。論理明快であり,マオイスト政権になれば,当然その「科学的真理」の普遍的実現を目指すはずだ。

 (注)2002年5月11日,ダン郡のサンスクリット大学をマオイスト女性ゲリラ数百人が襲撃した。

 いまのところ,この肝心要の論点に目を向けているのは,マーカンタイルだけ。明らかに確信犯だ。反ミスコン記事にはジャーナリズムの反骨精神があふれている。

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ミスコン反対活動家たちがダハール首相に反対声明を渡し,禁止を要請。マオイスト党本部にて。(Aug16 08. nepalnews.com)
 

Written by Tanigawa

2008/08/17 at 11:02

カテゴリー: マオイスト

ミスコン粉砕:ダハール首相の初仕事

谷川昌幸(C)

怒れるマオイスト女性の代表「全ネパール革命女性協会」(会長Amrita Thapa Magar)が,さっそくダハール(プラチャンダ)首相に面会し,「ミス・ネパール」コンテスト反対を訴え,政府の支援を要請した。このミスコン粉砕運動には,もう一つの強力共産党,UMLの女性諸団体も参加している。

女性の味方ダハール首相は,もちろんマオイスト女性同志の要請に「肯定的」な回答をし,検討を約束した。

マガール民族は勇猛果敢で知られている。そのマオイスト女性リーダーが,人民戦争における女性革命兵士の比類なき戦果をバックに,やや軟弱ではあるが伝統のあるマルクス・レーニン主義政党系の女性諸団体をも従え,ミスコン中止への協力を,マオイスト同志,プラチャンダ首相に要請しているのだ。

もう決まりだ。連邦民主共和国政府の命令でミスコンは中止。トレードマークからして反ネパール的,反人民的な,このインド帝国主義資本は,ネパールから撤退せざるをえないだろう。たぶん,そうなる。きっと,そうなる・・・・はずだ。

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*。nepalnews.com. Aug16
 

Written by Tanigawa

2008/08/16 at 21:39

カテゴリー: 文化