ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

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ルピー札国産化計画

ネパール政府がルピー札を国内で印刷することを検討し始めた(Republica, 14 Feb)。

ネパールは,1990年自由化以降,猛烈なインフレに見舞われ,通貨価値は急落,いまやほぼ1ルピー=1円。まもなく1円以下になるだろう。このままでは,札束をリュックに詰め買い物に行くことになりかねない。

これは不便だから,5千ルピー札,1万ルピー札が出され,これを機にルピー札がすべてネパール国産となるのだろうか? ちなみに,ベトナム中央銀行はすでに50万ドン紙幣を印刷発行している。

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■ホッチキス止めの500ルピー札/同1000ルピー札/ベトナムの50万ドン札

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/02/19 at 18:41

カテゴリー: 経済

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ガソリン値上げ,1リットル140ルピー

牛乳に続き,ガソリンも値上げされた。ネパール石油公社(NOC)によれば,以下の通り。 
 ▼カトマンズ価格
  ・ガソリン: 130ルピー → 140ルピー/L
  ・ディーゼル・灯油: 103ルピー →109ルピー/L
  ・LPガス: 1470ルピー/ボンベ(価格据え置き)
 ▼日本の価格
  ・ガソリン: 148~160円/L
  ・ディーゼル: 132~148円/L
  ・灯油: 98~110円/L

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■石油類価格推移(Economic Survey 2011/12)/NOCロゴ/NOC出資比率(政府98%)

先にも述べたように,ガソリンや灯油の価格は,日本とほぼ同等。それでも,NOCは,価格補填のため,1億7千万ルピー/月の赤字となっている。価格据え置きのLPガスは,ボンベ1本当たり860ルピーの赤字という。

こんなことは,いつまでも続かない。LPガスは,家庭用と業務用のボンベを色分けし,業務用は市場価格とする方針のようだが,価格統制は複雑となりがちで,公正な運用は難しいのではないか。

この値上げに対しては,ANNISU-Uなど学生団体が,さっそく反対デモを始めたが,NOCの赤字は,結局,誰かが負担せざるをえないことは分かっているらしく,報道の限りでは,抗議の矛先は値上げそのものというよりは,むしろNOCの横流しなど腐敗に向けられているようだ。ネパールの学生も,自由市場主義の洗礼を受け,ずいぶん大人になったものだ。
 (Republica, Ekantipur & Nepalnews, 14 Mar)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/03/15 at 11:05

カテゴリー: 経済

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牛乳値上げ,1リットル68ルピー

ネパールで牛乳がまた値上げされる。市場占有率40%の国有企業「乳業開発公社(Dairy Development Co.)」が発表した。1割以上の大幅値上げ(以下,1リットル当たり価格)。
 ・非スキム牛乳:60ルピー → 68ルピー
 ・スキム牛乳: 50ルピー → 56ルピー
 *農家からの買い取り価格:35~38ルピー (Republica, 12 Mar)

値上げ理由は,(1)生産・加工・流通の経費増大。(2)供給不足(ekantipur, 27 Jan)。
 ・牛乳需要:80万トン/日
 ・国内生産:60万トン/日
 ・輸  入:6万トン/日(インドより輸入,ネパール産より高価)        

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牛乳1リットル68ルピー(約70円)は,かなり高い。アメリカでは約100円。保護政策により割高の日本でも,ほんの数ヶ月前までは,140~200円であった。アベノミックス物価上昇により,現在は,180~270円。ネパールの68ルピーは,酪農国にしては,高いといわざるをえない。

これが深刻なのは,このインフレが今後も進行しそうなこと。牛乳需要は,世界的に,特に中国で増大しており,しかもグローバル化(世界市場化)により,それは直接ネパール国内市場にも影響を与える。ネパール国内での需要増もあって,牛乳価格の値上がりは避けられないだろう。

日本でも,生活必需品価格は,食糧を中心に急騰している。「狂乱物価」の前兆といっても過言ではない。私のような年金生活者や非正規労働者など,インフレ弱者は,お先真っ暗,生活を切り詰める以外に対策はない。

日本にしてそうだとするなら,ネパール,特に現金収入の少ない地方は,比較にならないほど深刻だ。自由市場社会化は,結局,世界中の相対的弱者から自由に搾取するための,強国の強者の巧妙な奸計といわざるをえない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/03/13 at 17:05

カテゴリー: 経済

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ネパールの職種別給与と経済成長率・インフレ率・預金金利

1.経済成長率とインフレ率
アジア開発銀行によれば,今年のネパールの経済成長は4.5%,インフレは10%になるという(Republica, 7 Mar)。インフレの主要因は食糧。

2.預金金利
一方,銀行の預金金利は以下の通り(定期,3月9日現在)
 Nepal Bank
 3か月=3.50%,6か月=4.00%,1年=5.00%,1-5年=5.50%
 Nepal SBI Bank
 1-3か月=3.50%,3-6か月=4.50%,6か月-1年=5.50%,1-2年=6.00%,2-3年=6.25%,3-10年=6.25%
 Himalayan Bank
 3か月=3.00%,6か月=3.75%,1年=4.50%,2年以上=5.50%

3.職種別給与(1ルピー=1.06円/3月9日)
▼公務員以外の職種=給与(ルピー/月,2014年3月9日現在)
 Food /Hospitality / Tourism / Catering=8,000
 Construction / Building / Installation=12,000
 Banking=18,333
 Legal=19,424
 Human Resources=20,000
 Administration / Reception / Secretarial=21,583
 Customer Service and Call Center=25,000
 Marketing=30,000
 Engineering=33,333
 Electrical and Electronics Trades=34,800R
 Information Technology=35,933
 Sales Retail and Wholesale=37,833
 Accounting and Finance=39,688
 Executive and Management=44,050
 Architecture=50,000
 Health and Medical=50,000
 (http://www.salaryexplorer.com/salary-survey.php?&loctype=1&loc=151)

▼公務員職種=給与(ルピー/月,2013/14年度)
 President= 109,410
 Vice President=78,560
 Prime Minister=56,200
 Chief Justice=53,580
 Speaker of the House=48,950
 Deputy prime minister=47,410
 Supreme Court justice=44,330
 Minister=44,330
 Deputy Speaker=44,330
 Chief of opposition=44,330
 Chief Whips=44,330
 State Minister=42,010
 Head of Constitutional body=42,010
 NPC Vice-chairman=42,010
 Assistant Minister=41,080
 Parliamentarian=40,160
 Chief Secretary=39,700
 Secretary=37,390
 Joint Secretary=31,730
 Under Secretary=27,610
 Section Officer=24,900
 Peon (first)=12,120
 Chief of Army Staff=39,700
 Lieutenant General=38,540
 Major General=37,390
 Brigadier General=33,259
 Colonel=31,040
 Lieutenant Colonel=28,535
 Boys=8,370
 IGP(Nepal Police)=37,390
 AIG=37,390
 DIG=32,340
 SSP=30,580
 SP=28,535
 Recruit=11,800
 IGP(APF)=37,390
 AIG=37,390
 DIG=32,340
 SSP=30,580
 SP=28,535
 Recruit=11,800
 Secondary I(Teachers)=31,730
 Secondary teachers II=27,610
 Secondary teachers III=24,900
 L Secondary I=25, 890
 L Secondary II =24,900
 L Secondary III=19,370
 Primary I=24,900
 Primary II=19,370
 Primary III=17,980
 Primary IV=15,030
 Primary V=14,020
 (注)公務員総数:約37万人[国軍95,000;武装警察31,000;警察67,000;教員88,000;上記以外の公務員89,000](ekantipur, 2013-08-03)

▼生活費(カトマンズとその近郊:単位ルピー)
 石油類(3月9日現在,http://www.nepaloil.com.np/Selling-Price/13/):
     ガソリン125/L;ディーゼル100/L;灯油100/L;プロパンガス・ボンベ1本1470
 コメ: 68/Kg
 ミルク: 51/L
 タマゴ: 111/12個
 リンゴ: 140/Kg
 トマト: 44/Kg
 アパート(寝室1):市内8527/月,市外4175/月
 (http://www.numbeo.com/cost-of-living/country_result.jsp?country=Nepal)

4.悪性インフレと共産党の責務
以上の経済指標を見ると,名目所得はかなり上昇しているが,高インフレで食糧を中心に物価上昇が続き,庶民の生活は苦しくなってきていると思われる。

ネパールは,最近はカトマンズとその周辺にしか行っていないが,すでにガソリンやホテル代は日本と同等以上,私学授業料,本代など教育費も急上昇している。食糧など生活必需品が値上がりしており,大多数の庶民にとっては低成長と高インフレの最悪シナリオだ。

これは,ネパール共産主義にとっては,真価が問われる事態だ。このところネパールの共産主義諸党は,目先の「民族」感情利用に走り,人民分断に加担してきた。が,このような戦略では先がない。

ネパールの共産主義は,国内の力関係という点で評価すれば,議会制民主主義国のなかでは世界最強といっても過言ではない。いまこそ原点に立ち戻り,「万国の」とはいわないまでも,少なくとも「ネパールの労働者・農民よ,団結せよ!」と檄を飛ばすべきではないだろうか。

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 ■カトマンズ:2013年11月

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/03/09 at 14:31

カテゴリー: 経済

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インフレ10.2%に学ぶ

ネパールの3月インフレ率は,堂々の10.2%。食料,衣類,履き物,住宅,公共料金など,軒並み値上がりした。特に食料品の値上がり幅が大きい(Republica,Apr16)。

ネパールのインフレ率(indexmundi)
[1998]11.8, [1999]3.3, [2001]2.8, [2002]2.9, [2005]7.8, [2006]8.6, [2007]6.4, [2008]7.7, [2009]13.2, [2010]8.6, [2011] 9.1
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日本バクチ経済のインフレ目標は,たかだか2%。それすら実現は怪しい。10.2%など,夢のまた夢だ。安倍=黒田バクチ胴元は,ネパールに学ぶべきだろう。

インフレ率10.2%ともなれば,庶民にはたまったものではない。次は,いよいよ本物のプロレタリアート社会主義革命となるのではないだろうか? これも,バクチ経済ですっからかんになるであろう日本人民のお手本になるかもしれない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/04/17 at 19:46

カテゴリー: 経済

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不動産バブル、まだ拡大中

加徳満都の不動産場バブルは、この20年間、少し勢いが衰えたときはあったものの、一貫して拡大してきた。

街の至る所に、豪華ビルが建設され、景気は絶好調。地価は長崎よりもはるかに高く、大阪よりも、たぶん高い。ウワサによれば、加徳満都の家を売り、ニューヨークに豪華邸宅を買ったとか。この不動産バブルは、出稼ぎ送金が続く限り破裂はしない。他に投資先が無いからだ。

しかし、問題は先述のインフレ景気に取り残された弱者。そして、バブルはいつか破裂するということ。弱者の不満爆発が先か、バブル景気の破裂が先か。難しいところに来ている。
建設中7階建てビル。足場は竹。

(c)谷川昌幸

Written by Tanigawa

2011/09/09 at 23:36

カテゴリー: 社会, 経済

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10万ルピー札束と革命再発の予兆

カトマンズのインフレは、すさまじい。10ルピー札など、紙切れ同然。1000ルピー札が、見る見るうちに消えていく。で、ちょっとした額のやり取りとなると、10万ルピー札束となる。

これが実物。大型ホッチキスの太針数本で、しっかり綴じてあり、ばらすことは困難。事実上、「10万ルピー札」として通用している。

だったら、いっそのこと10万ルピー札を発行したらよい。「カマ・ハンマー」印とバブラム博士肖像入り10万ルピー札。信用絶大で、日本でも通用するかもしれない。

しかし、そんなことより心配なのは、庶民。この物価高のもとで、どのようにして生活しているのだろうか?

政権党マオイストは、ぴかぴか外車だらけ、はや利権の巣窟とか。もはやマオイスト体制派には期待できそうにない。となると、バイダ派か他の急進派が党を割り、窮乏化プロレタリアートのため再び武器を取るのは避けられそうにない。

革命は、インフレに懐胎し、銃口から生まれる。10万ルピー札束は、革命闘争再発の予兆のように思われてならない。

(C)谷川昌幸

Written by Tanigawa

2011/09/08 at 19:15

カテゴリー: 社会, 経済

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