ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

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紹介:寺田鎮子著『ネパール文化探検』

これまでに発表されたネパール関係論文を1冊にまとめたもの。いずれも,綿密な現地調査に裏付けられた手堅い論文だが,記述は平易であり,特別な予備知識がなくても,よく理解でき,面白く,興味が尽きない。非売品だが,ネパールやこの分野に関心をお持ちの方に,是非お薦めしたい好著だ。

寺田鎮子著『ネパール文化探検』177+5頁,2014年6月30日刊,非売品
 まえがき
 第1章 ネパールの生き神・クマリ
 第2章 ネパール宗教マンダラ
 第3章 ネパールの女神の大祭-ダサインの考察
 第4章 ネパールの面と儀礼
 第5章 ネパールの伝説と祭り
 第6章 ネパールの柱祭りと王権
 第7章 ネパールの柱祭り
 付 録 暦とカレンダー/ネパールの民話の世界/ポピューラー音楽の現在

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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/08/21 at 16:50

カテゴリー: 文化,

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ダサイン休暇はハッカー天国?

ダサイン長期休暇は,ネットサイトのメンテナンスもおろそかになり,ハッカーにとってはサイト乗っ取り(ハッキング)の絶好のチャンスらしい。

ネパールでは,大手メディアですら,昨日紹介したネパールニューズコムのように,アドレス変更などでも事前通知しないことが少なくない。だから,多少変な画面が出てきても,あまり気にしなくなる。長期休暇に加え,こうした慣習も,ハッカーの狙い目なのだろう。

下の画面は,今朝のヒマラヤンタイムズ( http://www.thehimalayantimes.com/ 安全未確認!)。あれ!と思い,すぐ切断したので,画面全体や音声がどうなっているかは分からない。

ITど素人の私には,どのような危険があるのか,ウィルスが仕組まれているのか,皆目見当もつかない。恐ろしい。

ダサイン休暇明けのネパール・ネットメディアは要注意だ。

▼ヒマラヤンタイムズ10月25日朝の画面
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26日朝,こわごわアクセス。正常画面に回復していました(10月26日追加)。
27日朝,また乗っ取られている。しばらく要注意!(10月27日追加)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/10/25 at 11:31

ギャネンドラ元国王もティカで祝福

10月14日,ギャネンドラ元国王は,例年通り,ナラヤンヒティ元王宮内のマヘンドラ・マンジールを訪れ,ラトナ・ラジャ・ラクシミ・デビ・シャハ元皇太后から祝福のティカ(टीका)を受けた。そのあと,「王室僧侶(राजगुरु)」からもティカを受けた。

元国王は,午後3時からは,マハラジガンジのニルマル・ニワス(元国王邸)において,一般人民数千人にティカを与えた。形式的には,王制時代とほとんど変わらない。

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■ニルマル・ニワス(USNepalOnline, Apr.20, 2008)

一方,ヤダブ大統領も,大統領公邸(राष्ट्रपति भवन)において,ハヌマンドカ・ダサイン・ガールなどのパンデット(पण्डित)からティカの祝福を受けた後,ジャー副大統領,レグミ暫定首相,政府高官,メディア関係者,そして一般人民にティカを与えた。こちらも,形の上では王制時代の国王とよく似ている。

ここで興味深いのは,世俗国家の大統領が,大統領公邸で,おそらく「公式行事」として,ヒンドゥー教儀式を行っていること。

131017c ■シタル・ニワス(大統領公邸,大統領府HP)

しかし,大統領には,元国王のような「威厳」はない。動画を見るとよく分かるが,元国王からティカを受ける人びとは敬虔そのもの,まるで現人神を前にしているようだ。これに対し,大統領の前では現世利益が隠しきれず,そのような敬虔さはほとんど見られない。

宗教が絡むとどこの国でもややこしいが,ネパールは国制の転換期ということもあって,何がどうなっているのやら,さっぱり分からない。

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 ■ティカで祝福する元国王と大統領(www.videosbisauni.com/ Oct.14)

谷川昌幸©

Written by Tanigawa

2013/10/17 at 21:40

国家元首のダサイン大祭参加

ネパールは世俗国家(धर्मनिरपेक्ष राज्य)になったが,大統領(राष्ट्रपति)は,依然として,国家元首(मुलुकको राष्ट्रध्यक्ष)としてダサイン大祭に参加している。

今年も,大統領はトゥンディケルでのプルパティ(फूलपाती)国軍パレード(11日)に副大統領,レグミ大臣会議議長(暫定首相),政府高官らを従え,参加した。そして,12日のマハアスタミ(महाअष्टमि)には,これまでと同様,ナクサルバガワティ,ショババガワティ,マイティデビ,バドラカリ,サンカタなどを参拝している。

このように大統領のヒンドゥー教儀式への参加は続いているが,それでも王制時代とは雰囲気が異なる。1990年憲法(第27条1)では,国王は「アーリヤ文化とヒンドゥー教の信奉者(an adherent of Aryan Culture and the Hindu Religion)」であり,ダサイン大祭は国家行事でもあったからである。。世俗国家の元首には,もはやそのような宗教的権威はない。

▼メディアのダサイン祝辞:ekantipur(10/13), Himalayan(10/13) गोरखापत्र(10/11)
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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/10/13 at 18:32

カテゴリー: 宗教, 憲法

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世俗国家のダサイン

ネパールが「世俗国家(धर्मनिरपेक्ष राज्य)」になって6年余,ヒンドゥー教の大祭ダサイン(दसैं)も以前ほど宗教的ではなくなってきたのではないか?

この時期,ネパールに滞在したことがないので,ダサインを直接体験したことはないが,少なくともネット・メディアはかつてのようなダサイン一色ではなくなった。ダサイン関係の特集記事や派手な広告はほとんど見られない。(アクセス元連動記事・広告のせいかもしれないが。) ネパールのネット・メディアの世俗化は,ほぼ完成したといってもよいのではないか。(皮肉なことに,クリスマス関係の記事や広告は激増しているが。)

紙印刷の新聞各紙を見ると,こちらにはダサイン広告がいくつも見られるが,それでも以前と比べるとはるかに控え目だ。やはり,ダサインは世俗的長期休暇の側面が以前より強くなり,享楽化してきたのではないか。もしそうなら,ネパール社会の転機はマオイスト革命だったと,後世の歴史家が評価することになるかもしれない。

▼ネパールの新聞(10月10-11日)。ダサイン関係の記事や広告は,全くないか,あっても地味。Red Starともなると,ダサインよりもミスネパール。世俗化,商業化,享楽化は否めない。 कान्तिपुर(10/11),Republica(10/10),नागरिक(10/11) ■गोरखपत्र(10/11),Red Star(10/10)
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▼11日のRepublica,12日のकान्तिपुरにはダサイン記事満載(10月12日追加)
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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/10/11 at 16:28

人民解放軍元兵士,ダサイン祭礼再開

マオイスト人民解放軍でダサイン祭をボイコットしてきた(させられてきた)元兵士が,除隊者も国軍編入者も,10年ぶりにダサイン祭を祝っているという。報道では彼らの比率など,詳しいことは分からないが,興味深い現象だ。

マオイストは原理主義集団のように思われてきたが,実際には必ずしもそうではない。人民戦争期間中には,あちこちで青少年をかり集め,集団洗脳しようとしたが,それは形だけで,精神改造にまでは至らなかった。良くも悪くも,それがネパール流だ。

中央では,マオイスト主導政権であるにもかかわらず,ヤダブ大統領(コングレス党)は,パルマナンド・ジャー副大統領(MJF),警察・武装警察・国軍の幹部,そして高級官僚らにティカを授け,そのあと一般人民にもティカを授けた。

ダサインは、日本の正月よりはるかに宗教色が濃く,国家行事として挙行されるなら,政教分離という意味での世俗主義には反する。しかし,そこはネパール,マオイストもあまり堅いことは言わずダサインを祝うことにしたらしい。


  ■ティカを授けるギャネンドラ元国王(Nepal24Hours,23 Oct)


  ■ティカを授けるヤダブ大統領(Republica, 25 Oct)   

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/10/25 at 20:40

PLA給与引き上げ,お手盛りダサイン祝儀

バブラム首相は10月2日,宿営地(cantonment)収容のネパール共産党毛沢東派「人民解放軍(PLA)」兵士19575人の月給を1500ルピー引き上げ,最低6500ルピーとすることを決定,7月15日にさかのぼり実施する。(バブラム博士は蔵相の時,PLA月給を2000ルピー引き上げた輝かしい実績を持つ。)

さすが,世俗主義の人民の党だ。おめでたいヒンドゥー教ダサイン大祭日を祝い,またうるさいメディアのダサイン休業の合間に,無為徒食の宿営所収容兵士に大金を大判振る舞いする。そのかなりの部分は,バブラム首相のマオイスト党に環流するという。
  ▼人民解放軍の勇姿 http://www.youtube.com/watch?v=qyxsaNuuYgY

本来なら教育,保健,開発などに向けられるべき人民の国費が,人民解放軍を迂回して,人民の党マオイストに流れ込む。おかげで,マオイストはいまや南アジア一のお金持ち政党と,天敵カマル・タパRPP議長から賞賛されるまでに高度経済成長を遂げた。

すべて,ありがたいヒンドゥーの神々のおかげである。神々に感謝し,お布施は人民解放軍へ!

* Rising Nepal, Oct.2; Nepali Tiomes, Oct.2; Telegraph, Oct5.

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/10/06 at 10:09