ネパール評論 Nepal Review

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オリ首相の危険なナショナリズム

オリ政権は,UML,UCPN,RPP-Nのナショナリスト3党を基盤としており,もともと対外強硬路線に向かいがちだ。

エースはなんといっても,カマル・タパ副首相兼外相。いち早くニューデリーに乗り込み,モディ首相に直談判したし,11月2日にはジュネーブのUNHRC会議でインドの対ネ非公式経済封鎖を非難した。しかし,彼はもともと王制派ナショナリストなので,そうした発言は予想されたことであったし,また保守主義者なので発言には良識的抑制が利いていた。

これに対し,オリ首相(UML)のナショナリズムは民主主義的で,よりストレート,あるいは報道が事実とするなら,かなり荒っぽく,それだけに,より危険である。オリ首相は11月6日,「ネパール記者連盟(FNJ)」と「ネパール・タルン・ダル(NC青年組織)」のメンバーと相次いで会い,次のように語ったと報道されている。

 151108■オリ首相(内閣府HP)

「ネパール新憲法はネパール人がネパール人のために制定公布したのであり,他の誰への加害も意図したものではない。」また「われわれは隣国インドに対し何ら悪意を持っていないし,その利益を害しようとも思っていない。」(Himalayan, 1 Nov)

ところが,インドはネパールに対し意図的に経済封鎖をし,ネパールを「非人道的に扱っている」。インド政府は,腐った魚や野菜を送りつけ,封鎖をしていないことを証明しようとしたが,ガスは供給しない。戦時中であっても,食料などは人道的観点から輸送されるのに,いまはそうではない。インドの対ネ封鎖は,「戦争より非人間的」だ。(Himalayan & Republica, 6 Nov)

またインドは,ジュネーブのUNHRC会議において,人民戦争期の人権問題を蒸し返した。「少し前,隣国指導者の一人が,インドはネパールに対しその気概を示すだろう,と公に警告した。・・・・いま,彼らは10年も前の問題を掘り出してきた。」たしかに「われわれは,過去に戦争の苦難に直面したが,いつまでも戦争を続けることはできない,と思い知った。そこで,われわれは平和プロセスを開始したのだ。」「以前は戦っていた諸党が,いまでは一緒になり,与党,野党にかかわりなく,民主的・平和的な改革を押し進めている。」(Zee News, 6 Nov)

「隣国がわれわれの目を覚ましてくれた。私は,わが国の独立,尊厳,国民的統一を堅持し,この国を今の危機から救い出す努力を惜しまない。」(Republica, 6 Nov)

このように述べたうえで,オリ首相は,国民とメディアに二つの要請をする。

インドの対ネ経済封鎖は,「別の道を求めるチャンス」でもある。政府はトロリーバス復活を考えるし,国民は電気自動車や電気ヒーターを買い使ってほしい。[一日十数時間停電では?]

また,メディアは,国家の統一,主権,独立を損なうような記事を書くべきではない。自由はアナーキーではない。しかるに,このところ,表現の自由を名目に,国家を脅かすような活動が目に付く。この国は国民的統一を必要としているのであり,国民とメディアには成熟した責任ある態度が求められている。

オリ首相は,以上のようなことを語ったと,ネパールとインドのメディアは報道している。もしこれらの報道が事実から大きく外れていないのなら,オリ首相は,カマル・タパ副首相以上に強硬なナショナリストということになる。

 151108a■UML第9回党大会(同党HP)

もともとネパール新憲法は,きわめて国民主義的,愛国主義的である。第5条は「国益」を定めており,「国益」侵害は連邦法により処罰される。ネパール国民の独立,主権,領土的統一,国民性,尊厳などは,「国益」として法の処罰をもって守られる。したがって,オリ首相の「国益」を理由とした報道自粛要請も,単なるお願いではなく,法的な根拠があるわけだ。

ナショナリズムは,民主的であればあるほど,危険だ。11月7日には,プラチャンダUCPN議長が,ブトワルでの記者会見で,「もしインドがわれわれを支配しようとするなら,そのような抑圧とはいつでも戦う覚悟をすべきだ」と檄を飛ばした(Kathmandu Post, 7 Nov)。UMLもUCPNも,いずれ劣らず強硬な民主主義的ナショナリストだ。

これは危ない。愛国心をあおられ,激高した人々が,不測の事態を引き起こさなければよいが。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/11/08 at 08:39

震災救援の複雑な利害関係(4):インド政府「ともだち作戦」(3)

4.「ともだち作戦」とナショナリズム
「ともだち作戦」では,前述のように,インド軍が首都カトマンズとポカラに支援拠点を置き,大規模な「作戦(Operation)」を展開した。ネパールの人々が,感謝しつつも,それを自国の主権への脅威と感じたのも無理はない。

しかも,空軍ヘリや陸軍工兵隊などが活動したのは,カトマンズ近辺だけでなく,北部山村地域においてでもあった。たとえば,ゴルカ郡バルパクには陸空軍が前進基地を設け,工兵隊は道路復旧に当たり,空軍は高所村人や僧侶,あるいはチュムリンにいたトレッカーを救出した。インド軍は,ほかにドウンチェ,ルクラ,ナムチェ,タトパニなどにも出動している。

こうした北部山岳,丘陵地域は,チベット(中国)国境に近く,地政学的な敏感地帯。これまでにも,いくどとなく外国諜報員(スパイ)の活動が問題にされたし,現在も暗躍していることはまずまちがいない。そのようなところでインド軍が大規模な「作戦」を展開する。緊急時の「ともだち」による救援とはいえ,ナショナリスト,特に反政府側ナショナリストが,反発するのは,当否は別として,十分予測できることだ。

あるいはまた,もう一つの敏感地帯,南部インド国境沿いのタライ地方では,インド政府が,「国境警備隊(SSBあるいはBSF)」に印ネ国境の厳戒と被災者救援を命令した。SSBは,国境沿いに救援キャンプを設営する一方,救援物資を東部タライのイタハリなどでネパール側に引き渡した。また,救急車1,給水車3,バスなど34の計38車両をカトマンズまで運んでいる。SSB部隊は「インド国家災害対応部隊(NDRF)」にも参加しているようだが,規模は不明。このSSBの動きも,ネパール側を警戒させている[i,j]。

150514a■SSB・HP

さらにもう一つ付け加えるなら,インド政府は「ともだち作戦」にゴルカ兵を動員した。ゴルカ兵は現在約3万8千人。そのうちネパール帰休中の兵がかなりおり,また退役兵はネパールに約3万人いる。在印ゴルカ将兵の派遣に加え,これら在ネ現役・退役ゴルカ兵をも,インド政府は「ともだち作戦」の先兵として相当数緊急配備したという[k]。これもネパール側としては警戒せざるをえない。

150514b■印軍グルカ兵

このように,インド軍派遣がネパール側に警戒されることは自明のことであったので,インド政府も,「ともだち作戦」は両国の緊密な連携のもとに展開されていることを,公式に繰り返し説明してきた。たとえば――

「ランジト・ラエ大使は,今日,在ネ外交関係者に,ネパール救援活動はネパール政府との完全な連携のもとに行われていることを説明した。・・・・この説明の場には,中国,EUなど在ネ外交団の代表も何人か出席されていた。」[a]

「インド国家災害対応部隊(NDRF),インド空軍,在カトマンズ印諸省合同チーム,そしてインド大使館は,ネパール当局と手を携え(in close tandem)救援作戦を展開している。」[l]

しかし,それにもかかわらず,野党幹部らは,インドによる主権侵害を警戒せよ,とコイララ首相に強硬に申し入れている。たとえば――

プラチャンダUCPN議長
「インド国境警備隊(SSB,BSF)は,ネパール政府と協議することなく勝手に行動している。彼らのどのような支援が必要かを決めるのは,ネパール政府のはずだ。」[m]

モハン・バイダCPN-M議長
「インドは,トリブバン国際空港を占拠し,支援活動をインド北部国境付近に集中させているが,これはきわめて怪しい戦略だ。・・・・それは,ネパールと中国との長年にわたる関係を害することになるだろう。」[m]

ローヒット労農党議長
インド軍のある将校の妻が特定の数家族を救援したいと言ったが,これは認められなかった。すると彼女は,インド大使館員を動かし圧力をかけようとした。「インド軍将校の妻がネパール政府役人や郡役所長を脅す――そんな状況で,どのような救援をするというのか。」[m]

ゴルカ郡役所・所長
「コイララ首相に申し上げたいのですが,インド軍ヘリは私たちに協力してくれません。そのため,私たちが任務を果たすのがきわめて難しくなっています。」[n]

ネパール国軍幹部
インド軍ヘリは,トリブバン空港にネパール国軍が設置した外国救援隊調整委員会の指示を無視し,禁止区域を飛行し,敏感地域の空撮をしている。「インド軍は限度を逸脱している。」[o]

イタハリ抗議デモ
完全武装のインド国境警備隊(SSB)のネパール領内での活動に対し,学生たちが抗議デモを行い,モディ首相の人形を焼いた。[p]

Telegraph NepalやPeople’s Reviewの記事は情報源が必ずしも明確でなく,注意を要するが,それでも,こうしたインド軍批判はあって当然といってよいであろう。純然たる善意の救援活動のためでさえ,軍隊を送れば警戒される。軍隊とはそのようなものなのだ。

そこで,「ともだち作戦」と「トモダチ作戦」。批判し警戒しつつ受け入れる国と,ただただ感涙し抱きしめられる国。独立国として気概があるのは,はたしてどちらなのだろうか?

150514c■微妙な印ネ関係(Unreal Times,2015-04-26より)

[a]”Press Release on briefing by Ambassador Ranjit Rae to the diplomatic community and India’s ongoing relief assistance to Nepal,” http://www.indianembassy.org.np/(在ネ印大使館HP,5月4日)
[i]”SSB sends over 3 dozen vehicles from border posts to Nepal,” Zeenews,2015-04-27.
[j]”Nepal quake aid: SSB Siliguri sends relief material
The SSB Siliguri Frontier has so far treated 210 patients,” Indian Express,2015-05-02.
[k]”Indian Army will work in Nepal till normalcy returns,” Zeenews,2015-04-28.
[l] Ministry of Home Affairs, Gov. of India,”Day 9 of the Earthquake Rescue & Relief Operations,” 2015-05-03.
[m]”India ignoring national sovereignty: Nepal leaders,” Telegraph Nepal,2015-05-02.
[n]”Nepal: India in bad news…again!,” Telegraph Nepal,2015-05-07.
[o]”Nepal Army, oppsition parties unhappy with Indian rescue teams,” People’s Review, 2015-05-06.
[p]”Nepal Students burn effigy of India PM Narendra Modiww,” Telegraph Nepal, 2015-05-05.

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/05/14 at 17:42

皇室利用と日本語放棄で五輪を買った安倍首相:”under control”のウソ公言

安倍首相は,皇室の政治的利用と日本語の放棄により,オリンピック開催の興行権を買った。「美しい国」である「日本を取り戻す」どころか,金儲けのためであれば,憲法も伝統文化も顧みない「醜い日本」を世界にさらけ出したのだ。

1.政治としてのオリンピック招致活動
オリンピック招致活動が「政治」であることはいうまでもない。オリンピック開催により,(1)経済界の景気浮揚要求に応える,(2)ヒノマル・ニッポン挙国一致ナショナリズムの高揚を図る。いずれも安倍政権の維持強化のためであり,いま現在,これをもって「政治」といわずして,何を政治というのか? 安倍首相自身,これを最も重要な政治課題の一つと考えるからこそ,わざわざブエノスアイレスまで出かけ,招致活動に参加したのだ。

2.高円宮妃のロビー活動
その政治そのものといってもよいオリンピック招致のため,安倍内閣は高円宮妃を利用した。本音報道のスポニチ(9月7日)は,記事に「会場にIOC委員続々到着,高円宮妃久子さま,積極的ロビー活動」というタイトルをつけ,高円宮妃が「積極的に動き」,IOC委員らに声を掛けていたと伝えた。親皇室の産経や報知(9月7日)にも同様の記事が出ているから,高円宮妃が「積極的ロビー活動」をしたことは間違いないであろう。

ロビー活動をする人は,「ロビイスト」である。広辞苑(第5版)はこう定義している。「ロビイスト(lobbyist): 圧力団体の代理人として,政党や議員や官僚,さらには世論に働きかけて,その団体に有利な政治的決定を行わせようとする者。」

高円宮妃は,まさに,このようなロビイストの1人として,積極的にIOC委員に働きかけ,東京招致という「政治的決定」に大きな政治力を発揮したのだ。しかし,このロビー活動に高円宮妃の政治責任は,むろん一切ない。

3.皇室政治利用の責任
高円宮妃のロビー活動やプレゼン冒頭挨拶の責任は,すべて安倍首相にある。朝日新聞稲垣編集委員によれば,川渕・サッカー協会最高顧問は,こう語ったという。「4日にブエノスアイレス入りした久子様の出席に熱心だったのは,猪瀬さん,安倍さん,森さんだよね。なかでも猪瀬さんは,本当に熱心だった。」(朝日デジタル,9月6日)

安倍,森,猪瀬は,いずれも政治家だが,行政権の長は安倍首相だから,高円宮妃の招致活動の全責任は,天皇への「助言と承認」(憲法第3,7条)に準ずる何らかの“助言と承認”を与えたはずの首相にある。

では,今回の高円宮妃の招致活動への“助言と承認”は適切であったのか? 憲法は第1条で天皇を日本国と日本国民統合の「象徴」と定め,第4条で「国政に関する権能を有しない」と明記している。象徴としての天皇,したがってそれに準ずる皇族は,権力行使や政治的意思決定に関わるナマグサイ行為は一切してはならない。これは,天皇象徴制の根本原理であり,現在の日本国家はこの原則の上に成り立っている。

高円宮妃のオリンピック招致活動は,この憲法原理の枠を完全に逸脱している。「ロビー活動」は,広辞苑の定義のように,政治そのものであり,高円宮妃は,ブエノスアイレスで政治活動を繰り広げていたのだ。それは,たとえ日本国家のためであっても許されない,違憲の政治的行為である。

4.皇室政治利用の危険性
今回はたまたま招致が成功したから,高円宮妃も安倍首相もいまのところあまり批判はされていない。しかし,もし失敗していたら,政治活動をした皇室の権威は失墜し,安倍首相は皇室政治利用の責任を追及され,退陣は免れなかったであろう。

しかし,この件に関しては,成功は失敗よりもむしろ恐ろしい。絶大な効果に味を占めた政治家たちが,天皇や皇室の政治的利用に飛びつき,国民もこれを歓迎するからだ。天皇制ファシズム(超国家主義)への先祖返りである。天皇を大切と思うなら,天皇や皇族の政治的利用は絶対に許してはならない。

130913a ■皇室利用と英語ウソ公言(朝日9月8日)

5.日本語放棄の安倍首相
安倍首相がオリンピック招致プレゼンを英語で行ったことも,見過ごせない。「日本を取り戻す」はずなのに,実際には,日本文化の魂たる日本語を放棄してしまったのだ。

そもそも各言語はすべて平等であり,本来なら,それぞれが母語で話し理解し合うべきだ。しかし,現状は,かつての植民地大国が文化侵略により英仏語やスペイン語などを普及させてしまったため,現在,多くの地域で使用されているそれらの言語を便宜的に使用するのは,次善の策として,ある程度はやむを得ない。

しかし,公式の場での公人の話となると,そうはいかない。天皇は「日本国の象徴」だから,公式の場では英語やフランス語をしゃべるべきではない。ましてや首相は,日本国の元首だから,たとえペラペラであっても,外国語を使うことは許されない。それなのに,安倍首相は嬉々としてカタカナ英語でプレゼンを行った。国家元首失格である。(注: 天皇は「象徴」,首相は「元首」)

6.外国語での国家公約の危険性
私には英語はほとんど分からないが,安倍首相の英語は発音がぎこちなく,いかにも不自然だ。おそらく英米やフィリピンなどの小学生レベル以下であろう。そんな英語で,安倍首相はIOC総会において日本国民を代表しプレゼンをした。He said―

Some may have concerns about Fukushima. Let me assure you, the situation is under control. It has never done and will never do any damage to Tokyo.

なぜ,こんなトンデモナイことを? むろん,英語を知らないからだ。

世界周知のように,福島原発事故は東京にも被害を及ぼしたし,放射性物質はいまなおじゃじゃ漏れ,止めるめども立たない。その原発について安倍首相は”under control”と,国際社会の公の場で,日本国元首として,公言した。これは日本語ではなく,英語。解釈は,当然,英語ないし欧米語文脈で行われる。

この欧米語文脈では,公式の場での政治家のウソは,絶対に許されない。建前かもしれないが,建前を本音より重視するのが,欧米政治文化。英語を知らない安倍首相は,その欧米語文脈を意識することすら出来ず,子供のように無邪気に,カタカナ英語を日本語文脈で使った。その落とし前は,いかに大きなものになるにせよ,結局は日本人自身がつけなければならない。

7.英語帝国主義にひれ伏す
英語帝国主義は,何百年にもわたる壮大な世界戦略であり,オリンピック興行権など,はした金,それで日本国首相に公式の場で英語を使わせることができるのなら,こんな安上がりの買い物はない。

安倍首相は,日本語=日本文化を売り渡し,英語文化圏の土俵に乗り,オリンピック興行権を買った。長期的に見ると,皇室の政治利用よりも,こちらの方が深刻かもしれない。

安倍首相のカタカナ英語のおかげで,日本語が二流言語であることが,国際的に公認された。日本語は,国際言語カースト制の中に下位言語(被支配言語)として組み込まれた。もはやここから逃げ出すことは出来ないであろう。

130913b ■揶揄される日本国元首発言(Canard Enchaine / Reuters, Sep.12)

[参照1]
高円宮妃プレゼン
高円宮妃久子さま IOC総会で復興支援に感謝の言葉(ANN News13/09/08)
宮内庁,新聞各紙はすべて日本語訳。一流言語たる仏語・英語オリジナルは下々には隠されている。
安倍首相プレゼン
Mister President, distinguished members of the IOC…
  It would be a tremendous honour for us to host the Games in 2020 in Tokyo ? one of the safest cities in the world, now… and in 2020.
  Some may have concerns about Fukushima. Let me assure you,the situation is under control. It has never done and will never do any damage to Tokyo. I can also say that, from a new stadium that will look like no other to confirmed financing, Tokyo 2020 will offer guaranteed delivery.
  I am here today with a message that is even more important. We in Japan are true believers in the Olympic Movement. I, myself, am just one example.
  When I entered college in 1973, I began practicing archery. Can you guess why? The year before, in Munich, archery returned as an Olympic event after a long time.
  My love of the Olympic Games was already well-established. When I close my eyes vivid scenes from the Opening Ceremony in Tokyo in 1964 come back to me. Several thousand doves, all set free at once. High up in the deep blue sky, five jet planes making the Olympic rings. All amazing to me, only 10 years old.
  We in Japan learned that sports connect the world. And sports give an equal chance to everyone. The Olympic spirit also taught us that legacy is not just about buildings, not even about national projects. It is about global vision and investment in people.
  So, the very next year, Japan made a volunteer organization and began spreading the message of sports far and wide. Young Japanese, as many as three thousand, have worked as sports instructors in over 80 countries to date. And they have touched the hearts of well over a million people through their work.
  Distinguished members of the IOC, I say that choosing Tokyo 2020 means choosing a new, powerful booster for the Olympic Movement.
    Under our new plan, “Sport for Tomorrow,” young Japanese will go out into the world in even larger numbers. They will help build schools, bring in equipment, and create sports education programs. And by the time the Olympic torch reaches Tokyo in 2020, they will bring the joy of sports directly to ten million people in over one hundred countries.
  Choose Tokyo today and you choose a nation that is a passionate,proud, and a strong believer in the Olympic Movement. And which strongly desires to work together with the IOC in order to make the world a better place through the power of sport.
  We are ready to work with you. Thank you very much.
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[参照2]
皇室と五輪招致 なし崩しのIOC総会出席 記者有論 社会部・北野隆一 (朝日新聞,2013年9月25日)
 16年夏季五輪開催地を決める09年IOC総会への皇太子さまの出席が求められた際、宮内庁は「招致運動は政治的要素が強く、(出席は)難しい」と慎重姿勢を貫いた。・・・・
 今回、安倍政権の強い意向に押し切られ、宮内庁の対応はずるずると後退した。当初「久子さまはIOC総会に出ない」としていたが、一転、出席。「招致活動と切り離すため、スピーチ後は降壇する」はずだったが、結局最後まで壇上にとどまった。
 招致競争に勝ったから結果オーライではない。安倍政権は今回、既成事実を積み重ね、なし崩し的な手法で皇族を担ぎ出したように見えた。皇室の守ってきた原則を曲げさせ、相当な覚悟を負わせたことになるのではないか。
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谷川昌幸(C)

京都の米軍基地(17):真のターゲットは中国か?

京丹後市経ヶ岬配備予定の米軍Xバンドレーダーは,もっぱら北朝鮮ミサイル警戒が目的と説明されているが,本当は,むしろ中国が対象ではないか?

1.日米防衛相会談
日本への2機目のXバンドレーダー配備が表明されたのは,2012年9月17日のパネッタ国防長官と森本防衛大臣との共同記者会見においてであった。

パネッタ長官:「米国と日本は将来的に2機目のTPY-2の監視レーダーの日本配備に関して、調整を始めました。これによりまして、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威から日本を守り、前方展開している米軍にも資するものであります。そして、米国本土を北朝鮮のミサイルの脅威から防衛する能力を共有させる上で効果的になります。」(日米防衛相共同記者会見概要,平成24年9月17日)

この段階ではまだ配備場所への言及はないが,目的については,北朝鮮ミサイルの脅威から日本,前方展開米軍そして米国本土を守るためと繰り返し述べている。

この説明は分かりやすい。が,国際政治の常識に従えば,あまりにもストレートな説明には,たいてい隠された真の目的が裏に潜んでいる。そもそも北朝鮮警戒なら,すでに青森県車力にXバンドレーダーが配備されている。あえて経ヶ岬に配備するまでもない。
 [参照]
 日米防衛相共同記者会見概要(2012年9月17日)
 日米防衛相共同記者会見概要(2013年4月30日) 
 Hagel: U.S. Bolstering Missile Defense(Mar.15,2013)
 防衛省「TPY-2レーダー(Xバンドレーダー)の配備について皆様の疑問にお答えします」(2013年4月)
    130903

2.方便としての北朝鮮ミサイル
経ヶ岬配備Xバンドレーダーは,戦略的には,むしろ中国をターゲットとしていると見た方がよいだろう。これは決して突飛な思いつきではない。共同記者会見の席で,米側記者が次のように質問している。

「森本大臣への質問でありますけれども、XバンドTPY-2のレーダーの配備はどの場所がいいと思いますか。また、パネッタ長官に対してですが、今仰ったのは、元々その目的は北朝鮮からの脅威に対するものだと言われたわけでありますが、過去において中国側の方からミサイルディフェンスがこの地域においてあることに反対意見を表明しております。今、この時期において、レーダーの再配備を発表するのは、いわゆるこの地域全体において、とりわけ日本と中国との尖閣諸島等の問題の緊張緩和をさせる上でむしろ良くないのではないでしょうか。」(同上)

さすが米国記者,鋭い。森本大臣もパネッタ長官も,この質問に対し,北朝鮮ミサイルが対象だと型どおりの回答で済ませてしまった。日本人記者からの追加質問なし。情けない。こんな有様では,日本ジャーナリズムは二流といわれても致し方あるまい。

むろん,北朝鮮ミサイルの脅威があることは事実だが,こと経ヶ岬Xバンドレーダーについては,それは真の――戦略的にはより重要な――配備目的をカムフラージュし,国民世論を煽り,地元住民を沈黙させるための方便の意味合いの方がはるかに大きい。今の日本で,「北朝鮮」ほど好都合で強力無比のジョーカーはない。

3.中国の反発
これに対し,中国は,経ヶ岬Xバンドレーダーを脅威と受け取り,激しく反発している。

チャイナネット(2012年9月18日)は,外国メディアを次のように引用している。「同レーダーは日本の南部に設置されるが,沖縄ではない」(AP)。「ミサイル防衛の他に,これらのレーダーは船舶の活動を正確に追跡することが可能だ。」(ワシントン・ポスト)。

つまり,チャイナネットは,Xバンドレーダーはもともと中国,とくに沿岸近海の監視が主目的だということを,米側情報により示しているのだ。

新華社(2012年9月18日)もまた,ロシア外務省の「日本への2機目の対ミサイル・レーダー配備は,アジア太平洋地域における米ミサイル防衛能力を大幅に増強することになる」という声明を引用し,その攻撃的性格を非難している。

こうした中国側の反応は,米英メディアも,きちんと伝えている。
▼C.Cheney(World Politics Review, Sep.18,2012):「パネッタは中国対象ではないと述べたが,北京は[Xバンドレーダー配備]発表に怒りを表明した。」
▼J.Logan(ibid):中国は,「それ[Xバンドレーダー配備]を反中国と見なすであろう」。「これをいま配備する最大の危険は,日中のナショナリズムと敵愾心を激しく高揚させることにある。」
▼New York Times(Sep.17,2012):中国政府幹部は,Xバンドレーダーは中国をもターゲットにしていると感じている。それは,中国の核抑止力の弱体化をもたらす。そして,日本をより攻撃的とするだろう。
▼BBC(Sep.17,2012):「中国は,この地域におけるミサイル防衛能力強化を中国自身の戦略への潜在的脅威と見ている。」
▼Washington Times(Sep.17,2012):日本配備Xバンドレーダーは,中国沿岸を守る対艦ミサイルをも探知可能であり,その配備により米海軍に対する中国近海の海域防衛力が無力化されるであろう。
Radar sent to Japan can track anti-ship missiles: Deterring N. Korea is stated goal, but China likely wary, By Shaun Waterman, The Washington Times, Sep.17,2012
 130901

4.極東の緊張と先制攻撃の危険性
欧米メディアが心配するように,経ヶ岬Xバンドレーダーは,戦略的には,むしろ中国がターゲットである。チャイナネットも指摘するように,もともと配備先は「日本の南部」が想定されており,のちには芦屋基地(福岡県)や見島分屯基地(山口県)が有力候補地とされた(産経,2013年2月24日)。

南の島々は無論のこと,福岡や山口でも,モロに中国が探知範囲に入り,さすがに日米当局ともこれは無理と判断し,少し北東の経ヶ岬にもってきたのだろう。北朝鮮ミサイルの脅威は,むろんある。それは間違いないが,にもかかわらず,それはむしろめくらまし,本当の戦略的な狙いは中国であろう。

Xバンドレーダーは米軍のものとはいえ,海外メディアが懸念するように,盾の強化が日本をより攻撃的とすることは間違いない。しかも,最近では,防衛名目の先制攻撃があからさまに唱えられ始めた。しかし,日本側に先制攻撃の可能性があると北朝鮮や中国が想定するようになれば,当然,先方から先制攻撃を仕掛けられる危険性も大きくなる。これは悪循環。決して日本の安全にはならない。

Xバンドレーダーは,どう考えても,日本の安全には役立たない。反骨・京都の沽券にかけても,日米「死の商人」を太らせるだけのXバンドレーダーなど,断固,拒否すべきだろう。
 (注)レイセオン社製「AN/TPYレーダー一式」の米ミサイル防衛庁契約価格(2007年2月)=2億1200万ドル(約21,200,000,000円);同改良型(2007年7月)=3億400万ドル(約30,400,000,000円)http://www.globalsecurity.org/space/systems/an-tpy-2.htm

谷川昌幸(C)

インドはネパール76番目の郡:Nepali Humor

仏陀はネパールに生まれ,エベレストはネパールにある,したがって,インドはネパールの76番目の郡だ!

ネパールお得意のユーモア。自虐ネタであり,仏教の政治的利用(これはかなりマジメ)でもあるが,内弁慶の日本ナショナリストよりはマシだ。くやしかったら,アメリカは日本の48番目の県だと,アメリカに向かって叫んでみよ。

130830 ■India – 76th District of Nepal

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/08/30 at 10:00

プラチャンダの「中国夢」絶賛と「3国協力」提唱

新華社ネット版(5月29日)が,プラチャンダUCPN-M議長の単独インタビューを掲載している。びっくり仰天! 手放しの中国礼賛。リップサービスはプラチャンダの特技とはいえ,本当に,こんなことを言ったのだろうか?

130603 ■習主席とプラチャンダ議長(新華社)

1.「中国夢」絶賛
記事によれば,プラチャンダは,「中国夢(チャイニーズドリーム)」を絶賛,ネパールはこれを支持し,分け持ち,もって国民的独立,政治的安定,経済的発展を図りたい,と語った。

「中国夢」は,習近平主席が掲げる政治スローガン。3月17日の全人代閉幕演説で,主席はこう訴えている。

「小康社会を全面的に完成させ、富強、民主、文明、調和の近代的社会主義国家を築く奮闘目標を実現し、中華民族の偉大な復興の中国の夢を実現するには、国家の富強、民族の振興、人民の幸福を実現しなければならない。とうとうたる時代の潮流に対し、人民大衆のより素晴らしい生活を送るという切なる期待に対し、われわれはわずかでも自己満足してはならず、わずかでも怠けてはならず、一層努力し、勇躍まい進し、中国の特色ある社会主義事業を引き続き前進させ、中華民族の偉大な復興という中国の夢を実現するため奮闘努力しなければならない。」(「第12期全人代第1回会議閉幕・習近平国家主席が演説」2013/03/17,中国大使館HP)

習主席の「中国夢」は,アメリカンドリームに対抗しようとするものらしいが,要するに「中華民族の偉大な復興」と「国家の富強」の情緒的訴えであり,大時代的なナショナリズム,大国主義的国家主義といわざるをえない。

この「中国夢」は,海で隔てられた「大国」日本にとってよりもむしろ地続きの小国ネパールにとって危険なはずだが,豪傑プラチャンダは,賞賛,絶賛の雨あられ,そんなことなど全く意に介さない。

「中国の指導者たちは,人民の期待を極めて科学的な方法で中国夢へと綜合し,人民に訴えかけてきた。」
「私の理解では,この中国夢は全世界人民の21世紀の夢である。」
「私の理解では,中国夢は人民の夢である。アメリカンドリームは,全世界人民の夢ではあり得ない。これに対し,中国夢は,世界の平和と安定を願う人民の夢を示すものである。」

プラチャンダは,この中国夢に習い,政治的安定と経済的発展という「ネパールの夢」の実現を図りたいという。まさに手放しの絶賛。いくら真っ先に招待され習主席とも会見させてもらうという破格の特別待遇を受けたとはいえ,これはいくらなんでも,ゴマのすりすぎではないだろうか?

2.「3国協力」提唱
しかも,新華社インタビューでは,プラチャンダは,対印関係についても,大胆なことを語っている。

プラチャンダによると,訪中後の訪印の直前,インド外相は「ネパール・インド・中国3国協力」への不同意を表明した。従来の印ネ2国協力を損なうという理由からだ。にもかかわらず,プラチャンダは,新華社インタビューで,こう語っている。

「3国協力は,戦略的な提案だ。インド側の考えでは,この提案の実行はまだ尚早だということだ。」
「3国協力になっても,2国協力は後退しない,と私はインドで説明した。」
「2国関係の前進によってのみ,3国協力の条件は整う,と私は説き続けるつもりだ。」
「中国とインドには,ネパールの繁栄と政治的安定のため,協力してネパールを支援していただきたい。」

この「ネパール・インド・中国3国協力」は,ネパールはインド勢力圏内という,これまでの地政学的大枠を根本から変える大胆な提案だ。新華社インタビューが,このプラチャンダ提案を大きく紹介するのは,当然といえよう。

3.ヒマラヤを越えるか?
プラチャンダの一連の発言は,リップサービス,放言の域を超えている。これまで中国をカードとして使いインドと対抗しようとしたネパールの指導者は,限度を超え対中接近しすぎると,ことごとく失脚し,ネパールはインド勢力圏内に引き戻された。中国に,本気でネパールに関与する意思がなかったからである。

今回はどうか? 現在,プラチャンダは,最大とはいえ,一政党の党首にすぎない。しかし,もし彼が“中国援助”による制憲議会選挙で勝利し,新体制の首相あるいは大統領になり,従来の地政学的枠組みを変えようとするなら,そのときどうなるか? 中国はヒマラヤを越えられるのか?

この観点からも,11月予定の制憲議会選挙は注目される。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/06/03 at 15:49

中印覇権競争とプラチャンダ外交(3)

4.プラチャンダ訪中招待
プラチャンダは,当初,11月予定の次回制憲議会選挙のため,訪印を第一に考えていた。2008年制憲議会選挙後,政権をとったプラチャンダは,首相としては初めて訪印の前に訪中してインドを怒らせ,その結果,インドから様々な嫌がらせを受け,特に2009年のカトワル軍総監更迭失敗で,政権は崩壊してしまった。(プラチャンダ政権2008年8月~2009年5月)。ネパールにおいて政権を安定的に運営して行くには,やはりインドの協力は欠かせない。そう反省したプラチャンダは,次の制憲議会選挙後のことを考え,訪印を先にするつもりだったのだ。

ところが,反印の頭目であったプラチャンダの訪印打診に,インド側は色よい返事をしなかったらしい。そこに,中国がちゃっかり目をつけ,早々と,元首並みの待遇での招待を約束し,プラチャンダを釣り上げてしまった。外交だから,本当のことはよくわからないが,いかにもありそうな話しである。

しかし,訪中を先にするにしても,インド側の了解は取っておかなければならない。そう考えたプラチャンダは,在ネ印大使館を親印派のバブラム・バタライ副議長と共に密かに訪れ,訪中について説明,インド側から訪中了承の「ビザ」を得たという。これは反印派のPeople’s Review(nd)の情報。訪中にインドの事前了解「ビザ」をもらうのは,独立国家にあるまじきこと,ケシカランという非難である。どこまで事実かよくわからないが,訪中の前にインド側に説明し何らかの了解を得ておくということは,十分にあり得ることだ。おそらく,そうした根回しはあったと見てよいであろう。

5.マオイストの路線転換と対中印関係
プラチャンダの今回の訪中・訪印は,いうまでもなく第7回党大会(ヘトウダ,2013年2月2~8日)におけるマオイストの路線(戦術)転換を踏まえたものであり,これと関連づけなければ,その意味を十分に解読することはできない。

マオイストの非軍事的政治闘争への路線転換は,人民戦争にほぼ勝利し議会派諸政党を取り込み反国王共闘に向かうことを決めた2005年10月チュバン党集会の頃から事実上始まっていたが,それが正式に決定されたのは,この第7回党大会においてであった。

党大会は,議長にプラチャンダ,副議長にバブラム・バタライとNK.シュレスタを選出した。再任で,任期は5年。(出席代議員はプラチャンダ派70%,バブラム派25%,シュレスタ派5%とされている。)そして,党大会は,プラチャンダ=バブラム提出の「政策文書」について議論し,ほぼ提案どおり,それを採択した。この党大会採択文書の要点は,メディアの報道によれば,以下の通り。

(1)「プラチャンダの道以後(post-Prachanda path)」への路線転換。これまでの暴力革命から非軍事的な政治闘争への戦術転換。これまでの人民戦争の成果を制憲議会選挙と,その後の新議会により確認・発展させていく。多党制議会制民主主義の枠内での闘争。

この戦術転換の結果,「持続的人民戦争」,「新民主主義革命」,「プラチャンダの道」や,「インド膨張主義」,「アメリカ帝国主義」,「中国修正主義」といった表現は採択文書からは除外された。また,スターリン主義と文化大革命が批判され,ネパールを「半封建的・半植民地的社会」とする規定も,文書からは外された。

(2)社会主義実現のための「資本主義革命(capitalist revolution)」。生産革命による経済発展を目指す。「階級の敵」の言及なし。土地については,「革命的土地改革」ではなく,没収・再配分によらない「科学的土地改革」。経済発展のためには,中印との協力促進。

(3)「進歩的ナショナリズム(progressive nationalism)」。偏狭(blind)ナショナリズムも,封建的ナショナリズムも否定し,「進歩的ナショナリズム」の立場をとる。従来のネパール人民の敵としての「インド膨張主義」と「米帝国主義」は文書から外す。

(4)「3国協定(Nepal-India-China Tripartite Agreement)」。中印あるいはそのいずれかの敵視ではなく,両国と「3国協定」ないしは「3国協力(cooperation, partnership)」を取り結ぶ。(nepalnews.com, Apr2;newbusinessage, nd;The Hindu, Feb8-9,Apr30;Kathmandu Post, Feb2,12,17, ekantipur, Feb8-9,12; Republica, Apr24, Riseofnepal, Feb5,2013)

130509 ■第7回党大会ポスター(党中央委員会)

党大会の正式採択文書はまだ見ていないが,もしこの報道通りだとすると,マオイストは,暴力革命・人民戦争を完全に放棄したとまでは言えないだろうが,当面は多党制議会制民主主義の枠内で闘い,社会主義にいたるための「資本主義革命」による経済発展を目指すことになる。

プラチャンダは,このヘトウダ党大会における議長再選と提案承認により,内政・外交における選択の幅を大きく拡大することに成功した。

また,このヘトウダ党大会には駐ネ中国大使が出席,会開挨拶をし,歓迎夕食会(5時間!)にも参加した。これは新華社や在ネ中国大使館HPが大きく伝え,在日中国大使館HPにも掲載された。

戦術転換を図るプラチャンダは,中国を必要としているが,チベット封じ込め・南アジア進出を狙う中国もまたネパールを必要としている。そして,このようにして中国がプラチャンダに接近すれば,当然,インドも対抗措置を執らざるをえない。その結果,プラチャンダは,相対的に交渉の余地を広げることができる。プラチャンダの訪中・訪印の背後には,おそらく,このような新しい情況が生まれつつあった、と見てよいであろう。

130509a ■”Post-Prachanda Path” (Nepali Times, nd)

谷川昌幸(C)