ネパール評論 Nepal Review

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制憲議会選挙2013(12):交通ストで投票率低下か?

バイダ派中心33党連合の交通ストにより,投票率の低下が避けられない状況になってきた。

キルティプル周辺では,バイクとタクシーは走っているものの,自家用車は完全ストップ。バスもほとんど運休。地域により状況は異なるであろうが,長距離移動は困難ではないか?

そのため,郷里での投票を予定している人々は,帰郷が困難になっている。飛行機は高いし,席が少なく,すでに満席。ツーリストバスにも,多くのネパール人が乗り込むのは難しい。

先日,最高裁が選挙妨害禁止命令を出したが,反選挙33党連合は,最高裁は中立公平でないとして,命令無視を宣言した。最高裁長官が首相兼任では,そう批判されても仕方ないかもしれない。

かくして,投票率低下は避けられそうになく,これは,当然,選挙後の政府の正統性を危うくする。選挙が実施できても,前途多難だ。

▼投票資格証発行(キルティプル,11月16日/最後の写真のみRepublica, Nov.16より)

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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/11/17 at 00:22

カテゴリー: 選挙

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制憲議会選挙2013(9):Bullet or Ballot

現在,ネパール政府(国家安全保障会議)は,選挙実施のため,軍隊,武装警察,警察の総動員態勢をとっている。
   軍   隊: 6万2千人
   武装警察: 2万9千人
   警   察: 4万5千人
   臨時警官: 4万5千人
        計 18万1千人

選挙集会や行進に爆弾が投げられ,反対派に棍棒や投石で攻撃され,立候補者や運動員が拉致されたりするのだから,軍隊や警察による厳重警戒はやむをえないとはいえる。国際社会も,それを強く支持している。

しかし,銃下の投票は,やはり異常である。健康な「平和ぼけ」の日本人は,本物の銃など見たこともないので,小銃を構えた兵士や警官に出くわすと,ギョッとし,心臓が止まりそうになる。このような「平和ぼけ」を正常とすると,ネパールの選挙は,どう見ても異常である。

 Ballot or Bullet! 投票か弾丸か!

これは,参政権なき被抑圧人民が唱えるときは,まだしも健全である。しかし,体制側が,危険性に無自覚に,その正義を大上段に唱え始めるときは,警戒を要する。

マオイストは「銃口から革命が生まれる」という毛沢東思想を掲げて人民戦争を戦い,王政旧体制を打倒した。そして,体制側となると,今度は他の体制派諸党と手を組み,西洋選挙民主主義者の積極的支援も得て,体制正統化のため選挙を実施しようとしている。今度は「銃口から投票が生まれる」のだ。

むろん,いかなる体制も何らかの「暴力装置」により最終的には担保されている。日本では,健康な「平和ぼけ」とは全く別の,脳天気な「平和ぼけ」が蔓延していて,自衛隊を「暴力装置」と呼ぼうものなら,「国賊」と罵られ,あげくは銃口さえ向けられかねない。軍隊や警察が国家の「暴力装置」たることは常識なのに,その常識を暴力により封じ込めようとする度し難い自己矛盾,非常識!

西洋諸国も日本も,その選挙は「暴力装置」により安全保障されている。その限りではネパールも全く同じなのだが,それでも,こう露骨だと,肝心の選挙の正統性に疑念が生じざるをえない。「銃口から投票を生み出す」ことの危険性を,とくに西洋の選挙民主主義者は,つねに自覚していなければならない。

さてそこで,反体制33党連合の選挙粉砕バンダだが,第1日目の11月11日は,カトマンズ市内を見た限りでは,8割程度の実施状況であった。バスやタクシー,それにバイクは,かなり少ないものの,どこでも走っていた。店舗は,表通りはほぼ閉じていたが,裏通りで1/3くらい,観光地ではほぼ通常通り営業していた。

いつもなら街角にたむろしてバンダ破りを見張り,攻撃するバンダ実施派の人々も,見て回った限りでは,どこにもいなかった。全体に規制は緩い感じ。政府が公共交通機関のバンダ襲撃被害の補償を宣言しているし,主要政党や経済界,市民社会諸団体もバンダ宣言無視を繰り返し宣言している。この情勢では,バンダ継続は難しいのではないだろうか。(ただし,バンダ中の移動が危険なことは言うまでもない。地域差も大きい。)

選挙との関係については,バンダそのものよりも,むしろ劣勢を伝えられるマオイストが,バイダ派中心の33党連合の反選挙バンダを口実にして選挙延期に回る可能性の方が大きい。マオイストにとって,選挙敗北となれば,失うものが多すぎるからだ。最大限の現状維持こそ,マオイストの党利党略であろう。

投票所入場券配付は投票日直前の17日というドタバタ。バンダ以外にも選挙延期の理由は,いくらでもある。

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■旧王宮入口のバンダ閉店/ヤンガル付近の営業商店と警戒警官

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■小銃武装兵(警官?,郵便局付近)/警察警戒車両(郵便局付近)

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■ニューロード入口/ラトナ公園バス停

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■アサン占拠のNCと警戒警官(車内)/ジャタNC選挙集会

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/11/12 at 16:00

制憲議会選挙2013(8):ヒシラ・ヤミ候補の戦い

ダサイン/ティハール休暇が明け,今日(10日)から選挙戦が本格化した。カトマンズ市内でも,各党の横断幕,垂れ幕,旗,ビラなどが増えた。が,それでも予想よりは少ない。

今日は,マオイスト革命の女性英雄パルバティたる,ヒシラ・ヤミ候補(バブラム・バタライ副議長夫人)の選挙区,カトマンズ第7区を見てきた。ビシュヌマティ川左岸の市街地。

131110b ■女性労働者に微笑むヤミ候補

ヤミ候補のビラが多いのは当然だが,予想以上にコングレスが多い。旗だけで優劣はつけられないが,それでも「旗色」という表現があるくらいだから,選挙において旗や幟の勢いは大切だ。

131110e ■コングレス選挙集会(アサン:10日午後)

ヤミ候補は,虐げられた女性の味方,女性代表のはずだが,プラチャンダ党首(議長)同様,人気はいまいちだ。汚職・腐敗の女王などといった罵詈雑言をしばしば浴びせられてきた。一介の見物人の私には,噂の真相は分からないが,どうも旗色は悪そうだ。カトマンズ第7選挙区も,注目すべき選挙区の一つである。

 ▼ヤミ候補の選挙活動
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【付記】明日(11日)から選挙粉砕バンダ(ゼネスト)の予定。すでに各地で衝突による負傷者が出始めている。こちらも気になる。

[追加]バンダ予定変更(10日午後11時)
[11日]完全バンダ(ゼネスト)
[12-19日]交通スト。以下は除外: 救急車,ゴミ収集車,水・ミルク運搬車,報道用車両,外交官用車両,人力車,自転車,荷車
 *これも変更の可能性あり。最新情報をご確認ください。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/11/11 at 01:42

制憲議会選挙2013(7):ゼネストか商売か?

バイダ派マオイストを中心とする反選挙33党連合が,11月11日から10日間の選挙粉砕バンダ(ゼネスト)を宣言している。

日本では想像も出来ないことだが,バンダは完全ゼネスト。乗り物は人力車も含め一切禁止。店もすべて閉める。今回は犬一匹歩かせないそうだ。

もしバンダを無視すれば,車はボコボコにされ,店は破壊される。以前,何回か移動のためやむなくバンダ破りを試みたが,いたるところで攻撃され,恐ろしかった。いかにも外人といった風体でも容赦なし。本気のバンダは,戦場のようなもの。そのつもりで行動しないと,危険だ。

が,そんなバンダ(ゼネスト)を10日間もやられては,たまったものではない。そこで選挙で正統性を確保したい大政党はむろんのこと,市民社会諸団体や商工会議所(FNCCI)などもバンダ反対声明を出したし,選挙民主主義と「法の支配」を唱える西洋諸国もバンダに猛反対だ。お隣の中国ですら,選挙をやれ,と圧力をかけている。

反選挙33党連合は,四面楚歌,追い詰められ,バンダ中止の観測気球を上げ始めた。UCPN-M(プラチャンダ議長)かどこかの政党と取引が成立すれば,バンダ中止の公算もある。ただ,メンツのため,1,2日のバンダは避けられないのではないかと噂されている。

選挙は,ネパールでは,いまや官民挙げての一大産業。GDPの2.5%を占めるともいわれている*。たとえば,旗やビラを作成する広告業者。各党の旗や横断幕の見本が,所狭しと展示されている。イデオロギーは何であれ,発注政党は,上得意様なのだ。一目見てそれと分かる,産業としての選挙の典型であろう。 
  * http://www.myrepublica.com/portal/index.php?action=news_details&news_id=64136

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■看板屋店頭(バグバザール)

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■政党ビラ(バグバザール)

Written by Tanigawa

2013/11/09 at 23:36

カテゴリー: 選挙

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