ネパール評論 Nepal Review

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エベレストに赤旗,マオイストの快挙

エベレストを征服し,赤旗を立て,世界最高峰の高みから世界マオイスト革命を指導する,というのがネパール毛沢東主義派の立党以来の目標だった。その念願が,5月26日,ついに達成された。

英雄プラチャンダ議長の名代,プラチャンダJr(プラカシ・ダハール)を中心とする総勢15人のマオイスト登山隊が,「ルンビニ=エベレスト平和行進2012」を掲げ,エベレスト登頂に成功したのだ。

マオイスト登山隊は,「ルンビニの土」とネパール国旗・マオイスト党旗をもって登頂した。ブルジョア反動メディアは報道していないが,おそらく山頂で国旗と赤旗(党旗)を掲げ,「ルンビニの土」つまり「仏舎利」を奉納したのではないだろうか。国家と党と仏陀! さすがマオイストは偉大だ。

少々残念なのは,時期がいささか悪かったこと。本来なら,マオイスト主導下に新憲法が制定され,ルンビニでは国連事務総長をはじめ世界の著名指導者多数を招き「仏前平和祭典」が賑々しく開催されているはずであった。ところが,無念なことに,反動勢力に妨害され,いずれも水泡に帰し,ネパールは目下,大混乱,戒厳令か国家解体かの瀬戸際にある。せっかくの登頂が,台無しにされてしまった。

しかし,そこはマオイスト,この逆境だからこそ,エベレスト登頂の意義もあろうというもの。世界最高峰に党旗をたて,マオイスト革命を訴えかける。さすがイデオロギー政党,健気なものだ。こうした不屈の信念があったからこそ,王制打倒,封建制解体,カースト・ジャナジャーティ差別撤廃,女性蔑視禁止などの偉大な目標が多数達成されたのだ。

マオイスト設立の頃,エベレストに赤旗を立てることを党是に組み込んだのが誰であったかは定かではないが,こうした無邪気な,しかしそれだけに人心を巧みに捉えることができるスローガンを思いついたのは,おそらくプラチャンダであろう。

自分の息子に「赤旗」と「仏舎利(ルンビニの土)」を持たせ,エベレスト山頂から「マオイスト革命」と「平和」を世界に向かって訴えかけさせる。こんな奇想天外な,愉快な大事業をやれるのは,われらが英雄プラチャンダ以外にはありえない。

プラチャンダの道(Prachanda Path)」は,エベレストの高みに達した。プラチャンダ議長,万歳!

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/05/27 at 19:39

カテゴリー: マオイスト

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プラチャンダご令息のエベレスト計画,頓挫

プラチャンダ議長のご令息プラカシ氏が,他のマオイスト同志10人と「ルンビニ・サガルマタ平和隊2012」を組織し,エベレスト(サガルマタ)登頂を目指すことになった。世界最高峰に赤旗がひるがえるのは壮観であり,はるか下界にルンビニのパン国連事務総長見下ろす,というその心意気は諒としたい。さすが,英雄プラチャンダ議長のご令息だけのことはある。

マオイスト政府も,この登山計画を高く評価し2千万ルピーの国費支援をすることにした。ネパールの「輝ける道」(「プラチャンダの道 Prachada Path」ともいう)がエベレストに達する記念すべき事業だから,これも当然だ。

ところが,どこにでも了見の狭い小人はいるもので,プラカシ登山隊への国費支出に対し,ねたみ,ひがみタラタラ,NC,UMLなどから文句が噴出した。また,栄光登山から外された身内のYCLからも,恨み節が聞かれ始めた。

NC系学生団体NSUにいたっては,いやがらせに支援キャンペーンをやり,2千万ルピーを集め,登山隊に寄付するという。まるで,漫画のような抗議運動だ。

もし登山隊の先頭に立つのがプラチャンダご本人なら,そんなひがみ,ねたみなど意に介さず,NSUが2千万ルピーくれるというのなら,「はい,ありがとう」といって受け取り,国費2千万ルピーと合わせ,豪勢にエベレスト登山をするだろう。豪華であればあるほど,箔がつく。

この「世界に輝けるネパール」を目指すプラチャンダ人民王に対し,首相のバブラム氏は、有能ではあるが,民草の1人にしかすぎない。ちまちま世俗的な心配をし,公用車にはネパール国産ムスタン車を使用,国連出張にもエコノミーを利用する。しかし,小国首相(実質的元首)がエコノミーを使用したら,貧乏くさく,惨めなだけだ。お金が無いのだな,おかわいそうに,と同情を引くだけ。

これに対し,エベレストに赤旗を立て,矮小資本主義諸国を見下ろし,国連をもひれ伏させることを目指すのがプラチャンダ登山隊――希有壮大,夢がある。2千万ルピーくらい,安いものだ。

ところが,残念ながら,登山隊を実際に率いるのはプラカシ人民皇太子。世間の批判にたじろぎ,たちまち腰砕け,国費2千万ルピーを辞退してしまった。こりゃダメだ。登山はするであろうが,私費と国費では重さが違う。そこのところが,人民皇太子には分かっていない。が,2代目だから仕方ないだろう。

■”Govt decision to aid Dahal son’s Everest team draws flak,” ekantipur,MAR 16
■”Dahal son’s Everest team to get crores,” 2012-03-17,HIMALAYAN NEWS SERVICE
■”Frugal PM Gives Rs 20m For Maoist Everest Bid,” myrepublica.com, March 17
■Binod Ghimire,”Country outraged by ‘birth of new princelings’,” ekantipur,MAR 18
■”NSU collects symbolic donation for Dahal’s son,” ekantipur,2012-03-18 04:35
■”Dahal’s son to reject govt’s aid,” ekantipur, MAR 18

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/03/19 at 10:51

訪ネは正当,国連弁解

クルチャンドラ・ゴータム氏の手厳しい批判がこたえたのか,国連側が必死になって弁解している。
  ■”Peace process Ban’s key agenda,” ekantipur, 2012-3-15

記事によると,パン国連事務総長の4月末訪ネの主目的は,和平促進だ。国連は,2006年以来,ネパール和平を支援し,2011年のUNMIN撤退後も,関与し続けてきた。

「パンはルンビニのためだけに来ると考える人がいるとすれば,それは事実に反する。」

国連はかなり怒っている。そりゃそうだ。ゴータム氏の批判は,正確に急所を衝いているからだ。

小国ネパールが,国連や中国,韓国を相手に,堂々と論戦を挑む。立派なものだ。ネパール外交からも学ぶべきものは多い。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/03/15 at 10:07

カテゴリー: 外交, 平和

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パン事務総長の訪ネ批判:ゴータム元国連事務次長補

パン国連事務総長の4月末ルンビニ訪問について,元国連事務次長補(Assistant Secretary-General)のクルチャンドラ・ゴータム氏が,厳しく批判している。ゴータム氏は,ユニセフ元副事務局長でもあり,ネパール国連外交の代表的人物。
 ■Kul Chandra Gautam,”Wrong visit at the wrong time,The questionable wisdom of Ban Ki-moon’s proposed visit to Lumbini,” Nepali Times, March 12, 2012

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ゴータム氏の訪ネ反対理由は,人民戦争の決着もつかず,新憲法もできていないのに,時期尚早ということ。人民戦争中の人道犯罪や人権侵害については,誰1人責任を問われていない。それどころか,マオイストはつぎつぎと高位要職に就き,すべて免訴・免責にしようとしている。

国連も情けない。UNMINは無能として追い出され,今度は高等人権弁務官事務所も追い出されようとしている。そしていま,「ルンビニ国際会議・議長」のエサで,パン事務総長がプラチャンダ議長に釣られようとしている。

プラチャンダ議長は,1万5千の死者と無数の犠牲者を生み出した人民戦争の張本人だ。しかも,まだ暴力革命路線を放棄してはいない。

「国連事務総長が,神聖な仏陀生誕地で開催される国際会議において,血染めの手を恥じることのないマオイスト指導者とともに共同議長を務めるとは,なんたる皮肉か。・・・・聖地の国際会議で国連事務総長が共同議長を務めるのは,平和を願うネパール人ばかりか世界中の多くの仏教徒に対する許しがたい冒涜である。」

それに,「アジア太平洋協力交流基金(APECF)」や「国連工業開発機関(UNIDO)北京事務所」も怪しい。もしパン事務総長が訪ネするというのなら,次の3条件を満たしてからだ。
 (1)マオイストとプラチャンダ議長に暴力放棄を確約させること。
 (2)人道犯罪,人権侵害の罪を問わないような「真実和解委員会」を拒否すること。
 (3)マオイスト戦闘員の統合・復帰を完了すること。

もしこれらの3条件が満たされるなら訪ネもよいが,だめなら,訪ネをキャンセルするか,少なくとも3条件を明言すべきである。

このクルチャンドラ・ゴータム氏の批判は,正論である。私もそう思う。しかし,プラチャンダ議長の偉さは,そのような正論は分かった上で,力と金の現実の流れを読み,それを利用して事態を思う方向へ動かそうとしている点にある。

おそらくパン事務総長も,利用されることは十分に分かった上で,利用するプラチャンダを利用して和平を実現させようとしているのだろう。

そして,プラチャンダ議長は,利用されることが分かった上で利用されようとしているパン事務総長を利用して自分の描く和平を実現しようとしているのだろう。ひょっとすると,大物ゴータム氏に正論を吐かせているのは,プラチャンダ議長かもしれない。

いやはや,ネパール政治はスゴイ。ステーツマンシップのモデルとして研究する価値は十分にある。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/03/14 at 13:46

パン国連事務総長,4月末訪ネ

パン国連事務総長が4月28日,訪ネし,4月29日現地開催の「ルンビニ開発国際会議」に出席する。

以前,パン事務総長は,新憲法制定を訪ネ条件にしていたから,訪ネ決定は,4~5月頃に新憲法が制定されるということではないかと推測される。もしそうなら,めでたいことだし,それをセットした,プラチャンダ議長は,やはり偉い。

それはそうとして,この国際会議には,16仏教国元首が招待される。さて,日本は仏教国かな? 中国-韓国-国連枢軸により憲法制定がセットされ,お祝いがルンビニで派手に催されるというのであれば,かっこわるくて,日本は出席できないだろう。

偉大なプラチャンダ議長(ルンビニ開発調整委員会委員長)は,パン総長をルンビニ開発委員会委員長に担ぎ出すらしい。もちろん,大ルンビニ(ルンビニ・ルパンデヒ・カピルバスツ・ナワルパラシ)開発構想のためだ。

たぶん,日本は外されるだろうな。カネも青写真も中国と韓国(とタイ)からくる。なんせ,115m大仏,ラサ=カトマンズ=ルンビニ鉄道,新国際空港,そして金ぴか五星ホテルと目白押しだから,落日ニッポンなんか,お呼びじゃない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/03/10 at 17:50

カテゴリー: 経済, 文化, 旅行, 中国

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外務審議官訪ネ:地味報道と誤解

別所外務審議官(ネパール報道ではDeputy Foreign Minister)が22-23日,ネパールを公式訪問され,バブラム首相らとも会見されたが,メディアの扱いは小さかった。

別所審議官は,ネパール平和構築支援や青年50人への危機管理訓練などを約束され,日本援助のカトマンズ=バクタプル道路の視察もされたらしい。

これに対し,ネパール各紙がその小さな記事の中で特に言及したのは,バブラム首相らが別所審議官に対し,「ルンビニ観光年2012」に日本人仏教徒観光客を多数送り込んで欲しい,と要請したということ。

あれあれ! ルンビニ開発は,韓国のプランで,中国資本が手がけるのではなかったかな? 115m大仏に,プール付五星高級ホテル。残念ながら,韓国援助の新国際空港も中国援助のルンビニ鉄道も間に合いそうにないが,それでも中国・韓国による巨大開発が始まっているであろうルンビニに,清貧を旨とする日本人仏教徒を招くという。

ネパールは,日本を誤解している。政府系ライジングネパールは,別所審議官訪ネ記事を「経済記事」に分類し,バブラム首相やプラチャンダ議長らも日本のフトコロを当てにしている。完全な誤解。日本は,もはや中国や韓国のようなお金持ちではないのだ。

落日ニッポンの姿は,政府開発援助(ODA)削減をみれば,明らかだ。

目も当てられない惨めさ。ODAは今後も大幅削減を免れない。金持ちの清貧ではない。本当に,お金が無いのだ。

しかも,ネパール援助は,日本にとって見返りがほとんど無かった。費用対効果が極端に悪い。「国益のための援助」に方向転換した日本政府が,「無駄な援助」をバッサリ切る可能性は十分にある。

金の切れ目が縁の切れ目となるかどうか? そうさせないのが外交の役目だが,さて,どうなるやら。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/02/25 at 11:05

カテゴリー: 経済, 外交

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存在感ます中国と韓国

1.中国の積極外交
テレグラフ(1月20日)によると,ヤン中国大使は18日の記者会見で,ネパールは外国の国家モデルを追うのではなく,ネパールに適したネパール自身の国家を構築すべきだ,と忠告した。

テレグラフの指摘をまつまでもなく,これは歴代国王の国家理念である。中国はえらい。お手本は毛沢東ではなくネパール国王なのだ。たしかに歴代ネパール国王は中国の友であった。

いずれにせよ,テレグラフの分析によると,中国の対ネ外交の基調が変わった。これまでネパールにおいて中国は目立つことを慎重に避け「静かなる外交」をしてきたが,最近,その伝統的スタイルを放棄し,積極的に発言し行動するようになった。まるでインドと入れ替わったようだという。

2.韓国の積極投資
韓国も負けてはいない。1月20日,キム大使はルンビニ開発のための2百万ドル援助協定に調印した。

韓国国際協力局(KOICA)が中心となり,「韓国の経験と知識によりルンビニを世界平和都市にする」のだそうだ(nepalnews.com, Jan20)。中国は115m大仏を建立し国威を発揚する。さて,韓国はどうする? 700m展望塔を建て,スカイツリーを見下すか?

日本は,ルンビニでも,もはやお呼びじゃない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/01/22 at 19:12

カテゴリー: 経済, 外交

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「ネパール=中国友好年」と「ルンビニ観光年」

1.無礼な中国首相訪問
温家宝首相の訪ネ(1月14日)はあまりにも異例,ネパールはまるで中国の一部か属国のようであった。ネパール・メディアが,鬱鬱たる怒りを押し殺しつつ,皮肉たっぷりに伝えているところによると,経緯の大要は次の通り。

中国がネパールに首相訪問を公式に伝えたのは24時間前であり,ネパール外務省の公式発表は特別機着陸(11時50分)の48分前であった。

■1月13日(金)
 ・大統領,制憲議会議長への連絡=13日午前。
 ・外務省幹部=メディア報道で,16時頃知る。
 ・首相官邸がソルティーホテルに昼食会準備依頼=16:30
 ・官邸の赤カーペット取り替え=13日夕方
 ・中国大使館員らとの打ち合わせ=13日夕方
■1月14日(土)
 11:50 温首相,TIA到着
 12:15 バブラム首相と会談
 12:45 首相官邸で両国公式協議
 13:30 8協定調印
 13:50 昼食会。各党首ら出席
 14:50 大統領官邸出発
 16:00 ドーハへ向け出国

ネパールにとっては,予告無しの来訪に近い。特に,大統領,議会議長,各党首らは,ほとんど情報のないまま,突然,14日カトマンズ待機を求められたらしい。たった4時間の訪問のために。無礼千万といわざるをえない。

2.ネパール=中国友好年2012
温首相の訪ネはわずか4時間であったが,地政学的に重要な地域での大規模ダム建設,ポカラ国際空港建設,経済協力拡大など,協定が8つも締結され,中国にとっては成果十分であった。

それらの中で,今のところあまり注目されていないが,中長期的に重要となると思われるのが,「ネパール=中国友好年2012」の採択である。

協定によれば,2012年は「ネパール=中国友好年」とされ,文化交流・青年交流が拡大され,「中国フェスティバル」が展開される。中長期的に,中国文化を浸透させていく計画らしい。

これは「友好」が目的だから,反友好的な行為は抑制される。具体的には,自由チベット運動。協定は,こう宣言している。

「ネパール側は繰り返し確認した――世界において中国は唯一であること,中華人民共和国政府は中国全体を代表する唯一の合法政府であること,そして台湾とチベットは中国の不可分の領域であること。またネパールは,中国の国家主権・国民統一・領域統合への努力を強く支持し,いかなる勢力にもネパール領域を反中国の活動や分離活動のために利用させることはない。このネパールの立場を,中国側は高く評価した。」

これは中国のいうがままであり,この協定により,ネパールはこれまで以上に強力にチベット自由運動や他の反中国活動を取り締まらなければならないことになった。

さて,どうするか? ちょっとうがった見方だが,この点との絡みで注目すべきは,今回約束された次の援助である。

中国は,警察力強化に1億2千5百万ルピー,武装警察学校設立に5千万ルピーの援助を約束した。これらのうち武装警察は準軍隊であり,その幹部養成を任務とするのが武装警察学校であろう。そこに中国が援助する。さすが,中国,目の付け所がよい。

中国との友好は,当然,自由チベット弾圧を意味する。

3.ルンビニ観光年2012
この「ネパール=中国友好年2012」とリンクしているのが,「ルンビニ観光年2012」である。ヤダブ大統領は,「ネパール=中国友好年2012」協定調印の翌日(15日),カトマンズからルンビニに行き,そこで「ルンビニ観光年2012」を宣言した。偶然の一致ではなく,両者は連動していると見るべきだろう。

14日のカトマンズでの協議において,バブラム首相がラサ-カトマンズ-ルンビニ鉄道建設を要望したのに対し,温首相は,それは十分に可能であり,中国政府は前向きに検討する,と約束した。中国側は,やる気満々なのだ。

もしラサ-カトマンズ-ルンビニ鉄道が建設されたら,ネパールの地政学的位置は大きく変化する。あるいはまた,中国は,ルンビニの先の巨大なインド市場をも見込んでいるのかもしれない。

いずれにせよ,「ネパール=中国友好年2012」と「ルンビニ観光年2012」は連動していると見るべきだろう。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/01/18 at 13:44

カテゴリー: 経済, 外交, 文化, 中国

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韓国のルンビニ開発援助,政府受諾決定

ネパール政府は1月12日,韓国からのルンビニ開発援助2百万ドルの受け入れを決めた。さすが韓国,仕事が早い。そして,宣伝上手。

もしこれが日本なら,モタモタし,たとえ同じ2百万ドル援助しても,せいぜい1,2行のベタ記事か,下手をすると無視されてしまう。報道されなければ,何もしないのと同然。それが世界なのだ。

韓国は,そして中国も,行動様式は米欧に近く,どう報道されるか――どう評価されるか――を考え,最大限効果的な外交をやっている。見習うか,援助をやめるか,どちらかにすべきだろう。

* ekantipur, Jan13

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/01/13 at 11:16

カテゴリー: 外交, 中国

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ルンビニ開発への懸念,ユネスコ書簡

1.ユネスコ,書簡送付
ユネスコ世界遺産センターが,ネパール文化省宛の書簡(2011-12-20)で,中国系APEC(アジア太平洋交流協力基金)主導のルンビニ開発に対する懸念を伝えた。APECルンビニ開発は,ユネスコのルンビニ開発マスター・プランや世界遺産条約ガイドラインに反するというのだ。

2.ユネスコ「ルンビニ保存管理強化」事業
ユネスコは,1997年にルンビニを世界遺産に登録し,2010年7月16日にはネパール政府と協定を締結,日本政府拠出基金による「ルンビニ保存管理強化」事業を開始した。

事業内容 考古学的調査,遺跡保存,丹下健三マスタープランの検証,ルンビニ管理体制の確立
参加機関 世界遺産センター,連邦省,考古学省,日本大使館,ダーラム大(英),東京大学,ルンビニ開発トラスト,ルンビニ国際調査所
専門家委員 西村幸夫(東京大学,都市計画),C. Comingham (英),C. Meucci(伊)

この事業は,丹下マスタープラン(100万ドル,UNDP,1978)を継承するものであり,ユネスコの説明によれば,資金的にも人的にも日本が中心となっている。ユネスコは,このルンビニ開発計画に,APECルンビニ開発事業は反するというのだ。

3.巨大仏像に五星ホテル
APECルンビニ開発計画によると,目玉として巨大仏像が建立される。高さ115mというから,奈良大仏(15m)や鎌倉大仏(11m)よりもはるかに大きい。そして,五つ星のプール付き高級ホテルと,4000人収容の大ホール。

さすが,中国,なんでも巨大なものが好きだ。ちまちました小国日本の比ではない。現在の制憲議会ビル(コンベンションホール)のバカでかさをみれば,中国的思考は一目瞭然。それをルンビニでもやろうというのだ。

4.世界遺産条約違反
ルンビニ地区に,もしこんな巨大仏像や五星ホテルが建設されたら,世界遺産としての有難味は激減する。世界遺産条約はこう定めている。

■世界遺産条約実施ガイドライン(172)
「条約保護地域において,遺産の価値を害する恐れのある大規模な再建や新築を行う場合は,世界遺産委員会に通知すること・・・・」

APEC開発計画は,明らかに,このガイドラインに違反している。

5.日中の代理戦争?
ルンビニ開発をめぐるこのユネスコとAPEC系との対立は,うがった見方をすれば,少なくとも外面的には,日中の代理戦争だ。

日本はユネスコ分担金を12.5%も負担しており,米国(22%)に次ぐユネスコの大パトロン。ユネスコのルンビニ開発でも,日本は,資金を提供し,日本大使館や東京大学(丹下健三―西村幸夫)が深く関与している。

一方,APECの背後に中国政府がいることは周知の事実だ。ルンビニをめぐって,日中が争っている,と見られても仕方ない。では,日中いずれに軍配が上がるか? いかんながら,結局,日本は負けると見ざるをえない。

巨大仏像,五星ホテル,巨大ホールなど,しめて事業総額80億ドル也。しかも,われらがプラチャンダが全面支援している。日本に勝ち目はない。結局,ルンビニに巨大仏像が建つだろう。赤色かもしれないが。

▼ルンビニ開発関連記事 →→ 右の検索窓に「ルンビニ」を入力し検索

* Republica, 2012-01-1
* UNESCO, Strengthening the Conservation and Management of Lumbini, UNESCO HP

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/01/12 at 20:11

カテゴリー: 経済, 文化, 中国

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