ネパール評論 Nepal Review

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京都の米軍基地(45):戦争請負会社とその軍属

Xバンドレーダーは,すでに「防衛秘密」ないし「特別防衛秘密」であり,かつ「特定秘密」にも指定されるだろうから,現地の自治体や住民に重要なことは何も知らされていないのは当然だが,それにしても,経ヶ岬米軍基地にどのような軍人・軍属が来るのか,報道で見る限り,まったく分からないのは,いくらなんでも無茶苦茶だ。

1.世論操作としての「民間企業技術者」
車力には,軍人2,軍属110,家族42の計154人(2010年)が駐留している。大半が軍属だ。経ヶ岬もほぼ同じとすると,やはり軍属中心となる。

「経ヶ岬に配置されることになる人員数は,現在,米国において検討中ですが,最大160名程度であり,民間の技術者が多数を占めるものと聞いています。」(防衛省「『TPY-2レーダー(Xバンド・レーダー)』の配備について皆様の疑問にお答えします」2013年4月)

「聞いています」とは,責任逃れの典型的な「官僚文書」だが,それはさておき,ここで見落としてならないのは,この文章には住民誘導の国家意思が巧みに仕込まれていること。つまり,「民間企業の技術者が多数」であり軍人はわずか,だから皆さんと同じで特に危険ということはない,安心してください,という世論操作だ。

これまでの報道を見る限り,住民はこの世論操作に誘導され,「民間企業の技術者」については無関心で,その素性を問い質してはいない。

2.レイセオン軍属
では,どのような企業が来るのか? Xバンド(TPY-2)レーダーは,レイセオン社製だから,同社要員が来ることは間違いない。レイセオンは巨大軍需企業で,三菱と仲がよい。レイセオン=三菱同盟で,日本のレーダー&ミサイル利権の山分けを図るのではないか?

【参照】「三菱重工業が、米兵器メーカーのレイセオンからミサイル部品の輸出を打診されていることが18日、分かった。日本政府は三菱重工からの申請後、輸出の可否を審査する」(ロイター2014-04-18)。三菱はレイセオンとSM-3ミサイル等を共同開発している。

140601a ■SM-3 Block IA発射自衛艦(レイセオンHP)

3.ブラックウォーター軍属
警備等については,車力と同じだとすると,ブラックウォーター社(黒水社)。ブラックで素性がよく分からないが,戦争民営化の受け皿となっている「戦争請負会社」「傭兵会社」であることに間違いはない。

もしブラックウォーター社だとすると,これは恐ろしい。たとえばイラクで2007年9月,同社「社員(要員)」が,公道でイラク市民17人を銃殺した。米国傭兵だから,イラク政府には逮捕権も裁判権もない。また,民間人だから,米国軍法会議にもかけられない。治外法権そのもの。

車力ではどうか? 「しんぶん赤旗(2007-11-22)」によれば,車力のブラックウォーター社員(要員)は「軍属」であり,公務中であれば,日本側には第一次裁判権はない。米兵と同等の特権が認められているそうだ。では,米軍側は,軍属を米兵と同様,軍法会議で裁くのか? ここのところが実際にはどうなるのか,いまのところ私には分からない。

戦争請負会社は,そもそも権限が曖昧だ。その証拠に,ブラックウォーター社は,関連会社も含め,何回も名前を変えている。主なものだけでも,ブラックウォーター訓練所(1996)⇒Xe(2009)⇒Academi(2001)。どれが会社の本名か,よくわからない。これで,権利義務関係がきちんと引き継がれるのだろうか? また現地との関係もややこしい。

住民⇒京丹後市⇒日本政府(防衛省)⇒米政府(米軍)⇒戦争請負会社⇒派遣社員(要員)

住民と軍属との関係がこれほど多段階だと,権利義務関係が曖昧となり,住民の安全が実際には守られない恐れがある。

日本政府の世論操作に操られてはならない。「民間企業の技術者が多数」という場合,その「民間企業」がブラックかどうか,住民はよく見極め,対応すべきであろう。

140601c ■ブラックウォーター・ロゴ

140601b ■ブラックウォーター批判HP Employees of the US military contracting group Academi (formerly Xe, Blackwater USA and Blackwater Worldwide) are seen in new leaked video shooting their machine guns at random while driving through the streets of Baghdad, crashing into other cars and even running over a pedestrian without hesitation. Academi received a $250 million contract by the Obama administration to provide military services in Afghanistan.

谷川昌幸(C)

京都の米軍基地(16):レイセオン下請以下の参与会意見

京都府の「TPY-2レーダーの電磁波の影響に関する参与会の意見」を見て唖然とするのは,基本中の基本のはずのレーダー性能について,製造元のレイセオン社ホームページを根拠としていることだ。

米国Raytheon社のホームページによると,TPY-2レーダーは・・・・

ネットは北朝鮮でも中国でも,いやド素人の私でも見ることができ,こんなところに最新兵器の重要情報が書かれているはずがない。参与会意見は,そんないいかげんなネット情報を根拠としているのだ。

しかも,確たる根拠がないものだから,科学的良心に従い――将来の責任追及を免れるため――重要部分の記述は,ほとんどが推測となっている。

「ビーム走査範囲は上下左右±約45°程度と推測される。」
「合計90°の範囲をカバーしていくものと思われる。」
「1000Kmぐらいの距離が感知できるのではないかと考えられる。」
「TPY-2レーダーの出力はおそらく数百kwと推測でき・・・・」

私たちは,1万円程度の電子レンジを買うときでも,もう少しましな性能チェックをする。車ともなれば,エンジン出力,燃費,安全装置,インテリアなどを入念に調べ,比較検討する。ところが,参与会は,はるかに高価で危険なXバンドレーダーについて,兵器メーカーの公開ネット情報による推測で安全評価をしている。およそ科学的とは言いがたい。

この程度のことであれば,下請以下の参与会ではなく,直接,レイセオン社ホームページを見た方が,はるかに正確だし,何よりも面白い。まるで劇画未来戦争のようだ。

レイセオン社ホームページ
ミサイル防衛システム(動画3分11秒)
TPY-2レーダー(動画1分16秒)

130819a ■レイセオンのハイテク戦争ビジネス(Raytheon)

レイセオン社は世界最大のミサイルメーカー。2012年度の売上240億ドル,従業員6万8千。

「レイセオンは,すでに8台のAN/TPY-2を販売し,現在,アメリカと他の同盟2カ国の顧客のため3台を製造中である。」
「現在,前線配備型AN/TPY-2は日本,イスラエル,トルコに配備され,アメリカと友好同盟国を防衛している・・・・」

Xバンドレーダーと連動する迎撃ミサイルなど,実際には当たりはしないが,軍需産業にとっては,そんなことはどうでもよい。一台いくらか知らないが,関連サービスも含めると天文学的売上となり,会社を潤す。

過疎地・丹後は,捨て石となり,最新兵器を受け入れることにより,アメリカと日本の政官学軍複合体=「死の商人」の繁栄に少なからず寄与することになろう。

130819b 130819c
■ミサイル防衛システム/TPY-2レーダー(Raytheon)

130819d  ■日米兵器開発協力:レイセオン+三菱重工(Raytheon)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/08/19 at 10:36

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