ネパール評論 Nepal Review

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Republica vs Nepal National

ネパールのネットメディアには不思議な習性がある。何の予告も案内もせず,ある日突然アドレスを変更,アクセス不能となる。継続して読みたければ,自分で新アドレスを探さねばならない。ちょっと予告しておけばよいのに,それをしないのが,いかにもネパール流。不思議な,読者無視の慣習だ。

今回は,ネパール大手メディアの一つで,International New York Timesと連携しているRepublica(My Republica)。突然のリンク切れで,アクセスできなくなってしまった。あちこち探し,新アドレスを見つけたが,また切れた。新聞そのものは発行しているようだが,こんな不親切では信用失墜,ネット版の読者に見放されてしまう。

これとは対照的にサービス精神旺盛なのが,中国系やオセアニア系,あるいはキリスト教会系。幾度か紹介した中国日報(China Daily)は,無償配布に加えて,奨学金さえ出し,サービスとイメージアップにこれ努めている。参照:中国日報

オーストラリアMidwest Radio NetworkのNepal Nationalも,なかなか使い勝手が良い。ニュース選択センスがよいし,画面もすっきりしていて読みやすい。参照:Nepal National

また,キリスト教会系ニュースメディア,たとえばローマカトリック教会のAsianews.itも,当然ながら立場が明確であり,たいへん興味深い。参照:Asianews.it

Asianews.itの中国語版発信趣旨説明によると,中国の大学ではキリスト教への関心が高い。中国通信制大学の調査(詳細不明)では,北京の学生の61.5%がキリスト教に関心を持ち信者になりたいと願っているという(本当かなぁ?)。だから,Asianews.itは,中国語版をネット配信しているのだそうだ。

Asianews.itのネパール向けニュースページも,おそらく,これと同じ趣旨で配信されているのだろう。そして,このAsianews.itのキリスト教関係記事は,上述のNepal Nationalにも転載されている。オセアニアないし西洋の人々にはネパールのキリスト教関係記事への関心が高い,また,ネパールの人々にもキリスト教への関心を高めてほしい,とNepal Nationalが考えているからにちがいない。

こうしたことを念頭において今週のネパリタイムズ(3-9 Apr,#752)を見ると,なかなか興味深い。中国日報(China Daily)の広告が出ているのは言うまでもない。そして,記事としては,「ネパール人,しかるのちにカトリック教徒」が目に付く。

150405 ■ネパリタイムズ記事

このネパリタイムズ記事によれば,キリスト教徒は,2011年全国人口調査で375,699人,全国キリスト教連盟発表で250万人,そのうちカトリックは8,000人。カトリックはまだ少数派だが,キリスト教徒総数はかなり増加している。

記事によれば,信徒であっても,様々な軋轢を恐れ隠れている人々(いわばネパール版「隠れキリシタン」)もいるし,逆に受洗していなくても教会行事には参加する人もいる。こうした状況を考え合わせると,信徒250万人というのも,あながち誇張ではないだろうし,もしそうだとすると,キリスト教はすでに相当の大勢力になっているとみてよいであろう。

Asianews.itは,こうしたネパールの状況をよく見据え,ネパールニュースを発信し,Nepal Nationalはそのキリスト教会系ニュースを転載しているのだろう。

このように,中国系やオセアニア系,あるいはキリスト教会系メディアは,それぞれの得意な方法で,読者へのサービスに余念がない。これに比べ,ネパールメディアは,まだまだ知識身分の特権意識が抜けきらない。「恩恵を恵んでやるぞ」といった上から目線。これでは「士族の商法」,自由競争市場では早晩淘汰されてしまうであろう。

【追加2015-04-08】
Republicaは,HP再構築が完了したらしく,再び接続できるようになった。が,他のネパールメディアと同様,依然として垢抜けせず,読みにくい。
【訂正補足2015-04-09】
Nepal NationalはAsianews.itの記事の転載をしているだけでした。上記のように訂正補足します。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/04/06 at 13:31

ネパリタイムズと中国日報

国内便が濃霧遅延,暇つぶしにTIA売店で「ネパリタイムズ」(#742,23-29Jan)を買ったら,なんと「中国日報」(23-29Jan)がおまけについていた。ネパリタイムズよりもページ数がはるかに多く,内容も濃い。どちらがおまけかわからない。以前からネパリタイムズと中国日報の間には関係があるのではと感じていたが,やはり何か特別の協力関係がありそうだ。

中国日報には興味深い記事が多い。2ページぶち抜きで「海のシルクロード」と「アジア・インフラ投資銀行」の長大記事。中国はこれらと「陸のシルクロード」を組み合わせた経済大戦略を打ち出しており,ネパールもその一環をなしている。

その一方,時評欄には,中国日報Cai Hong東京支局長が「日本,戦争の歴史を書き換え」という記事を書いている。

「安倍は,国際社会の声を同調させることはできていない。しかしながら,国内では大合唱の旗を振っている。安倍政権は教科書検定の基準を変え,著者と出版社に圧力をかけ,政府の考えを教科書に書き込ませた。」

このような厳しい日本批判が中国日報には,大きな見出しのもと,紙面上段に掲載されているのだ。

が,ここで注目すべきは,日本批判記事の内容そのものではなく,中国日報が「シルクロード経済圏」・「アジア・インフラ投資銀行」と,安倍政権批判を同時掲載し,しかもその新聞をネパールにおいてネパリタイムズとセットで売っているという事実である。

不思議なのは,素人目で見ても中国日報に経済的利益があるとは思えないこと。利益どころか,持ち出しではないだろうか? 空港だけでなく,田舎の村でも,中国日報は派手に売り出している。長期的観点からの販売戦略なのか,それとも別の狙いがあるのだろうか?

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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/02/01 at 00:14

ネパリタイムズ購読おまけ,中国日報とLEDランタン

以前,小さな村の茶店に「中国日報(英語版)」があり驚いた,と書いた(参照パタン南方の桜と中国日報)が,実際には,これは驚くほどのことではないらしい。

先日,うえのともこさんのツイッター(12月9日)に教えられ,ネパリタイムズのHPを見ると,なんと,購読のおまけに「中国日報」がつけられていた。LEDランタンもただでもらえる。

ネパリタイムズは大衆紙ではないが,LEDランタンまでもらえるのなら,ちょっと買ってみようかな,という人がいても不思議ではない。LEDランタンで「中国日報」を読めば,最先端の光により大いに啓蒙(lighten up)されるというわけだ。

これを見ても分かるように,中国のネパール進出は,かなり本気であり戦略的だ。残念ながら,日本には,ネパール紙に,たとえば「The Japan News」をおまけとして提供するだけの戦略性はない。

東アジアでもどこでも,日本は,中国に力で負けているのではない。彼にあり我にないのは,長期的な戦略的思考である。

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■Nepali Times(13-19 Dec.)の購読案内と中国日報の宣伝

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/12/14 at 22:10

カテゴリー: 外交, 情報 IT, 中国

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