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「陽春」の丹後:天橋立とネパール料理店
新年早々,所用で丹後の村に行ってきた。以前だと,この時期,厳寒で積雪も多かったが,地球温暖化のせいか,最近は,そのようなことはほとんどなくなった。この正月も暖かく,村の田畑に積雪なし。驚いたことに,民家の石垣に生えたユリらしき植物が満開の花をつけていた。
■石垣のユリ(?)
陽気に誘われ村の名所「大内峠」に行き,「股のぞき」をすると,日本三景の一つ「天橋立」が,まるで春霞に包まれたかのように,ぼんやりと中空に浮かんでいるのが望まれた。右手の高峰,鬼の住む大江山(832m)にさえ積雪なし。
5日には,近くの町のインド・ネパール料理店に行ってきた。小さな町だが,メニューを工夫し頑張っている。丹後の文化も,大きく変わりつつあるようだ。
谷川昌幸(C)
みのりの秋,里も山も
今年も柿が豊作だ。枝が折れるほど,たくさんなっている。気候変動のせいかもしれないが,豊作それ自体はめでたい。
以前だと,柿が実れば採り入れ,甘柿はそのまま食べ,渋柿だと皮をむき軒下につるして干し柿とし,少しずつ食べた。干し柿は甘くて栄養満点の保存食だった。
ところが,いまでは柿はほとんど採られず,柿の木にそのまま放置されている。人手が少なくなったのと,他にスナック菓子など安直な食品があふれているからだろう。
しかも今年は,サルもカラスやヒヨドリも柿の実を食べにやってこない。山もきっと豊作で,わざわざ里まで降りてこなくてもよいのだろう。柿の実を食い荒らされると腹が立つが,今年のように全く来ないと,それはそれで少々淋しくはある。
谷川昌幸(C)
柿、未曾有の大豊作の不気味
丹後の村では、柿が大豊作。こんなスゴイ実りは、これまで一度も見たことがない。
柿は、古来、日本に最適の果樹。空き地や田畑の周辺に植えておけば、勝手に育ち、実をつける。農薬、肥料、剪定など、一切不要。文句なしの100%自然農法。(資本主義化した商品作物としての柿は別物)。
それにしても、今年はスゴイ! あまりにも多くの実をつけたため、実の重さに耐えきれず、多くの枝が折れ、幹さえ裂けてしまった木も少なくない。
多くて穫りきれない。あとは、おやつとしてヒヨドリやサルに進呈しよう。クマが来ると怖いが、今年は山中の野生柿も大豊作なので、危険を冒して里まで降りてくることはあるまい。
大豊作はめでたいが、こんな異常な実りだと、天変地異の前兆かと、少々不安になる。取り越し苦労だろうが、やはり何かにつけ、ほどほどが、よい。面白味はないが。
谷川昌幸(C)
京都の米軍基地(23):特定秘密としてのXバンドレーダー
米軍Xバンドレーダーは,原発と同等,いや見方によれば原発以上に危険である。すでに「京都の米軍基地(13):「Xバンドレーダー体制」の危険性」において指摘したように,Xバンドレーダーは軍事機密の塊であり,特定秘密保護法が制定されれば,その出力など,つまりはXバンドレーダーに関することが「特定秘密」に指定されることは,まず間違いない。
特定秘密保護法(案)は,こう定めている。
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特定秘密保護法(案)
第二十二条 特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。特定秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。
(2~5略)
第二十三条 人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為(・・・・)その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。
(2~3略)
第二十四条 第二十二条第一項又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、五年以下の懲役に処する。
2 第二十二条第二項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、三年以下の懲役に処する。
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この特定秘密保護法の危険性については,すでに多くの批判がなされている。要するに,秘密は秘密であって,何が秘密かを示せば,秘密ではなくなってしまうということ。だから,国民は何が秘密か明確に知らされることなく,その秘密を理由として処罰される恐れがある。罪刑法定主義の原理的否定である。朝日新聞(10月26日夕刊)素粒子のいうとおりだ。
「お前は秘密を漏らした。逮捕する」
「何の秘密を」
「それは秘密だ。私は知らぬ」。
特定秘密保護法が成立すれば,丹後は間違いなく「Xバンドレダー体制」になる。米軍関係者は,軍人・軍属160人,関係者全部を含めるとその何倍にもなる。当然,飲み屋で一緒になったり,友人になったり,あるいは結婚し家庭を持つかもしれない。そんなとき,ついうっかり,あるいは酔っぱらって,Xバンドレーダーの出力や使い方などを聞こうものなら,しょっ引かれ,取り調べられ,下手をすると懲役刑になるかもしれない。たとえ日本人妻であれ,義理の父母や隣人であれ,同じこと。恐ろしい。たとえ処罰までは行かなくても,警察に事情聴取されるかもしれないということだけでも,威嚇効果は十分だ。
それも,Xバンドレーダーの出力といった,いかにも秘密らしい「秘密」だけではない。たとえば,このレーダーは,大量の冷却用水を必要とする。となれば,地域の谷間の取水口付近も「特定秘密」とされるかもしれない。そんなこんなで,Xバンドレーダーと直接・間接に関係するあらゆる事が「特定秘密」とされる可能性がある。いや,たとえそうでなくても,何が秘密か分からないところでは,そう考えて行動したほうが安全だ。疑心暗鬼,住民にとっては「見ざる,聞かざる,言わざる」以外に,自分を守る手だてはなくなる。
Xバンドレーダー基地は,電磁波の健康被害,温排水の影響,軍人・軍属の交通事故や犯罪などよりも,実際には,それが軍事機密ないし「特定秘密」となるということの方が,住民全体の日常生活には,はるかに深甚な影響を及ぼす。Xバンドレーダーは,数千キロ先を常時監視するため,自分を隠す必要がある。見られないで見る。丹後は,見えない「秘密」に脅え,住民の自主規制,相互監視に向かう。「Xバンドレーダー体制」による住民監視社会の到来だ。
このような事態は,市議会審議においては,ほとんど考慮されてこなかった。いま,当初想定していなかった特定秘密保護法をめぐる新しい状況も生まれつつあるわけだから,市議会は改めてXバンドレーダー配備受け入れの是非を再審議すべきではないか? 「Xバンドレーダー体制」が成立すれば,もはや抵抗は出来なくなってしまうだろう。
【追加】(2014-1-16)
安倍政権は,2013年12月6日「特定秘密保護法」を成立させ,12月13日公布した。さらに2014年1月14日には,秘密指定基準を検討する「情報保全諮問会議(秘密法諮問会議)」の座長に,読売新聞社の渡辺恒雄会長・主筆を選任した。この人事をみても,この法律がどのように運用されるかは,明白といってよいであろう。
谷川昌幸(C)
京都の米軍基地(22):「詭弁」答弁と無責任市議会
京丹後市議会は,9月24日,議員全員協議会を開催し,「米軍Xバンドレーダーの配備受け入れ要請に関する対応について」協議した。(クリック→ユーチューブ再生)
不思議なのは,中山市長の防衛大臣訪問(9月10日)や受入表明(9月19日)の前に,議会で何の決議もしていないこと。議員全員協議会で何回か協議しているが,これは要するにおしゃべり,正式の議会での受入決議は,新聞報道で見る限り,ない。しかも,受け入れについては,市長「受入表明」だけで済ませ,正式の文書は出さないという。こんな重大問題なのに,議会決議も,文書での正式回答もなし。なぜ要求しないのか? こんなていたらくでは,議会の責任放棄と批判されても,いたしかたあるまい。
受入表明後の議員全員協議会(9月24日)は,したがって気が抜けたビール,中山市長のお話し拝聴に終始した。
そうした中,1人気を吐いていたのが,共産党の森勝議員。質問は,日米安保や地位協定に関する原理的・理論的なものと,沖縄米軍基地等の現実を踏まえた具体的なものとの二本立て。中山市長は,この質問にしどろもどろ,日米安保も地位協定もまともに読んでいないことが露見してしまった。官僚市長だから,政治家の領分たる原理的・理論的議論は,あまり経験がないのだろう。また一方,具体的諸事実に基づく質問にも,官僚的はぐらかし以外の対応はまったく出来なかった。みじめだ。森議員に「幼稚だ」「詭弁だ」とバカにされても,怒ることすらできない。完敗,森議員に赤旗1本だ。
森議員については,議会HP記載以上のことは何も知らない。本拠は網野町。舌鋒鋭く,懲戒請求(2011年10月)されるようなこともあったらしいが,議会中継で見る限りネアカであり,好感が持てる。論敵からも愛されているにちがいない。
共産党には,よく勉強し,地域住民のため地道に活動している党員が少なくない。空気を読まず(読めず)正論を吐くので煙たがられるが,地域の風通しをよくしていることは間違いない。共産党の良心のような人びとだが,党官僚組織内では正当に評価されていないようだ。というよりもむしろ,立身出世に関心がないからこそ,地域での無私の活動が続けられるのだろう。森議員のことは今回の一連の議会発言でしか知らないが,おそらく共産党のそのような誠実な地方党員のお一人であろう。
ここで不思議なのは,森議員のような論客がいるのに,共産党が彼を十分に活躍させていないこと。何らかの配慮かもしれないが,実に惜しい。いまや京丹後市議会は世界に公開され,中山市長と森議員の議論も世界中の人びとに見られている。彼らはどう評価するか? これは明白。世界市民の多くは森議員の完勝と判定するにちがいない。中山市長の官僚答弁は,霞ヶ関のカスミの中では通用しても,世界市民社会では通用しない。森議員の言うとおり,「幼稚」であり「詭弁」だからだ。
米軍は世界最強の軍隊であり,自分の手を縛る約束はしないし,たとえしても守りはしない。それは,直近の饗庭野オスプレイ問題を見ても明白。オスプレイは,経ヶ岬や福井原発群の上を飛行するかもしれないのだ。
それでも経ヶ岬に,軍事機密の塊のような米軍Xバンドレーダーを「誘致」するという。なぜか? おそらく無理な広域合併で無用な豪華ハコモノを造りすぎ,市税じゃじゃ漏れ,首が回らなくなり万事休す,米軍基地にすがらざるを得なくなったのだろう。「国家の安全」だの「国益」だのといった高尚な話しではない。背に腹はかえられぬ。要するに,貧すれば鈍するということであろうか。
[参照]森議員の質問
米軍Xバンドレーダー受入:京丹後市議会(9月24日)
米軍Xバンドレーダー配備:京丹後市議会(9月11日)森議員質問
京丹後市Xバンドレーダー審議(6月20日)森議員質問
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谷川昌幸(C)
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