ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

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京都の米軍基地(61):米軍のプレゼンス・プレゼント

最先進にして最強の米国と,極東の後進国日本の辺境地。はや勝負あり! 米軍のプレゼンスに,京丹後はメロメロなのだ。

たとえば,京丹後市国際交流協会企画の「国際交流会」(12月21日)。米軍基地からもオルブライト司令官ら5人(朝日デジタルでは4人)が招待されて参加,久美浜の「豪商稲葉本家」を見学し,会食した。参加費(飲み食い代など)を米軍側も負担したか否かは,報道では不明。

この交流会は,いかにも日本流(!)といった,少々気恥ずかしくなるような“おもてなし”。日本女性の大正琴を聴き,和室でばら寿司を箸で食べ,お茶を楽しんだ。普通の日本人はとうの昔忘れてしまった,外国向け日本文化のご披露だ。

むろん絵になる。さっそく米軍は宣伝に使いまくっている。

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 ■交流会案内/交流会(中隊FB)

141222c ■交流会(中隊FB)

辺境地の丹後にとって,米軍進駐は,願ってもない僥倖。米国の文化は世界最新であり,米語(英語)は世界共通の超一流言語。極東の辺地の辛気くさい日本語など,グローバル化時代には,なんの役にも立たない。米国の文化と言語を学ぶにも,米軍進駐は願ってもない好機なのだ。

地元は,米軍向けの日本語講座を準備しているらしいが,これはムダ,やめた方がよい。逆だ。地元民が米語(英語)を学び,道路標識も店内表示も,すべて米語に書き換え,米軍関係者を見たらまず米語で話しかけるよう努力すべきだ。すでに米軍基地との連絡の公用語は,米語となっているらしい(未確認)。

そもそも日本国元首の安倍首相からして,洋魂和才ないし洋魂洋才が目標であり,初等教育英語必修化など米語(英語)の日本普及に余念がない。これが安倍首相の掲げる「国益」であり,丹後が「国益」第一を掲げるなら,当然それから見習うべきだ。

いずれそのうち,丹後進駐の米兵や軍属やその家族,ときには彼らの子供たちが,小中高校の授業や市民向け語学講座で,ボランティアとして,あるいは特別講師として,本場の本物のネイティブな米語を教えてくれるようになるであろう。日本人の米語はまがい物,日本人英語教師は格下。かくして,一流の米国人と米国文化,二流の日本人と日本文化という序列がじわじわ地域に浸透していき,やがて“米国人をさえ見ればただ腰を屈するのみ”が習い性となってしまうだろう。

安倍首相がお手本だ。安倍首相は,国際社会で日本元首として発言するときでも,平気で日本語を放棄し,カタカナ米語(英語)を使う。日本語を放棄して「国益」追求などバカバカしくて,アホらしくて,お話にもならないが,安倍首相にはそんな問題意識など,ひとかけらもない。京丹後市は,その安倍首相が唱える「国益」を第一とし崇めている。

米国は日本人のそのような性向を鋭く見抜き,巧妙に行動している。アングロサクソンは,世界辺境の三流言語であった英語を,ほんの数百年で超一流の世界共通語にしたこと一つを取ってみても,政治戦略に長けており,きわめて現実的だ。ロマンではなく,実利で彼らは動いている。

米軍は,ロマンチックな善意一杯の日本流“おもてなし”は宣伝にめいっぱい利用しつつ,他方では,こんな中隊シンボルマークを堂々と掲げ,地元住民を威圧している。彼らは,最前線の軍隊であり,イザとなれば,本国のため――京丹後住民のためではなく――命を賭けて戦う覚悟だ。すべてはその手段。利用できるとなれば,大正琴を聴きもすれば,箸で寿司も食う。ただ,それだけ。それが,アングロサクソン流なのだ。

141222a ■常在戦場の第14ミサイル中隊(中隊FB)

その結果,はや,こんなトンデモナイ規制ですら,地元住民はすんなり受け入れてしまっている。この飛行制限区域,つまり危険区域には,経ヶ岬はおろか,国道178号線や袖志海岸など,陸地部分も広く含まれている。経ヶ岬展望台に行くと,なにかのはずみで「人間の丸焼き」になってしまうかもしれない。

141222e ■飛行制限区域(京丹後市)

【参照】
「米軍人と住民交流会 京都・京丹後市」読売テレビ,2014-12-21
「ばらずしランチで国際交流 京丹後」朝日デジタル,2014-12-22
金田そうじん「経ヶ岬Xバンドレーダー基地に勤務する米国人の生活を支援する「フレンドシップクラブ」を立ち上げよう」2014-12-7
金田そうじん「ウエルカム アメリカン フレンズ」2014-12-19

谷川昌幸(C)

英語帝国主義にひれ伏す公立学校

先住民族の尊厳や母語教育の権利を高らかに宣言しているネパールだが,建て前と本音は,教育においても別らしい。私立学校に続き公立学校も,母語どころかネパール語さえ放棄し,続々と英語帝国主義の軍門に降りつつある。そうした学校では,生徒は英語で挨拶し,歌い,勉強する。家でも英語で話す。

「英語が公立学校を魅了している」(Republica, 25 Mar)によれば,チトワンのある公立小中学校では,全教科を英語で教え始めた。

「3年生クラス成績3番のサンジタは,良い本を読むには英語学習は必須だと確信している。友人のカマルも同じで,英語が分かれば多くのことを学ぶことができるし,旅行者とも話すことができる,と考えている。『姉は家でも英語で話してくれるので,とても助かる』という。」

「政府は,ネパール語記述の教科書を英訳し始めた。学校は,これらの英訳された教科書を使い,授業をしている。」

ネパールは,教育でも,日本のはるか先を行っている。ネパールの教育は日本のお手本(格差大だが)。文科省はネパールに視察団を送り,謙虚に教えを請い,最先端の英語教育を学ぶべきだろう。
 [参照]水村美苗『日本語が亡びるとき』

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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/03/27 at 16:21

カテゴリー: 教育, 文化

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第二次制憲議会招集

ネパールメディアからしばらく目を離していたら,第二次「制憲議会」が招集され,「立法議会」も開会されていた。ネパール政治は変化が速く,後追いだけでも大変だ。

制憲議会(संबिधान सभा)は,2007年暫定憲法第69条(1)によれば,選管の選挙結果確定発表後21日以内に,首相が招集することになっている。ところが,制憲議会の新憲法制定以外の立法を任務とする立法議会(व्यवस्थापिका-संसद)の方は,暫定憲法第51条(1)により,大統領が招集することになっている。制憲議会と立法議会は同一議会の2側面にすぎないのに,招集者は別。規定からしてややこしい。

それもあって,制憲議会を誰が招集するかで,早速大もめ。レグミ大臣会議議長(選挙管理内閣議長)に対しては批判が多く,招集者はヤダブ大統領にすべきだとか,新たに大統領と首相を選出し、その上で,新首相が招集すべきだとか,大混乱となり,最高裁への提訴も行われた。

この最高裁提訴がどうなったのかは分からないが,結局,制憲議会は,憲法第69条(1)の規定通りレグミ議長が1月11日付けで招集し,初の本会議が1月22日午後3時に開会された。しかし,この初議会は17分後に閉会となり,実質的な審議は何もなかった。特に問題とされているのが,前回制憲議会を今回制憲議会が継承するかどうかを決めなかったこと。主要諸政党は1年以内の新憲法制定を公約しているが,ゼロからの再出発では,その公約を守るのは難しいのではないかと懸念されている。

この制憲議会開会に先立ち,1月20日,大統領の前で最長老のSB・タパ議員(RPP)が就任宣誓をし,翌21日には,タパ議員の下で他の565議員が就任宣誓を行った(内閣指名26,補欠選挙4,欠席5は未宣誓)。ここで興味深いのは,宣誓用語。ネパール語以外に,次の11言語が用いられた(Republica, 22-23 Jan)。

マイティリ13,ヒンディ11,アワディ5,ネワール3,マガール3,リンブー2,グルン2,タルー2,ボジプリ1,キラント/ライ1,マデシ1

一方,制憲議会のもう一つの在り方である立法議会の方は,ヤダブ大統領が1月19日付けで招集し,26日に初本会議が開かれた。しかし,制憲議会・立法議会は,内閣指名制26,2選挙区当選による欠員4がまだ未充足のため不完全である。このうちの内閣指名制は,建前としては,有識者選出や議席をえられなかった諸勢力の公平な代表のためだが,実際には,有力者間の取り引き材料となっており,不透明感がぬぐえない。

こうしたことから,制憲議会の全議員がそろうのは,まだもう少し先のことになりそうである。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/01/31 at 21:18

カテゴリー: 選挙, 議会, 憲法

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皇室利用と日本語放棄で五輪を買った安倍首相:”under control”のウソ公言

安倍首相は,皇室の政治的利用と日本語の放棄により,オリンピック開催の興行権を買った。「美しい国」である「日本を取り戻す」どころか,金儲けのためであれば,憲法も伝統文化も顧みない「醜い日本」を世界にさらけ出したのだ。

1.政治としてのオリンピック招致活動
オリンピック招致活動が「政治」であることはいうまでもない。オリンピック開催により,(1)経済界の景気浮揚要求に応える,(2)ヒノマル・ニッポン挙国一致ナショナリズムの高揚を図る。いずれも安倍政権の維持強化のためであり,いま現在,これをもって「政治」といわずして,何を政治というのか? 安倍首相自身,これを最も重要な政治課題の一つと考えるからこそ,わざわざブエノスアイレスまで出かけ,招致活動に参加したのだ。

2.高円宮妃のロビー活動
その政治そのものといってもよいオリンピック招致のため,安倍内閣は高円宮妃を利用した。本音報道のスポニチ(9月7日)は,記事に「会場にIOC委員続々到着,高円宮妃久子さま,積極的ロビー活動」というタイトルをつけ,高円宮妃が「積極的に動き」,IOC委員らに声を掛けていたと伝えた。親皇室の産経や報知(9月7日)にも同様の記事が出ているから,高円宮妃が「積極的ロビー活動」をしたことは間違いないであろう。

ロビー活動をする人は,「ロビイスト」である。広辞苑(第5版)はこう定義している。「ロビイスト(lobbyist): 圧力団体の代理人として,政党や議員や官僚,さらには世論に働きかけて,その団体に有利な政治的決定を行わせようとする者。」

高円宮妃は,まさに,このようなロビイストの1人として,積極的にIOC委員に働きかけ,東京招致という「政治的決定」に大きな政治力を発揮したのだ。しかし,このロビー活動に高円宮妃の政治責任は,むろん一切ない。

3.皇室政治利用の責任
高円宮妃のロビー活動やプレゼン冒頭挨拶の責任は,すべて安倍首相にある。朝日新聞稲垣編集委員によれば,川渕・サッカー協会最高顧問は,こう語ったという。「4日にブエノスアイレス入りした久子様の出席に熱心だったのは,猪瀬さん,安倍さん,森さんだよね。なかでも猪瀬さんは,本当に熱心だった。」(朝日デジタル,9月6日)

安倍,森,猪瀬は,いずれも政治家だが,行政権の長は安倍首相だから,高円宮妃の招致活動の全責任は,天皇への「助言と承認」(憲法第3,7条)に準ずる何らかの“助言と承認”を与えたはずの首相にある。

では,今回の高円宮妃の招致活動への“助言と承認”は適切であったのか? 憲法は第1条で天皇を日本国と日本国民統合の「象徴」と定め,第4条で「国政に関する権能を有しない」と明記している。象徴としての天皇,したがってそれに準ずる皇族は,権力行使や政治的意思決定に関わるナマグサイ行為は一切してはならない。これは,天皇象徴制の根本原理であり,現在の日本国家はこの原則の上に成り立っている。

高円宮妃のオリンピック招致活動は,この憲法原理の枠を完全に逸脱している。「ロビー活動」は,広辞苑の定義のように,政治そのものであり,高円宮妃は,ブエノスアイレスで政治活動を繰り広げていたのだ。それは,たとえ日本国家のためであっても許されない,違憲の政治的行為である。

4.皇室政治利用の危険性
今回はたまたま招致が成功したから,高円宮妃も安倍首相もいまのところあまり批判はされていない。しかし,もし失敗していたら,政治活動をした皇室の権威は失墜し,安倍首相は皇室政治利用の責任を追及され,退陣は免れなかったであろう。

しかし,この件に関しては,成功は失敗よりもむしろ恐ろしい。絶大な効果に味を占めた政治家たちが,天皇や皇室の政治的利用に飛びつき,国民もこれを歓迎するからだ。天皇制ファシズム(超国家主義)への先祖返りである。天皇を大切と思うなら,天皇や皇族の政治的利用は絶対に許してはならない。

130913a ■皇室利用と英語ウソ公言(朝日9月8日)

5.日本語放棄の安倍首相
安倍首相がオリンピック招致プレゼンを英語で行ったことも,見過ごせない。「日本を取り戻す」はずなのに,実際には,日本文化の魂たる日本語を放棄してしまったのだ。

そもそも各言語はすべて平等であり,本来なら,それぞれが母語で話し理解し合うべきだ。しかし,現状は,かつての植民地大国が文化侵略により英仏語やスペイン語などを普及させてしまったため,現在,多くの地域で使用されているそれらの言語を便宜的に使用するのは,次善の策として,ある程度はやむを得ない。

しかし,公式の場での公人の話となると,そうはいかない。天皇は「日本国の象徴」だから,公式の場では英語やフランス語をしゃべるべきではない。ましてや首相は,日本国の元首だから,たとえペラペラであっても,外国語を使うことは許されない。それなのに,安倍首相は嬉々としてカタカナ英語でプレゼンを行った。国家元首失格である。(注: 天皇は「象徴」,首相は「元首」)

6.外国語での国家公約の危険性
私には英語はほとんど分からないが,安倍首相の英語は発音がぎこちなく,いかにも不自然だ。おそらく英米やフィリピンなどの小学生レベル以下であろう。そんな英語で,安倍首相はIOC総会において日本国民を代表しプレゼンをした。He said―

Some may have concerns about Fukushima. Let me assure you, the situation is under control. It has never done and will never do any damage to Tokyo.

なぜ,こんなトンデモナイことを? むろん,英語を知らないからだ。

世界周知のように,福島原発事故は東京にも被害を及ぼしたし,放射性物質はいまなおじゃじゃ漏れ,止めるめども立たない。その原発について安倍首相は”under control”と,国際社会の公の場で,日本国元首として,公言した。これは日本語ではなく,英語。解釈は,当然,英語ないし欧米語文脈で行われる。

この欧米語文脈では,公式の場での政治家のウソは,絶対に許されない。建前かもしれないが,建前を本音より重視するのが,欧米政治文化。英語を知らない安倍首相は,その欧米語文脈を意識することすら出来ず,子供のように無邪気に,カタカナ英語を日本語文脈で使った。その落とし前は,いかに大きなものになるにせよ,結局は日本人自身がつけなければならない。

7.英語帝国主義にひれ伏す
英語帝国主義は,何百年にもわたる壮大な世界戦略であり,オリンピック興行権など,はした金,それで日本国首相に公式の場で英語を使わせることができるのなら,こんな安上がりの買い物はない。

安倍首相は,日本語=日本文化を売り渡し,英語文化圏の土俵に乗り,オリンピック興行権を買った。長期的に見ると,皇室の政治利用よりも,こちらの方が深刻かもしれない。

安倍首相のカタカナ英語のおかげで,日本語が二流言語であることが,国際的に公認された。日本語は,国際言語カースト制の中に下位言語(被支配言語)として組み込まれた。もはやここから逃げ出すことは出来ないであろう。

130913b ■揶揄される日本国元首発言(Canard Enchaine / Reuters, Sep.12)

[参照1]
高円宮妃プレゼン
高円宮妃久子さま IOC総会で復興支援に感謝の言葉(ANN News13/09/08)
宮内庁,新聞各紙はすべて日本語訳。一流言語たる仏語・英語オリジナルは下々には隠されている。
安倍首相プレゼン
Mister President, distinguished members of the IOC…
  It would be a tremendous honour for us to host the Games in 2020 in Tokyo ? one of the safest cities in the world, now… and in 2020.
  Some may have concerns about Fukushima. Let me assure you,the situation is under control. It has never done and will never do any damage to Tokyo. I can also say that, from a new stadium that will look like no other to confirmed financing, Tokyo 2020 will offer guaranteed delivery.
  I am here today with a message that is even more important. We in Japan are true believers in the Olympic Movement. I, myself, am just one example.
  When I entered college in 1973, I began practicing archery. Can you guess why? The year before, in Munich, archery returned as an Olympic event after a long time.
  My love of the Olympic Games was already well-established. When I close my eyes vivid scenes from the Opening Ceremony in Tokyo in 1964 come back to me. Several thousand doves, all set free at once. High up in the deep blue sky, five jet planes making the Olympic rings. All amazing to me, only 10 years old.
  We in Japan learned that sports connect the world. And sports give an equal chance to everyone. The Olympic spirit also taught us that legacy is not just about buildings, not even about national projects. It is about global vision and investment in people.
  So, the very next year, Japan made a volunteer organization and began spreading the message of sports far and wide. Young Japanese, as many as three thousand, have worked as sports instructors in over 80 countries to date. And they have touched the hearts of well over a million people through their work.
  Distinguished members of the IOC, I say that choosing Tokyo 2020 means choosing a new, powerful booster for the Olympic Movement.
    Under our new plan, “Sport for Tomorrow,” young Japanese will go out into the world in even larger numbers. They will help build schools, bring in equipment, and create sports education programs. And by the time the Olympic torch reaches Tokyo in 2020, they will bring the joy of sports directly to ten million people in over one hundred countries.
  Choose Tokyo today and you choose a nation that is a passionate,proud, and a strong believer in the Olympic Movement. And which strongly desires to work together with the IOC in order to make the world a better place through the power of sport.
  We are ready to work with you. Thank you very much.
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[参照2]
皇室と五輪招致 なし崩しのIOC総会出席 記者有論 社会部・北野隆一 (朝日新聞,2013年9月25日)
 16年夏季五輪開催地を決める09年IOC総会への皇太子さまの出席が求められた際、宮内庁は「招致運動は政治的要素が強く、(出席は)難しい」と慎重姿勢を貫いた。・・・・
 今回、安倍政権の強い意向に押し切られ、宮内庁の対応はずるずると後退した。当初「久子さまはIOC総会に出ない」としていたが、一転、出席。「招致活動と切り離すため、スピーチ後は降壇する」はずだったが、結局最後まで壇上にとどまった。
 招致競争に勝ったから結果オーライではない。安倍政権は今回、既成事実を積み重ね、なし崩し的な手法で皇族を担ぎ出したように見えた。皇室の守ってきた原則を曲げさせ、相当な覚悟を負わせたことになるのではないか。
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谷川昌幸(C)