ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

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憲法案への投票,午後5時開始予定

憲法案修正提案への投票が,13日午後5時から開始される。すでに各条文ごとの審議を終え,党首演説も終了した模様。

憲法案の各条への投票と,その後の憲法案全体への投票が,引き続き行われるかどうかは,不明。いずれにせよ,新憲法制定は,いよいよ最後の秒読みの段階に入ったとみてよいであろう。

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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/09/13 at 23:04

カテゴリー: 憲法

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憲法案逐条採決2日延期,印介入

NC,UML,UCPNの主要3党は,11日午後予定の憲法案逐条採決を13日まで延期した。タライ紛争激化とそれによる経済的打撃の拡大,そして印大使のあからさまな介入があったからであろう。

タライの反対運動はますます激化している。11日には6人死亡と報道されている。マホタリでは,反政府側が負傷搬送中の武装警官を救急車から引きづりだし,なぶり殺しにした。他方,警官隊も,たまたま買い物に来ていた75歳の老人を銃撃し,殺している。また,ジャナクプルでは,外出禁止令を無視して集まっていた少年たちに向け治安部隊が発砲,13歳の少年が撃たれて死亡した。悲惨きわまりない。

このタライ紛争から大打撃を受けているのが,経済界。ネパール商工会議所(FNCCI)は,3党と反対派に対し,話し合いで早く問題を解決してほしいという談話を発表した。

一方,インド政府の動きも活発化してきた。ラエ印大使は11日,強硬派のオーリUML議長と会い,制憲手続きの一時休止を要請した。そのあと大使はプラチャンダUCPN議長とバブラム・バタライ幹部に会い,制憲手続きを一時休止し,諸党コンセンサスを得る努力をしてほしいと要請した。バブラム幹部は大使と同意見。

国連のバン事務総長も,対話と非暴力を訴え,逐条採決の一時休止を歓迎した。

こうして,憲法案逐条採決は,とりあえず13日まで延期となった。

150912■在印ネパール大使館(同館HP)

[参照]
*1 “Madhes unrest: Elderly caught in Mahottari police firing; 6 people killed on Friday,” Kathmandu Post, Sep 11, 2015
*2 “Four more killed in southern Nepal protests,” Reuters,2015/09/11/
*3 “BIG 3 DEFER CLAUSE-WISE VOTING FOR SUNDAY,” Republica,11 Sep 201
*4 “HALT STATUTE MAKING PROCESS FOR CONSENSUS AMONG DISGRUNTLED PARTIES: ENVOY RAE,” Republica,11 Sep 2015
*5 “FNCCI URGES DIALOGUE TO SETTLE CONTENTIOUS ISSUES AS PROTESTS ARE RESULTING IN HUGE ECONOMIC LOSS,” Himalayan,September 12, 2015
*6 “Protesters seize ambulance, kill injured APF official in Mahottari,” Himalayan,September 11, 2015
*7 “13-year-old boy shot dead in Janakpur as police open fire during curfew,” Himalayan, September 11, 2015
*8 “Amid political violence in Nepal, Ban stresses need for dialogue, respect for peaceful protest,” Nepal National,12th September,2015

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/09/12 at 11:44

カテゴリー: インド, 憲法

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憲法案逐条採決,11日午後から

制憲議会では,修正案(総数54)提案理由説明等がほぼ終わり,9月11日午前の党首演説(NC,UML,UCPN,労農党)につづき,同日午後3時頃から修正案の投票採決に入る予定だ。

⇒修正案(総数54)の各案ごとに投票:2/3以上の多数で可決。
⇒憲法の各条につき投票:2/3以上の多数で可決。
⇒確定した憲法案全体につき投票:2/3以上の多数で可決。

この制憲手続きに対し,マデシやタルーあるいは他の被抑圧諸集団が強く反対し,タライを中心に激しい反対運動が続き,衝突でこれまでに33人の死者が出ている。政党も,タライ系10党やRPP-Nなどが,制憲過程そのものから降りてしまった。

しかし,主要3党,とくにUMLは強硬で,制憲手続きは,数日の遅れはあっても,ほぼ予定通り進められそうな形勢だ。その場合,ダサイン前の新憲法公布ということになる。

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[参照]
*1 “CLAUSE-WISE VOTING ON CONSTITUTION PLANNED FOR TODAY,” Republica,11 Sep 2015
*2 “Nepal constitution drafting hit as 85 CA members walk out,” Nepal National (IANS),10th September,2015
*3 “Stop the constitution process for few days: UCPN (Maoist),” Kathmandu Post,Sep 10,2015
*4 “GOVT REGISTERS AMENDMENT PROPOSAL ON INTERIM CONSTITUTION,” Republica,09 Sep 2015

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/09/11 at 15:57

カテゴリー: 憲法

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2072年憲法,9月17日ころ公布か?

「2072年憲法原案」に対する修正案の提出が9月5日締め切られ,結局,修正案総数は56となった。修正提案は,200カ条,1300カ所余りに及ぶ。

これら修正案の審議は,明日(8日)午前11時から開始され,順調にいけば,9月17日までにすべて終了し,新憲法の制定・公布となる。新憲法は302カ条の予定。
 *修正案提案理由説明 各7分(1日)
 *各党の意見陳述 (1日)
 *各議員の意見陳述 各5分(2日)
 *各修正案につき投票。2/3以上で可決。
 *各条文につき投票。2/3以上で可決。 
 *確定した憲法案全体につき投票。2/3以上で可決。

修正案は56もあり,これらすべての手続きが17日までにすべて完了するかどうか,いささか心配になるが,そこは「特急手続き」,何とかなる,と3大政党(NC,UML,UCPN)は見ているのであろう。

マデシ系など,制定過程から降りてしまった諸党派の憲法修正要求は,もはや受け入れられない。彼らの要求は,新憲法制定後の議会において審議されることになる。

しかし,これは主要3党の論理。マデシやタルー,あるいは他のジャナジャーティ諸集団が,このような「特急手続き」に納得するであろうか? 制憲過程は,いよいよ山場にさしかかってきた。

150903

[参照]
*1 “CA CAN’T NOW INCLUDE ANY NEW PROVISION: NEMBANG,” REPUBLICA,06 Sep 2015
*2 “CA meeting called for Tuesday to begin voting on final draft, amendment proposals,” The Himalayan Times,September 06, 2015
*3 “Process to draft statute enters last lap tomorrow,” The Himalayan Times,September 07

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/09/07 at 20:03

憲法原案に対する修正,46案提出

「2072年ネパール憲法原案」に対する修正案の提出が9月5日締め切られた。同日夜のリパブリカ紙(*3)によれば,提案は46に達した。

NC,UML,UCPNは,3党共同修正案を提出。7州は維持するが,その代わり次の修正を行うことを提案した。
 (1)「連邦制委員会」を憲法で設置し,ここに未確定部分の州区画を委任する。
 (2)「世俗国家」規定は残すが,伝統的宗教に関する注記を付す。
 (3)比例制当選に必要な最低得票率は設定しない。
 (4)独立の憲法裁判所は設置しない。そのかわり,最高裁判所内に憲法裁判部を設置。
 (5)「ジャナジャーティ委員会」,「ムスリム委員会」,「マデシ委員会」「タルー委員会」を憲法で設置。

これに対し,NCやUMLの何人かの議員は,党の修正案に満足せず,制止を無視し議員個人として修正案を提出した。また,RPP-Nなど他の諸党も修正案を提出した。

こうして,結局,修正案は総数46にも達した(5日夜現在,*3)。これからの審議がどうなるか,気になるところだ。また,制憲過程から降りてしまい,外から反対運動をすることになったマデシ系の動きも,それ以上に気になる。3大政党は,このまま「特急手続き」で強引に突っ走り,憲法制定を実現することができるのであろうか?

150903

[参照]
*1 “Big 3 register amendment proposal at CA,” Kathmandu Post,Sep 6,2015.
*2 “Three parties decide to stick to 7-state model, federal commission to resolve demarcation dispute,” Kathmandu Post,Sep 5,2015.
*3 “THREE MADHESI PARTIES INCLUDING MPRF-D EXIT CA PROCESS,” REPUBLICA,05 Sep 2015

谷川昌幸(C)

 

Written by Tanigawa

2015/09/06 at 20:01

巨大制憲議会の巨大憲法原案

ネパールは,世界最先端の「包摂民主主義(inclusive democracy)」を国家再建の基本原理として受け入れたため,国家や社会の諸組織がいたるところで巨大化・複雑化し,二進も三進もいかなくなっている。

包摂民主主義ないし包摂参加民主主義は,社会諸集団をすべて公平に国家や社会の運営に参加させることを要求する。といっても,社会諸集団には大小があるから,公平とは,結局,比例参加となる。が,比例参加しても,決定が多数決により行われるなら,大集団有利となり,中小集団は国家や社会において疎外されてしまう結果となる。そこで,中小集団には,比例参加に加え,多くの拒否権や自治領域も認められることになる。換言するなら,包摂民主主義は,全体の観点からの選択の忌避。諸集団の要求は,取捨選択されることなく,つぎつぎと包摂=加算されていくことになる。

このような特性を持つ包摂民主主義は,主権的国民国家の強固な基盤をすでに持つ先進諸国にとっても,導入すると担いきれないほどの大きな負担をもたらす。ましてや途上国のネパール,包摂民主主義の導入には慎重であるべきであったが,功名争いの国際機関や西洋諸国にそそのかされ,目の前の援助につられ,無警戒に包摂民主主義を再建の基本原理として受け入れてしまった。

その包摂民主主義受入の最大の「成果」が,制憲議会。諸勢力の要求を次々と包摂=加算していき,定数601の巨大議会になってしまった。このような巨大議会では,まともな議論が出来るわけがない。憲法原案採択には7年余りもかかったし,採択した憲法原案も諸要求を包摂=加算した巨大憲法原案となってしまった。

とにかく巨大。前文と37編297カ条。それに付則が7。A4用紙145頁余り。(仮英訳版はネパール語版と異なる部分が多い。)読み通すだけでもたいへんだ。規定も諸要求を包摂=加算したものが,多い。たとえば,

第4条 ネパール国家
ネパールは,独立,不可分,主権的,世俗的,包摂的,民主的,社会主義志向の連邦民主共和国である。

これは最も基本的な国家規定だからまだましだが,「第3編 基本的権利・義務」や「第4編 国家の指導原理,政策および義務」ともなると,あまりの網羅ぶりに,頭がくらくらする。スゴイが,少々読んでも,よくは分からない。

連邦制規定もスゴイ。連邦,州,地方自治体の関係について細々と規定してあるが,こんな複雑でややこしい規定が本当に理解され,運用されるのだろうか? あるいは,たとえ規定通り運用するとしても,コストは途方もなくかさむのではないだろうか?

以上は,いま審議中の「憲法原案」を一瞥しての単なる感想にすぎない。客観的な評価は,もう少し詳しく読み,検討していくことにしたい。

150904a150904b
 ■前文/国章

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/09/04 at 18:14

カテゴリー: 憲法, 民主主義

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憲法原案に対する修正案,提出開始

制憲議会上程の憲法原案(「2072年ネパール憲法原案」)に対する修正案の提出が始まった。締切は7月5日。

いまのところ提出したのは小政党のみで,主なものは以下の通り。
 ・世俗主義の規定明記
 ・世俗主義の削除
 ・国獣の牛から一角犀への変更
 ・先住民族委員会を憲法で設置
小政党は,党として,あるいは所属議員らがそれぞれ修正案を出すことになりそうだ。

これら小政党と二大政党(NC,UML)の中間にいるのが,マオイスト(UCPN)。他の諸政党と共同で修正案を出すことを優先するが,所属議員が,議員会長の承認を得た上で,それぞれの判断で修正案を出すことも認めている。憲法の早期制定を重視するが,その一方,党内ジャナジャーティ勢力の要求も無視できない,というところであろう。

これに対し,NCとUMLは,原則として,党が意見をとりまとめ,党として修正案を出す予定。個々の議員の修正案提出は認めない。両党は,「超特急(fast-track)手続き」による憲法の早期制定を目指している。

しかし,ここにきてNC,UMLとも党内が騒がしくなってきた。カトマンズ・ポスト記事(*1)によれば,エスニック系議員がNC内には63人,UML内には62人もいる。これらの議員は,党幹部主導で進められている憲法制定手続きを非民主的と批判し,被差別諸集団の権利保障を実現するための修正案を自分たちで提出する構えだ。NCもUMLも,このままでは党内闘争が激化し,悪くすると党分裂となりそうな雲行きだ。

さらに,以上に加え,やっかいなのが外国の介入。たとえば「国際法律家委員会(IJC,本部スイス)」は,人権保障には26項目の修正が必要と指摘し,修正案提出期限の延長と,憲法制定過程への諸集団包摂参加を強く要求している。やれやれ。

いずれにせよ,明日5日が修正案の提出期限。どうなるか,注目していたい。

 150903■CA審議中の憲法原案

[参照]
*1 “Janajati MPs to propose joint amendment,” Kathmandu Post, Sep 2,2015
*2 KAMAL DEV BHATTARAI,”UCPN (M) lawmakers free to register individual amendment proposals,” Kathmandu Post, Sep 2, 2015
*3 “GO ALL OUT FOR NEW STATUTE: DAHAL TO MAOIST LAWMAKERS,” REPUBLICA, 02 Sep 2015
*4 “NC MADHESI, THARU CA MEMBERS THREATEN TO FILE SEPARATE AMENDMENT PROPOSALS,” REPUBLICA, 02 Sep 2015
*5 “Three amendment proposals on 2nd day,” The Himalayan Times,September 01, 2015
*6 “ICJ URGES URGENT REVISION TO CONSTITUTION BILL TO GUARANTEE HUMAN RIGHTS,” REPUBLICA,02 Sep 2015

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/09/04 at 00:24

カテゴリー: 憲法, 民族

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