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ゴビンダ医師,合意履行を求めハンスト

ゴビンダ・KC医師が,医学界改革に関する合意の履行を政府に求め,7月24日から無期限ハンストを決行している。前回(2016年11月13日~12月4日)から半年後,11回目のハンストだ。

ゴビンダ医師の要求は,医科教育と医療行政の近代化・公正化であり,終始一貫している。(参照:ゴビンダ医師の改革諸要求

ネパールでも,医者は特権階級であり,医科教育や病院経営はカネになる。当然,そこには利権を目当てに政治家や有力者,ゴビンダ医師に言わせれば「マフィア」が介入し,様々な不正・腐敗が生じる。ゴビンダ医師は,それらを排除し,地域差のない国民のための公正な医療を実現することを,一貫して要求してきたのである。

ゴビンダ医師の要求は,昨年末のハンスト闘争の結果,政府(プラチャンダ首相)が「医科教育法」(2016年9月法案提出)制定に向け努力することを約束したことにより,大きく前進するかに見えた。

ところが,政府は「医科教育法」制定を先送りしてきたばかりか,同法立法趣旨に反するような動きを強めてきた。同法制定以前の私立医大設立認可への動き,私立医大の高額授業料(1000万ルピーに及ぶ場合もある)の放置,私立医大への不正入学(学力不足受験生の裏口入学),トリブバン大学幹部教職員と私立医大との不透明なコネなど。

これらの問題解決が難しいのは,有力政党や政治家が深く関係しているため。たとえば,いま問題にされているジャパ郡ビルタモドの「B&C病院」はマオイスト系だし,「マンモハン記念健康科学機構」はいうまでもなくUML系。ゴビンダ医師の要求が「政治的」とならざるをえないのももっともだ。

ゴビンダ医師の要求は至極もっともだ。そうした要求を無期限ハンストで訴えざるをえないところに,ネパール医学界をむしばむ根深い宿痾があるのではないだろうか。


 ■Facebook: SolidarityForProfGovindaKc, 10 Aug 2017

追加(8月17日)】ゴビンダ医師,洪水被害拡大の状況を考慮し8月15日,ハンスト中止(23日目)。

*1 “Dr KC warns of agitation if Nat’l Medical Education Bill not amended,” Kathmandu Post, May 3, 2017
*2 “Dr KC warns of hunger strike from tomorrow,” Kathmandu Post, Jun 4, 2017
*3 “Dr KC warns of death fast over erring colleges Memorandum submitted to IoM dean,” Kathmandu Post, Jul 17, 2017-
*4 “Govt seeks more time to address demands,” Kathmandu Post, Jul 30, 2017
*5 “Dr KC’s hunger strike: Talks with govt team inconclusive,” Kathmandu Post, Aug 2, 2017-
*6 “Save Dr Govinda KC’s life: NHRC to govt,” Kathmandu Post, Aug 4, 2017
*7 ABHI SUBEDI, “Rainbow of KC’s Satyagraha,” Kathmandu Post, Aug 6, 2017
*8 “Dr KC’s health deteriorating ‘critically’,” Republica, August 9, 2017
*9 “A deal that disregards Dr KC’s demand,” Kathmandu Post, Aug 10, 2017

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/08/12 at 19:13

カテゴリー: 行政, 教育

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