ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

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中国の経済発展とマルクス主義と伝統文化

「地球時報(Global Times)」(1月21日)の方には,Liu Sha「中国に必要なイデオロギー教育」が掲載され,金儲け万歳紙面に花を添えていた。

記事によると,中国の大学に必要なのは,イデオロギー教育の強化であり,マルクス主義・社会主義・伝統文化そして「中国の夢」の擁護推進者たることである。

これはもちろん,習近平主席が語ったとされる,大学をマルクス主義研究の拠点とするという方針に沿った記事である。マルクス主義・社会主義と伝統文化を結合した「中国型社会主義」の研究推進拠点。

ところが,記事によると,大学教員の多くは,西側の価値観に心酔し,マルクス主義は小ばかにしている。学生の80%が,そのような教員に教わったことがあるという。

なかなか興味深い。マルクス主義・社会主義と「中国の夢」と伝統文化(traditional values,traditional culture)が,少なくとも表面上は何の留保もなく,何の批判もなく,そのまま擁護推進すべきものとして並べて掲げられている。どう読み解くべきか? 大学教員は,マルクス主義を小ばかにすることなく中国の現状を学問的にどう分析評価すべきなのだろうか?

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■広州空港。大言壮語スローガンはほとんどない。近代化・合理化と資本主義化が進み,共産主義・社会主義の残り香は,空港や航空会社の職員の態度からほのかに感じられるくらい。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/01/23 at 14:05

街の没個性化

高知に来ている。初めて。南国なので街も南国風かと思っていたが,実際にはそうでもなかった。ちょっと見た限りでは,他の街と何ら変わりはない。

市街の没個性化は,どこでも進んでいる。カトマンズでも,前近代的な旧市街は破壊され,「機能的」な道路やビルに置き換えられつつある。そのようなところでは,カトマンズも,ここ高知や大阪や他のどの都市とも外見的には大差はない。

近代化は合理化であり,合理化は没個性化・脱文化化である。どこにいっても変わり映えしない街の風景を見るたびに,文化的貧困化の業を歎ぜざるを得ない。

140903 ■高知駅(JR四国HP)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/09/03 at 14:25

カテゴリー: 経済, 文化, 旅行

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3Gの悲哀と自然に戻る喜び

情報格差(デジタル・デバイド)は,日本でも著しい。地方は,高齢化・過疎化で商売にならず,ネットは3Gがせいぜい。亀のように遅い。これでは,ネパールの方が通信環境はよいのではないか。

ネット新聞を読むときは,アドレスをクリックしてから,外でちょっと一仕事,数分後もどると,ようやくページが開かれている。写真があると,さらに遅い。

近現代化・民主化は,合理化=中央集権化であり,これは情報についても同じこと。いまやあらゆる情報が中央に集められ,整理分析され,保存され,利用されている。こんなことなら,少なくとも権力と情報の多元的分散という意味では,中世封建制の方がまだましだ。わが村も,つい数十年前までは,自主独立していた。が,それも今や昔。地方は中央の単なる末端であり,万事後回し,3Gの悲哀をかこつことにならざるをえない。

しかし,それは事の反面,ネット・アドレスをクリックして一歩家の外に出ると,春爛漫,動植物みな生の喜びにあふれ,一目見るだけでも深く癒される。わざわざ高山に登らなくても,あるいは人工交配や遺伝子操作をしなくても,自然は十二分に美しく多彩なのだ。

自宅のすぐそば,どこにでも,こんな美しい花々が咲き乱れ,生命が躍動している。そんなことに気づかせてくれたのが,鈍足3G。人間には,この程度の速度が相応しいのかもしれない。

自宅そばの野草(5月4日午後)

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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/05/04 at 22:08

カテゴリー: 情報 IT, 文化

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都市の近代化と信号機

カトマンズは,すさまじい建設ラッシュ。いたるところで旧市街が壊され,道路の拡幅・直線化や高層ビルの建設が進められている。都市部に限れば,ネパールにはカネが有り余り,高度成長を謳歌しているのだ。

これは都市の「近代化」である。曲がりくねった細い不合理な道路を幅広の直線道路に造り替え,木造や煉瓦造りの伝統的民家や商店を壊し,幾何学的な高層ビル群に建て替える。直線を基調とする幾何学的な街造りは,街の「合理化」であり「近代化」である。

こうして街全体が加速度的に「合理化」され「近代化」されれば,当然,道路交通体系も「合理化」され「近代化」されていくはずだ。そして道路がそうなれば,いずれ人々の交通=交際,つまりは社会も「合理化」され「近代化」されるはずだ。

ネパールの近代化は,外国援助ではなく,カネによって,つまりは出稼ぎ労働者送金によって,促進されていく。結局はカネであり,資本主義なのだ。

そして,興味深いのが,またしても例の信号機。道路が拡幅直線化され,幾何学的高層ビルが林立するようになっても,ネパールは信号機なしでやっていけるかどうか? それとも,結局は,カネ=資本主義=合理化=近代化=「法の支配」に屈服せざるをえないのか?

いま世界社会=先進資本主義諸国は,途上国に「法の支配」を受け入れさせようと躍起になっている。これは,見方を変えれば,資本主義の外部や周縁部にいる人々を,資本主義世界に取り込み,金儲けをするためである。先進資本主義国のどん欲は,何ともイヤハヤ執念深いものだ。

先進国援助の立ち枯れ信号機を見るたびに,先進資本主義諸国の深慮遠謀に健気に抵抗しているネパール庶民を,「頑張れ!」と,ひそかに応援したくなるのを禁じ得ない。

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■拡幅直線化工事。強制収用補償金は雀の涙(ディリバザール)

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■拡幅工事と消灯信号(バグバザール)/拡幅後も信号消灯(プタリサダク)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/11/08 at 22:32

カテゴリー: 社会, 経済

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