ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

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反文化的・反公共的な文化公共施設

ほんの数日の滞在にすぎないが,高知でも,自然破壊が目につく。たとえば四万十市は,四万十川の清流を売りにしているが,川沿いの市街や護岸・橋梁・道路等は殺風景だし,高知市の土佐湾沿いの,かつては白砂青松の長く美しかったであろう海岸も,堤防と道路で台無しだ。

140913e ■川海苔栽培。四万十川自体は美しい。(2014-9-9)

特に嘆かわしいのが,ここでも文化公共施設による景観破壊。たとえば国民宿舎は,たいてい眺望の最もよい高所にそびえ立っている。なるほど国民宿舎からは周囲の絶景が堪能できるだろうが,自然景観の方は,どこからでも目に入る派手な建物により無残に破壊されてしまう。国民宿舎の多くは,ジコチュウであり,見られることにまで思いが至らない。見るが見られないと錯覚している。自己破壊的といってよい。

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 ■桂浜より国民宿舎桂浜荘(同左HP)/横浪公園内の国民宿舎土佐(同左HP)

なかでも,高知で度肝を抜かれたのが,坂本龍馬記念館。龍馬ゆかりの桂浜の岬の丘の上,古城跡にある。建物は,ケバケバしい色,無機質な直線的デザインで稚拙,およそ文化的とはいえない。桂浜一帯の伝統的自然景観を著しく害している。

このような奇妙奇天烈な反文化的建物を,風光明媚な歴史的景勝地に,なぜ建てたのか? まったくもって不可解。龍馬も当惑しているにちがいない。

140913c ■龍馬記念館(同左HP)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/09/13 at 11:34

カテゴリー: 文化, 旅行

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時が人をつくり,人が時をつくる

高知に行っていた。滞在先のホテルの周辺を散策していると,日本近代化に大きな足跡を残した人々の生誕地が多数あるのに気づいた。坂本龍馬,植木枝盛,馬場辰猪,板垣退助,後藤象二郎,片岡健吉の生家は,それぞれ徒歩数分から10分くらい。中江兆民はちょっと離れているが,それでも徒歩15分くらいにすぎない。山内家の城下町とはいえ,これは驚くべきことだ。

政治的な地位や名声だけなら激動期でありチャンスもあろうが,中江兆民や植木枝盛のような一流の思想家や理論家が,いわば隣近所の生まれというのは驚きだ。やはり幕末維新という時代と土佐という土地柄(周縁性)が,彼らのような優れた思想家・理論家を生み出したのだろう。

土佐の自由民権思想がどのように継承されたかは,専門外で詳らかではないが,しかし,たとえば戦後日本における新憲法受容の土壌のかなりの部分がそれにより培われていたことは間違いあるまい。時がつくった人が,時をつくるのだ。

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■生誕地:A=植木枝盛,B=坂本龍馬,C=馬場辰猪,D=板垣退助,E=中江兆民

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/09/11 at 19:44

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