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京都の米軍基地(50):質問趣意書,福島みずほ参議院議員

           
日米両政府は、昨年二月、京都府京丹後市の宇川地区に米軍のXバンドレーダーを追加配備することで合意した。このレーダー及び関連施設の設置のために、宇川地区内に航空自衛隊経ヶ岬分屯基地に隣接して、新たな在日米軍基地(米軍経ヶ岬通信所)を建設しようとしており、本年五月二十七日には建設工事が着工された。集団的自衛権の行使が政府において議論されているなか、住民の間でこの基地の運用に大きな不安が生じている。
 この米軍Xバンドレーダーの追加配備と新たな在日米軍基地の建設について、以下、質問する。・・・・

⇒⇒米軍Xバンドレーダーの追加配備に関する質問主意書 (平成二十六年六月二十日),またはwld-peace資料室

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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/07/03 at 21:19

京都の米軍基地(31):MBS「見えない基地」再放送を

毎日放送(MBS)「見えない基地~京丹後・米軍レーダー計画を追う」(2014年1月19日放送)を録画で見た。関係者や地域社会への細心の配慮をしつつも,問題の本質に多角的観点から肉迫していく。本格的ドキュメンタリーの傑作といってよいだろう。

番組の制作意図と概略は,MBSホームページ「取材ディレクターより」に簡潔に述べられているので,ご覧いただきたい。なお,MBSにはラジオ番組「どこへ行く自衛隊」(2013-11-10)もある。

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 ■MBS「見えない基地」/MBS「どこへ行く自衛隊」

1.地域分断
このドキュメンタリは,それ自体,決して難解なものではないが,扱われている主題は,複雑で重苦しく,難しい。

過疎の村,京丹後市宇川に,昨年早春,突然,米軍Xバンドレーダー基地建設が告げられる。そして,地元住民に対しては,説明らしい説明をせぬまま,一方的に,強引に基地建設計画が進められていく。

その過程で,衝撃的であったのは,やはり地域社会の分断である。原発とまったく同じ構造。権力による脅しや,カネによる直接的・間接的懐柔で,たちまち地域社会は分断され,隣近所はおろか家族ですらいがみ合い争う。過疎とはいえ,美しく平和であった地域社会が,猜疑と憎悪の底なし沼に引きずり込まれつつある。

もはや丹後は元へは戻れまい。表立っては怒るに怒れない忍従,救われようもない重苦しさと悲哀。

2.「国益」優先の市長
ところが,驚くべきことに,地元・京丹後市の中山市長は,当初から一貫して,地元住民ではなく,はるか海の向こうのアメリカや山の彼方の東京(政府・防衛省)に,目を向けてきた。いかにも総務庁-内閣府出身,上意下達の官僚主義的役人根性が抜けないらしい。

MBSは,むろん,この中山市長の卑屈な役人根性を見逃しはしない。番組では,中山市長が「住民益」「市民益」ではなく,「国益」を引き合いに出す場面を,いやらしいまでにリアルに描写している。

「国益」とは,要するに「お国のために」「滅私奉公」ということ。憲法第92条「地方自治の本旨」を無視し,地元の住民・市民ではなく国家権力の側に立つ中山市長! MBSは,そんな無様な,卑屈な場面を撮りたくはなかったにちがいない。しかし,そこはドキュメンタリーのMBS,心を鬼にし,涙を呑んで,カメラを回した。MBSの覚悟,プロ根性が偲ばれる迫真の画面からは,保身のため住民を売り渡した中山市長の虚勢とオドオドした内心が透けて見て取れる。

140216b ■MBS取材にこたえる中山市長

3.車力基地の実情
番組では,Xバンドレーダー基地ができたらどうなるかを見るため,つがる市の車力基地を取材している。この部分を見ると,防衛省や,その下請け・中山市長の説明がいかに無責任かが,よくわかる。

車力米軍基地は軍事機密,ピリピリした厳戒態勢下にある。こんなものに不用意に近づいたり写真でも撮ろうものなら,しょっ引かれたり,下手をするとテロリストかスパイとみなされ,射殺されるかもしれない。相手は「治外法権」の米軍。何をされるか分からない。

また,米軍関係者の犯罪や交通事故も少なくない。さらに,補助金漬けについては,余計なコメントはつけず,淡々と事実だけを描いているが,それだけにかえって,考えさせられ胸にこたえる。

4.「見えない基地」の再放送を
この番組「見えない基地」は,同局の「映像’14」シリーズの一つだ。「映像’14」は関西地域放送番組だが,レベルの高いドキュメンタリーで知られている。「見えない基地」も秀作。

しかし,残念なことに,この番組は日曜日の深夜(24:50~25:50)に放送された。見逃した人も少なくなかろう。実に,惜しい。何とかならないか。

手っ取り早いのは,録画番組をネットで公開するという手。たとえばーー
 ▼LunaticEclipseYokosu「見えない基地」YouTube
しかし,これは海賊版ではないか? もしそうだとすると,権利を守るための闘いが権利侵害を犯すことになってしまう。

やはり,一番望ましいのは,制作した毎日放送自身が,もう少し見やすい時間に再放送したり,ネットで公開することだ。有料でもよい。これほど優れたドキュメンタリーなら,料金を払ってもみたいと思う人も少なくないはず。ぜひ検討していただきたい。

5.特定秘密保護法の恐怖
蛇足ながら最後に一言,特定秘密保護法との関係について。周知のように,特定秘密保護法はすでに成立し,年内には施行される。

この特定秘密保護法が施行されると,おそらくMBS「見えない基地」のような番組は制作できないであろう。あるいは,それどころか,地元民や観光客がうっかり写真を撮っても,「おい,こら!」と,しょっ引かれる恐れがある。そんなことはない,と政府やその出先機関の市長は反論するかもしれないが,危ないと思わせるだけでも,威嚇効果は十分なのだ。

MBS「見えない基地」の描く車力米軍Xハンドレーダー基地。厳戒態勢にあり,触れば祟り必定の「タブー」そのものだ。そんな恐ろしいものが,車力とは異なり丹後では一般道路・住宅地・観光名所のすぐ側にできる。名所・穴文殊からだと,子供が石を投げても当たる距離だろう。

Xバンドレーダーについては,電磁波や騒音が主に問題にされてきたが,政府にとってはこれは想定内。議論がここに集中するのをみて,政府はほくそ笑んでいたにちがいない。

Xバンドレーダー基地の最大の危険性は,軍事機密,特定秘密にある。見せないで見るXバンドレーダー。ブラックホールのように,近づくものを片っ端から吸い取り破滅させる。そんなものが住宅地の目の前,観光名所のど真ん中にできる。

番組「見えない基地」の最初と最後は,経ヶ岬展望台からの分屯基地遠望であった。この展望台は,以前,私が分屯基地監視の名所として推薦したところだ。しかし,Xバンドレーダーが設置されたら,このような撮影はできなくなるだろう。たとえ,撮影禁止の立て札が立てられなくても,撮影には公安や警察やその他諸々の監視をつねに意識せざるをえない。何となく不気味だから自主規制,となるにちがいない。

あるいは,それどころか国道沿いの民家の庭先や二階からカメラを向けても,危ない。「軍事機密」「特定秘密」が写る可能性があるからだ。

こうして,京丹後は「Xバンドレーダー体制」に組み替えられていく。

140216a shariki tango ■米軍基地の位置関係:車力/経ヶ岬(京都民報

谷川昌幸(C)

米軍基地京都設置問題関係資料:前泊編著『日米地位協定入門』

米軍基地ができると,京都・丹後はどうなるのか? それは,この本を読むと,手に取るようによく分かる。
  ■前泊博盛(編著)『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』創元社,2013年3月
  【参考】米軍経ヶ岬基地年表

本書によれば,在日米軍は,日米安保条約,地位協定,および他の諸々の合意や「密約」により,日本国内で自由に行動する広範な権限を認められている。

米軍関係者には日本への「出入国自由の特権」があり,米軍基地には「排他的管理権」がある(p35)。米軍には日本の法律が適用されず(p75),米軍基地は一種の「治外法権」であり(p73),米兵犯罪はほとんどまともには裁かれない(p73)。

法的には,安保条約等の日米条約群が憲法を含む日本の国内法に優位しており,その意味では「日本は法治国家ではない」(p238)。日本は,アメリカの属国・植民地であり,「主権国家とはいえない」(p86)。

本書は,在日米軍と米軍基地のこのような恐るべき実態を,豊富な実例と資料を用い,具体的に解明し,分かりやすく解説している。

いま京丹後市・経ヶ岬に設置されようとしているのは,まさに本書が告発する,そのような米軍基地である。

このような米軍基地は,いったん設置してしまったら,もはや撤去はおろか,最低限の監視や規制すらできない。いくら人権や民主主義を主張しようが,シビリアン・コントロール(文民統制)を叫ぼうが,馬耳東風,「治外法権」や軍事機密で守られた米軍や米軍基地を,いったい誰が,どのようにしてコントロールするというのか。

原発と同様,米軍基地にも,様々な甘い利権が付き,地域はすぐ分断され,取り込まれ,基地依存経済に転落してしまう。

そして,経ヶ岬基地には,160人もの米兵や軍属が配属される。橋下徹大阪市長があからさまに指摘したように,軍人・軍属の有り余る性的欲求は,何らかのかたちで慰安されなければならない。経ヶ岬基地でも,そのための慰安・娯楽の場が,必ず近辺の町村,たとえば宇川,伊根,間人,網野,峰山,宮津などにつくられるにちがいない。

橋本市長は,軍隊と性的慰安の必然的関係を指摘した点では,決して誤ってはいない。軍隊に性的慰安・娯楽施設はつきものだ。そして,もし橋本市長が沖縄米軍司令官に提案した合法的風俗業の活用で満足できなければ,性暴力に走りがちなこと,これまた事実だ。韓国や沖縄などで繰り返されてきた米軍関係者の性犯罪を見れば,これは明白だ。

しかも,そうした犯罪は,米軍特権や治外法権により,まともに裁かれ,処罰されることもない。

米軍基地の受け入れは,地域社会の健康と安全を根こそぎ放棄することにほかならない。日米の産軍官複合体の利益のために。

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   ■本書の帯

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/05/24 at 19:19

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